ここタマ! ~ここは府立珠河高等学校~

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~瓢箪から駒⁈ 新入部員勧誘作戦~

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 新年度に入り、ずっと続いていた本校舎の建て替え工事も終わり、今年度からは本校舎で授業を受ける事が出来るようになっていた。
 通常の授業が行われる教室棟は、先に完成していた生物実験室などの特殊教室棟と連結され、合わせて本校舎としての本格運用が始まり、プレハブ校舎でずっと授業を受けてきた上級生たちは新しい教室での学校生活が始まった事もあり、新鮮な気分を感じている生徒も多くいた。

「新しいってなんかワクワクするね」
 放課後、新しい教室での授業を終えて実験室にやって来たあおいは、先に来て一息ついていた渉に声をかけた。
「プレハブ校舎より綺麗だし、まだ新品って感じのにおいがしてるしな」
 そう言って笑う渉の言葉にあおいは笑顔で頷く。
「こっちの特殊教室棟もまだ新しいから綺麗だと思っていたけど、もう何年か使ってるせいか教室棟に比べたら古く感じるのがおかしいよね」
「だよな――結局、俺たちより上の先輩たちはプレハブ校舎での授業で卒業しちゃったから、今度遊びに来たら驚くだろうな」
「だね~、新しい校舎の壁にはなんかいろんな差込口がいっぱいついてるし」
「あれデジタル授業用の端子らしいよ――デジタル機器を使うのが前提なのか全部の机にコンセント口があるのも驚いたけど」
 最先端の装備が付いている教室の話をしていると、高橋がやって来た。
「――やっぱ、この部屋は落ち着くなぁ」
 入部してから約一年。すっかり生物部の部員として実験室の雰囲気に馴染んだ高橋はそう言うと、自分の指定席となっている席に腰を下ろした。
「ここは基本的には何も変わってないからな…どう? 新校舎の教室は?」
「う~ん、僕はプレハブ校舎の方が良かったなぁ」
「なんで?」
 髙橋の感想にあおいが不思議そうな顔になる。
「あの新品独特の接着剤みたいなにおいって嫌いだし、体育の時に下まで降りて行かないといけないのがめんどくさくって…」
「あのにおい苦手の人いるんだぁ」
 意外そうなあおいの言葉に高橋は「好きな人もいるみたいだけど、僕の場合、臭いって感じるから」と肩を竦める。
「体育の授業で下に降りるのがめんどくさいってのは同意。俺らなんて五階だから体育の後に疲れてるのに教室まで戻るの苦行だぜ」
 若い一年の教室を一番上にして、年寄りの三年を下の階にすればいいのにと渉がぼやく。
「プレハブ校舎の時は二階建てだったし、階段自体もそんなに登らなくてよかったもんね」
 笑うあおいに渉と高橋が頷く。
「エレベーターが使えたらなぁ」
 一応、特殊教室棟には一機エレベータがあるが、車いす使用者などの障害を持っている者にしか使用を許可されていないので、一般生徒にとっては無縁の設備であった。
「プレハブ校舎時代は早く本校舎が建てばなぁ…って思っていたのに、今になってプレハブ校舎の方が良かったって言う事になるとはな」
 そう言って苦笑いする渉に高橋が「人間って我儘な生き物かもしれませんね」と笑う。
「快適さや便利さってのは人類の永遠のテーマだと思うぞ」
 それを求めてきたからこそ、技術発展をしてきて今の快適な生活があるのではないかと思う渉であった。

 新年度、新学期が始まって、恒例の生徒会主催の新入生歓迎会。今年も新入生歓迎会は体育館で開催される事は決まり、各クラブは新入部員を勧誘する為に力が入っていた。
「緊張するなぁ…」
 クラブ紹介の順番待ちで舞台袖に待機している白衣姿の丸山は緊張した面持ちで呟きを漏らす。
「がんば、次期部長」
「うぅ…余計緊張する」
