Santa is…

Atelier Sfida

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サンタさんなんて…

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ボクはサンタさんなんて信じない。


ボクは見たんだ。


去年のクリスマス

お父さんがこっそりボクの部屋に入ってきて
枕元にプレゼントを置いていったことを。


そういえばお母さんは


「今年のクリスマスは何をお願いするの?」


って、何度も聞いてきた。


「サンタさんに早くお手紙書きなさい!
サンタさんは忙しいんだから」


って急かしてた。


あれはきっと、ボクの欲しいものを
お父さんに教えるためだったんだ。
そしてクリスマスプレゼントは
お父さんが買っていたんだ。


サンタさんなんて

サンタさんなんて


本当はいなかったんだ!


***   ***


お父さんは
「サンタさんは本当にいるんだよ」って言ってた。

お母さんは
「サンタさんに会ったことある」って言ってた。


だからボクもいつか、サンタさんに会って
いろんな話がしたかったんだ。

「どうしてソリは空を飛べるの?」とか

「どうやって世界中の子どもたちにプレゼントを配るの?」とか

「クリスマス以外は何をしているの?」とか

もちろん、プレゼントのお礼も言いたかった。


それなのに…


***   ***


去年のクリスマス


ボクはないしょで起きていた。
何度も寝てしまいそうになったけれど
がんばって、サンタさんが来るのを待っていたんだ。


そして、ついにその時が来た。


部屋のドアが開いて
誰かがベッドに近づいてくる。


サンタさんだ!!


心臓の音が聞こえちゃうんじゃなかってくらい
ボクはドキドキしていた。


起きたい…

でも起きたらプレゼントもらえなくなっちゃうよね。

じゃ、見るだけ!

でも目が合ったらどうしよう…


いろいろ考えているうちに
サンタさんはプレゼントを置いて
部屋を出て行こうとした。


そうだ!


後ろ姿だけなら、見てもいいよね!?


ボクはこっそり
うすーく、目を開けて見た。


そしたら見えたのは



お父さんの後ろ姿だった。



サンタさんじゃ、なかったんだ。


***   ***


朝起きると、お父さんとお母さんが、ニコニコしていた。


「良かったな、今年もサンタさんが来てくれて!」
「今年も良い子にしてたものね!」



ボクは何も言えなかった。


プレゼントは嬉しかったし
ボクの欲しいモノだったし


でもボクは知ってしまったんだ。


サンタさんが
いないんだってことを。


***   ***


今年もまたクリスマスがやってくる。


ボクはお母さんに、サンタさんへお手紙を渡した。


「あら!今年は早いのね!」


だって、ボクのお願いは、
去年から決まっていたから。


***   ***


そしてクリスマス・イヴの夜


今年もボクは起きていた。


眠れなかったんだ。
寝たフリはしたけど。



誰かが部屋に入って来た。


きっとお父さんだろうな。


そして枕元に何かを置いて
出ていった。



やっぱりサンタさんはいなかった…。



だって今年ボクは、
プレゼントをお願いしてないもの。


ボクがお願いしたのは…




その時




知らない人の声が聞こえた。


お父さんでもない。
お母さんでもない。


もう一人…


ボクはベッドから抜け出すと
こっそりドアに近づいてみた。


***   ***


「『本物のサンタさんに会いたい…』ですか。
サンタを信じていれば、いつか会えますよ。
なぜなら…

おや、もうこんな時間だ。
ホットミルクとクッキーごちそうさま。
では、また来年。メリークリスマス!」



え?

サンタさん?

ボクは急いで外を見た。



するとそこには



8頭の大きなトナカイと大きなソリ
そして



サンタクロース!



ボクは

もう一年だけ

サンタさんを
信じてみようと思った。


***   ***


翌朝、サンタさんがくれたプレゼントを開けてみた。



「お手紙には書かなかったのに
どうしてボクの欲しいモノがわかったんだろ?」



やっぱりサンタさんは

本当にいる

…かもしれない!
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