ここタマ! ~ここは府立珠河高等学校~

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~それぞれの卒業生~

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「春眠暁を覚えず、目が覚めれば夏だった…」
 放課後の生物室の窓辺で、下敷きを扇ぎながらうんざりした様子で静香が呟きを漏らしていた。それを聞いていた順子が思わず吹き出す。
「何ですかそれ」
「うちのママがよく言う言葉」
 静香によると、小さい頃、春は眠くてお布団が心地よいから惰眠をむさぼっていたら、夏になるまで寝る気か⁈――って意味で母親にイヤミとして言われていた言葉だと言う。
「それが今や、春の心地よい時期が短いから、ばやぼやしていたらあっという間に夏になっているって意味になっちゃったんだから嫌になっちゃう」と静香がぼやく。
「確かに暑いですよね…すぐにメイクが崩れるし前髪が崩れるから、しょっちゅうトイレでお直ししないといけないし」
「おしゃれ女子にとっては悩ましい季節よね~」と順子と静香が女子トークで盛り上がっている横で、優子がレシートや領収書の山と電卓、それにレポート用紙と格闘していた。
「さっきから何をやってるの?」
「ん? クラブ予算要求の概算を出してるの」
「あ、もうそんな時期か…」
 優子の説明を聞いて静香がそんな呟きを漏らした。
 新年度がスタートしてひと月あまり、先日、新年度の生徒会の役員選挙が行われ、新しい生徒会のメンバーが選出されたのである。前期生徒会の最初の仕事は各クラブの予算編成で、それに合わせて各クラブはクラブの運営予算の希望を出すのが慣例となっていた。
「予算請求?」
 不思議そうな順子に、元生徒会役員の経験がある静香が説明をする。
「うちの学校は新年度に入ったら生徒会に生徒会運営やクラブなんかの生徒自治予算が学校から提示されるんで、前期生徒会の最初の仕事はその予算内で配分を決める事になってるのよ――だからそれに合わせて各クラブは予算の要望書を提出するって訳」
「そういうのって先生の仕事じゃないんですか?」
「他の学校の事は知らないけれど、うちの学校って生徒の自主性を養うっていうのを教育方針の一つに掲げているから、生徒自治は基本的には生徒で…って事になってるのよ」
「へぇ…」
 今迄、順子は生徒会とは全く無縁だったので、生徒会の具体的な仕事の話を聞いたのは初めてであった。
「うちの部は試薬とか消耗品だけど高価なものが多いから、文化部の中では予算を多めにもらえる方なんだけど、これはちょっと渉君と相談した方がよさそうだなぁ…」
 電卓を叩いていた手を止め、優子がため息交じりに呟く。
「実験に必要な器具を買いたいって言って、バ~ンと要求を出して予算をぶんどっちゃえばいいんじゃないの?」
「それが出来たら悩まないわよ」
 元生徒会役員とは思えない静香の発言に優子は苦笑いを浮かべた。
「予算と言えば、ここのお茶会の予算ってどうなってるんですか?」
 クラブ見学の時のお茶会から始まって、一度もお茶代としての会費を請求された事が無かった事が順子は気になっていたらしい。
「クッキーなんかの焼き菓子は香奈子さんが趣味で焼いたのを持って来てくれてるし、いろんなお茶やスナック菓子類は部員の誰かが持ってきたもの――炭酸飲料なんかも誰かが持って来てみんなで飲んでいいよ…ってパターンが多いかな?」
「あ、もしかして恒温室にあるお菓子がいっぱい入っている段ボール箱って、みんなが持ってきたのを入れるやつだったんですか?」
「そそ。恒温室の存在は一般生徒は知らないし、準備室の先生の所に用事で来た一般生徒にお菓子の箱を見られる事も無いから」と言って優子が笑う。
「そういう事はもっと早くに言って下さいよ~」