 順子の励ましに丸山はプレッシャーを感じたのか、いつも朗らかな表情は引きつる。
 結局、髙橋との話し合いの結果、丸山が渉の後を継ぐ事になった――丸山自身、これまで多くの人たちの前で発言をするという経験がなかったのもあり、今回の次期部長としての初仕事は心臓が口から飛び出すのではないかと思う程、激しい動悸を覚えていた。
「大丈夫、とちったって死ぬ訳じゃないし、俺たちもいるんだからさ」
 渉の言葉にも丸山は無言で頷く。
 今年の生物部のクラブ紹介は昨年とほぼ同じ趣向で、着ぐるみ担当は渉、高橋、順子で、最後の事情を知らない生徒にとっては意味不明な生物部名物お茶会案内を去年ウケた事に味をしめたあおいがする事となっていた。
「生物部が…どんな活動をしているか…紹介…ええっと…いたしましょう…」
 ぶつぶつとセリフを確認している丸山な顔を覗き込んだ白衣のあおいがにっこり微笑む。
「万が一、セリフが飛んじゃっても私がいるから大丈夫だよぉ」
「うわ~、縁起でもない事言わないでください~」
 泣きそうな顔で丸山があおいに抗議をしている間に、運動部のクラブ紹介が終わり、文化部のクラブ紹介が始まる。
「生物部の順番は文化部五番目で、次の鉄道愛好会のクラブ紹介の後になります」
 クラブ紹介コーナー担当の生徒会役員がスケジュール表を手に声をかけて来た。それに従い、会場後ろから登場する手はずになっている着ぐるみ班は、丸山に「頑張って」と声をかけると体育館の外に繋がる扉を通って移動を開始する。
「いよいよ次…」
 鉄道愛好会のメンバーが舞台中央でクラブ紹介を始めたのを見ながら、丸山の表情が強張る。そんな丸山の緊張をほぐそうとしたのか、あおいは力一杯丸山の背中を叩いた。
「うぁ…」
 何の予告も無く背中を襲った強い力とその衝撃に驚いた丸山は、バランスを崩して転がる様に舞台中央に転がり出た。幸か不幸か短いクラブ紹介を終えた鉄道愛好会のメンバーと入れ替わる形となり、生徒会の紹介アナウンスの前に突然出てきた白衣の巨漢に新入生の注目が集まる。
「あ…」
 心の準備が出来ぬまま舞台の真ん中に飛び出し、突き刺さる視線にさらされた丸山の頭は真っ白となり立ち尽くす。
 奇妙な沈黙が体育館の中に数秒流れた後、この事態の元凶のあおいが舞台袖から登場して口を開いた。
「こんにちは~。今から私たち生物部の可愛い仲間たちを紹介しちゃいまぁす♪」
 あおいは呆然となっている丸山の前に立ちそう叫ぶと、体育館の後ろに向かって指を刺しながら「後ろに注目~!」と声を上げる。新入生の視線が会場後方に向いた瞬間、後方でスタンバイしていた着ぐるみ達に当初の打ち合わせ通りにスポットライトが当たった。
「丸ちゃん、ほらセリフ」
 あおいが丸山に声をかけるが、まだ丸山は呆然自失状態が続いている。
「ダメだこりゃ…」
 自分のせいという事は棚に上げて、このままではさすがにマズいと思ったのか、あおいは小さく呟いた後、会場に向かって叫ぶ。
「生物部の緑の怪獣ラッキー!」
 打ち合わせとは全く違う展開となった事に困惑しながらも、あおいに紹介された緑の怪獣ことグリーンイグアナの着ぐるみを着た渉が両手を新入生たちに向かって手を振る。
「続いて、アフリカなんたらとかいう、でっかいカエルさん~!」
 アフリカツメガエルの着ぐるみの中の高橋も完全アドリブの展開になった事に混乱しながらも、会場に向かって挨拶のポーズをしてみせた。
「最後に私一押しの頭いっぱいプラナリアちゃん~」
 プラナリアの着ぐるみの中には順子が入っていて、最初他のメンバーと同じように打ち合わせと全く違う展開に混乱していたが、渉や高橋が冷静に対処している様に見えたのか、それに倣うように会場に向かってポーズを付けてみせた。
「この子達のお世話を一緒にしてくれる人いないかな?」