 知っていれば、自分ももっと早くからお茶菓子なんかを持って来ていたのに…と順子が文句を言う。
「強制って訳では無いし、持ってきたい人、持ってこれる人が持ってくればいいって考えだから、気を使って持ってくる必要はないわよ――食いしん坊がたくさんいるにもかかわらず、食べるより持ち込む量の方が多いから増える一方なんだし」と静香が順子にウインクしてみせ、その後、「去年はよーちゃんが頻繁にお菓子とかジュースを補充してくれていたのは知ってたけど、よーちゃんが卒業した今も全然減らないってのが謎なのよね…」と首を傾げる。
 古谷や渉がお茶会用の何かを持ってきた事は皆無であったし、お茶会の中心人物である自分や優子、香奈子が補充する事もあったが頻繁という程ではない。あおいは経済的に苦しい家庭事情の勤労少女であるし、新入生たちにはお茶会のシステムについては今まで話していなかったので、持ち込んでいるとは考えにくい。
 不思議でたまらないといった様子の静香に優子が「その犯人、私、知っている」と言う。
「え…誰? まさか、たけやんじゃないでしょうね?」
「安月給でお小遣いが少ないっていつもぼやいているたけやんな訳ないじゃない」という優子の目は笑っていた。
「誰ですか? うちも気になります」
 そんな順子に優子が「あおいよ」と言う。
「あおいちゃんが⁈ あの子そんなに経済的余裕が無いでしょうに…」
 そんな静香のコメントに、優子が「お菓子でいっぱいの袋を持って登校してきて、その袋を隠すように恒温室に置いてから教室に行っているのよ」と言った後、まるでハムスターが餌を隠しているみたいとクスクス笑った。
「よーちゃんの所のバイト代がいいって言っても…あの子、何考えているのかしら?」
「たぶん、お菓子の出どころは洋司先輩だと思うわよ――あおいがお菓子を持ってくるのって、ほぼバイトに行った翌日だし」
「あ~、なるほど」
 ようやく静香も合点がいったようである。その一方、順子は卒業生の洋司の存在を知らないので、何の事やらさっぱりといった表情を浮かべていた。
「この春卒業したクラブOBがお菓子類の出どころで、あおいはそのお菓子の運び屋をやっていたってだけの話」
「へぇ…卒業したのに後輩たちの為にお菓子を寄付してくれるなんてお金持ちなんですね」
 何も知らない順子の言葉に、優子と静香は顔を見合わせて「…確かにお金持ち」と笑いをかみ殺す。
「うちの先輩たちは、卒業したにもかかわらずいろいろ私たちを気にかけてくれているみたいだから、ご厚意はありがたく頂きましょ」
 お小遣いが少ない高校生にとってはありがたい話だし、謎が解ければ何て事はなかった事だったと笑う静香であった。

 新年度になってもまだ校舎の立て直し工事が続いていて、プレハブ校舎の方は手狭だしその側を工事車両が頻繁に走っていて危険だからという理由で、生物実験室を含めた特殊教室が入っている先に完成している本校舎の一部部分の屋上が、生徒の憩いの場所として中庭代わりに開放されていた。
「ちょっと暑いけど、天気がいいしラッキーは気持ちよさそうやな」
 本校舎の屋上でラッキーを連れて部室から上がって来た古谷が高橋に話しかける。
「ここ、あんまり生徒いないから、ラッキーの日向ぼっこを兼ねたお散歩にはちょうどいいですね」
 ラッキーの体に装着したリードを手にした高橋が周囲を見回して呟く。
「五階建て校舎の屋上で、階段しかないから上がるのがしんどいんやろ」
「…まあ、確かにプレハブ校舎からここまで来ようなんて、用事が無ければ思わないですよね」
「やろ? 生物室は三階やから、そんなに大変とは思わへんけどな」
 そう言って古谷が笑った。
「本校舎の屋上に木や花壇があって、公園みたいにベンチ迄あるなんて知らない生徒も多いかもしれませんね」
 そう言う自分も生物部に入っていなければ来ることはなかったと言う高橋に古谷は苦笑いを浮かべる。
「教室が入る方の本校舎棟が完成したら人の流れが変わるかもしれんし…ここが生徒だらけになったらラッキーの散歩場所を考えなあかん様になるなぁ」
 古谷は可愛いラッキーにストレスを出来るだけ与えたくないという想いが強い。
「興味本位で触らせて欲しいとか言い出す奴っていそうですしね…」
「そやねん、いきなり触ろうとする奴とか最悪やからな」
 自分より体が数倍もある生き物がいきなり触ろうとしたら、自分だって怖いと思うのが普通なのに、その事を考えない人間が多すぎると古谷がぼやく。
「ペットショップとかでも、うさぎやモルモットをお店の人に断りも無く触ろうとする人とか、酷いと勝手にケージから出して抱っこしようとする人がいるって聞きましたよ」
「うわ~、最悪やん」
 ぬいぐるみ感覚で触ろうとする人間が多いせいか、ふれあい動物園などでも落として怪我をさせたり、触りすぎのストレスで体調を崩す動物たちが多いのだという。
「動物はぬいぐるみやない、人間とは姿かたちは違っても、心を持った生き物やって事をわかっていて欲しいんやけどなぁ」
「ですよね――ゲームみたいに死んじゃったらリセットしてやり直すって訳にはいかないのに」と、古谷の意見に高橋は深く頷いた。
「自分、今までなんか飼うとった事あるん?」
「うちはずっと犬と暮らしてるんで…もう老犬ですけど」
「それでペットショップの話とか知ってたんやな」
「行きつけのペットショップのスタッフがよく愚痴ってるのを聞いているんで…」
 そう言って高橋は肩を竦めた。
 ずっと野球少年だった高橋が何故生物部に入部したのか不思議だったのだが、こうして話しているうちに高橋が犬だけではなく、動物全体が好きという事が判ってきて古谷は少し安心感の様なものを覚える。
「小さい頃、セキセイインコを買ってもらった事もあるんですけど、小鳥の生態とか飼い方の勉強しなかったから死なしちゃった事があったんですよね…可哀想な事をしちゃいました」
 その苦い経験があったので、それからは出来るだけ生き物を飼うときは必ず勉強をするようにしているという。
「自分偉いな」
 そう言って古谷は高橋を褒めると、高橋は照れくさそうに笑顔を浮かべる。
「僕が来年卒業しても、高橋君やったらラッキーの事を安心して任せられるわ――任せると言ってもたまにラッキーの様子は見に来るつもりやけどな」
 正直、自分が卒業した後、ラッキーを可愛がってくれる人物がいないなら引き取ろうかと思っていたので、自分が卒業した後も数年は大丈夫そうだと、ほっとする古谷であった。

「これ今CMでやってる話題のやつじゃない」
 恒例のお茶会のお茶菓子として出されたスナック菓子を見た静香が目を輝かせ、これ食べたかったの~と嬉しそうな表情を浮かべた。
「南米系のスパイスたっぷりな味付けみたいだから、飲み物は炭酸にする?」
香奈子の問いに静香が大きく頷く。
「飲み物が炭酸飲料がいい人挙手」と香奈子が言うと、あおいと丸山、順子の三人が手を上げた。
「渉君はいいの?」
「俺、スパイス辛いの苦手なんで…」
「あ、そうなんだ…じゃあ、カレーとかも苦手なの?」
「子供用のカレーの王○様とかなら大丈夫なんですけど…」
 香奈子に答える渉の言葉を聞いて一同爆笑になる。
「ああ…それでスキーの時、お昼に出たカレーを食べる時、カレーを流し込むみたいに大量のお水を飲んでいたのはそういう事だったのね」
 スキー講習の時の事を思い出したのか、優子が納得した表情を浮かべた。
「食べれない事はないんですけど、普通のカレーって俺的には無茶苦茶辛いんで、水を飲まなきゃ食べるの無理なんです…」
 悲しそうな渉にあおいが「それじゃインドカレーとかも食べらんないだ?」と訊く。
「バターチキンカレーとかと、はちみつが入ったチーズナンがあればなんとか…」
「甘っ!」
「口がおこちゃま」といった声が一同から上がり、辛いもの談話で盛り上がっていると、「お、なんか盛り上がってるな!」という大声が実験室に響き渡った。