 あおいの問いかけに当然、会場から何の反応も無く静まり返る。
「恥ずかしがり屋さんばっかりみたいだから、みんなをお世話をしてくれそうな人を捕まえちゃって、ここに連れてきて~」
――ちょっ…⁈
 予想外の展開に渉は心の中で叫ぶが、この状況ではマイクを握っているあおいの立場の方が強い。後でたっぷりお説教してやると思いながら、新入生たちの列の間を通りながら渉は新入部員を見繕い始めた。それを見ていた高橋と順子もそれに倣う。
 当然のことながら新入生の方は訳の分からない展開にざわめき始め、着ぐるみ達が手を伸ばしても体をのけぞらせ首を振って拒絶の意思を示すばかりであった。
――そりゃそうだよな
 この事態をどう収拾しようかと渉が悩んでいると、ようやく我に返った丸山があおいの首根っこを捕まえてマイクを奪い舞台袖に引きずっていく。
 壇上は無人となったが、マイクのスイッチがオンになったままだったらしく、丸山とあおいのやりとりが会場に流れ始めた。
「何考えてるんですか⁈」
「え~、ヒーローショーとかで観客のお子様を戦闘員に誘拐させて壇上に上げるじゃない~」
「新入生歓迎会のクラブ紹介で特撮ショーやんないでください!」
「盛り上がると思ったのに~ 丸ちゃんが怒った~」
 そのやり取りに会場から失笑に似た笑いが起きる。
 生徒会の進行役も訳の分からない展開に混乱していたが、ここにきてようやく介入できるタイミングとなったと判断したのか、クラブ紹介の進行を再開させた。
「…続きまして、美術部の皆さんです――」
 丸山とあおいのやり取りが流れ始めた直後、早々に着ぐるみ班は撤収していたので会場は何事も無かったように残りのクラブ紹介が続けられた。

「最悪だぁ…」
 クラブ紹介の後、生物室では丸山が頭を抱えて嘆きの声を上げていた。
「ある意味前代未聞のクラブ紹介だったかも…」
 苦笑いを浮かべ、順子が同情の目で丸山を見る。
 今年の新入生からすれば、ダントツで訳のわからない変なクラブとして印象付けされたのは間違いない事態に、丸山の落ち込み方は半端ではなかった。
「んと…」
 普段温和な丸山に本気で怒られたのがショックだったのか、何か言おうとするが上手く言葉が出てこないあおいは、居心地わるそうにしていた。
「僕たち後方にいたから事情がよくわからないんだけど、なんであんな展開に?」
 首を傾げる高橋に丸山が不用意に舞台に飛び出して頭が真っ白になった経緯を説明する。
「諸悪の根源はあおいちゃんじゃねぇか…」
 生物部のクラブ紹介が始まる前に舞台袖で何があったのかを知った渉は天を仰ぐ。
「諸悪の根源って…私は丸ちゃんに気合を入れようとしただけだよ?」
 口を尖らせて抗議するあおいに渉が深いため息を吐く。
「あおいちゃんに悪気がないし、良かれと思ってやってるのは判っているから怒りはしないけどさ…」
 正直勘弁してくれ…という言葉は飲み込んだ渉は、丸山を慰めるように声をかける。
「ま、元気出せ――今更、過去に戻れる訳じゃないし、今後どうするかは、俺も一緒に考えるからさ」
「…そうですね」
 丸山は渉に小さく頷くが、精神的ダメージからまだしばらくは立ち直れそうにはなかった。
 重苦しい雰囲気に高橋と順子が顔を見合わせ、どうしたものかと考えていると、気まずくなったのかあおいが席を立ち実験室から出ていった。
「さすがのあおいちゃんも、今回は自分がやらかしたってのを理解してくれたかな」
 渉のそんな呟きに「怒鳴られるより、無言の圧力の方が正直きついと思いますけど…」と高橋が少し困った表情を浮かべる。
「今後の事はまた考えるとして、今日は解散した方がいいかもな…」という話をしていると、勢いよく実験室の扉が開き、笑顔のあおいが立っていた。
「⁈」
 何事かという表情になった生物部一同にあおいが告げたのは、見学希望者の来客であった。

「見学って…えぇぇ⁈」