 声の主である藤木を確認した次の瞬間、渉は「わっ! 出た!」という声を漏らす。
「少年、出たとはなんだ、出たとは失礼な――せっかく可愛い後輩の顔を見に来てやったというのに」と藤木が不満そうに文句を言う。
「いきなり来るからよ、前もって連絡ぐらいすりゃあいいのに」
「サプライズのつもりだったんだよ」
 卒業しても相変わらず自分に対して風当たりが強い静香の言葉に藤木が反論を試みる。
「その格好もサプライズの一環?」
「おう、格好がいいだろ?」
 そう言って自衛官の制服姿の藤木は胸を張った。
 そんな会話が交わされている中、順子が遠慮がちに「誰ですか?」と香奈子に囁くように尋ねる。
「藤木先輩っていう、この春の卒業した生物部の元部長」と香奈子が囁き返していると、藤木の視線が順子に向けられた。
「…ギャル⁈」
 戸惑いを隠せない様子の藤木に静香が「あんたも失礼じゃない」と言って、藤木が被っている制帽を取って坊主頭を軽く叩いた。
「いや…え…なんで?」
「今年の新入部員のひとりよ…彼女は川田さんで、その横のでっかい子が丸山君、古谷君の隣に座ってるのが高橋君」
 静香の紹介に合わせて新入部員たちは藤木に小さく会釈をする。
「俺は今年の春卒業した生物部のOBで藤木という――今は滋賀の自衛隊の教育連隊に所属していて、今は前期教育期間中の身である」と藤木は自己紹介をすると、空いている席に腰を下ろした。
「先輩は何を飲みます?」
 在校時と変わらない様子で香奈子が藤木に飲み物のリクエストを訊く。
「そうだな…お、なんか旨そうなものがあるじゃないか」
 実験台の上にあったスナック菓子を見た藤木はそう言うと、コーラをリクエストした。
「そうだ、お茶会をやっていると思って差し入れを持ってきたんだ…」
 香奈子が注いでくれたコーラを前に、藤木が思い出したように懐から紙包を取り出した。
「珍しく気が利くじゃない…」
 そう言いながら静香が紙包を開けた。
「七味のかりんとう?」
 パッケージに印刷された文字を読んだ静香が首を傾げる。
「京都のお土産物屋にあったんだ」
 珍しいから買ったのだと言う。
「確かに京都って七味専門店とか多いもんね」
 優子が珍しそうにパッケージを手に取る。
「これなら少しずつだけど、全員が食べられるだろう?」という藤木の言葉に渉が「俺の分はいいんで…」と、かりんとうを分けようとしていた香奈子に言った。
「どうして、いらないなんて言うんだ⁈」
 渉の声が耳に入ったのか藤木が渉を問いただす。
 辛いものが苦手だと言う渉の説明を聞いた藤木は「好き嫌いは感心せんな――苦手なものを克服する根性が足りないんじゃないのか⁈」と言い始めた。
「刺激物を無理に食べたら腹を下すんで…」
 と渉が困り顔で藤木に理由を説明していると、見兼ねた静香が再び藤木の頭を叩いた。
「こらっ、本人が体質的に無理って言ってるんだから、圧をかけんの止めなさいよ…そういうのをパワハラって言うの!」
「パワハラとは人聞きが悪い、好き嫌いが多いと社会に出た時に苦労をするから、彼の為を思ってだな!」
「それが余計なお世話なの! 本人が無理って言ってるんだから強要を迷惑だって言ってるの!」
 言い合いを始めた藤木と静香を驚いた表情で見ながら、高橋が古谷に囁く。
「前に優子先輩が言っていた、体育会系の熱い人って…この人の事だったんですか?」
「そや…藤木先輩が持論を展開すると、静香ちゃんがそれを否定するってのがいつものパターンやねん」
「なんか夫婦喧嘩みたいですね…」
「そやな」
 古谷が笑いをこらえる様に頷いた。
そんな古谷と高橋のヒソヒソ話を横で聞いていて――社会に出て苦労するのは藤木先輩の方では? と思わずにはいられない渉であった。
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