 今年の新入生にとって生物部の印象は最悪なものになったとばかり思っていたので、まさかの見学希望者の来訪に一同、驚きの声をあげる。
「この子達が見学希望なんだって」
 あおいの紹介で生物室に現れたのは新しい制服が初々しいショートカットと長いストレートヘアーの女子が二人。驚きのあまり立ち上がった部員たちに彼女たちは小さく会釈をする。
「廊下に出たらこの子達がいて、何か言いたそうにしてたから声をかけてみたら、生物部が気になったから様子を見に来たんだって~」
 どうやら居辛くなって生物室を出たところで彼女たちに気が付いて、迷わず声をかけたらしい。
 さすが考えるより行動力のあおいと思いながら、渉は慌てた様子で見学希望者の女子たちに実験室の中に手招きして、順子にお茶の用意を頼んだ。
「あ…ああ、そうよね…ええっと、コーヒーがいいかしら? 紅茶の方がいい?」
 渉に促されて我に返った順子が慌しくお茶の用意をする為に準備室に向かう。
 実験室の椅子に並んで座った女子二人は、予想外の来客に慌てる部員たちの様子や実験室の様子を興味深そうに見ては二人で何やら囁き合っていた。
「…お待たせしました。改めまして、生物部にようこそ」
 お茶の準備が整うのを待って渉が挨拶の口上を述べて自己紹介をする。
「見学希望…でいいのかな?」
 渉の問いに二人は小さく頷く。
「——あの、差支えがなければ何に興味を持って来てくれたのかな?」
 恐る恐るといった様子で丸山が訊くと、女子二人はお互いを突き合った後、ショートカットの方が口を開いた。
「トキちゃんが…あ、こっちの子が大きなお兄さんが気になるって言うから、見に来たんです」
「え? 僕?」
 ショートカットの女子に指をさされた丸山の目が点になる。
「なんか、お相撲さんみたいな感じで可愛いねって話をしてて――」
「…」
 どう答えていいのか解らないといった様子で顔を部員たちが見合わせていると、トキと呼ばれていたロングヘア―の女子の方が口を開く。
「先輩っておっきくて優しそうだなぁって思っていたら、舞台袖でこっちの先輩を怒っている声が聞こえてきて、そこがギャップ萌え♪」
 トキの「キャっ言っちゃった」といった様子のコメントに丸山は思わず「マジか…」という声を漏らす。
「んじゃ、貴方の方は付き添い?」
 順子の質問にショートカットの方の女子が頷く。
「私達、いつも一緒なんです」
「ユウちゃんとは小学校からずっと一緒だもんね」
「ね~」
 語尾が二人でハモったのを聞きながら、部員たちの表情が困惑と失望が混じり合った何とも言えないものに変わる。
「…そっか、生物部に興味をもってくれた訳じゃないんだ――そりゃそうだよな」
 喜びから一転、再び落ち込みモードに入った丸山にトキの方が「私、入部希望でぇす」と言い出した。
「——は?」
 予想外の申し出に部員たちが戸惑っていると、ユウと呼ばれていたショートカットの方も「トキちゃんが入部するなら、私も入部しまぁす」と言い出した。
「ど…どういう事⁈」
 訳が分からないといった様子の渉の問いにトキがにっこり微笑みながら「私~、昔からお相撲さんみたいな人がタイプなんです――先輩ってまさに理想のタイプなんで、先輩が好きな事とかいろいろ知りたいでぇす」
 要するにトキの方は丸山と仲良くなりたいというから入部したいという事で、ユウの方は仲良しのトキと一緒にいたいからという、今までにはないパターンの生物部の入部動機である。
――積極的というか、またややこしそうな子達だなぁ
 そう思いながらポカンとなった丸山の肩を渉はポンと叩き、「後は任せた」と告げる。
 瓢箪から駒みたいな展開に、とてもではないがついていけないと思う渉であった。
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