【R18】性奴隷の憂鬱な夢

なみ

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月の輝く夜に

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『大丈夫だよ』

突然、トマの声がした。

『僕が手伝ってあげる』

影になっているトマの身体が俺の身体の背中にピッタリ寄り添ったかと思うと、穏やかな温もりがトマから流れ込んでくる。

そしてゆっくりと俺の身体とトマの輪郭が俺と重なっていく。

俺の手が自分の意思を無視して勝手に動き始めた。感覚でわかる。身体を動かしているのはトマだ。

(………え!?…と、トマっ!?)

"トマの手"がリュカの背中に回され、リュカを強く抱き締め返した。

「大丈夫…。…きて…。」

俺の口でトマが囁く。

(トマ!?やだっ、やだやだ!!恥ずかしい!!お願い、やめて!)

必死でトマにお願いしたが、トマは優しく微笑んだまま話を聞いてくれない。

リュカはを聞いて、もの凄く驚いて俺を見つめてゴクリと息を呑んだ。


「……きて。」

もう一度、俺の口でトマが言う。

ーーこれは、好奇心に負けてしまった俺への罰なの……?

(…!?やめて!お願い…っ!トマを裏切っちゃうっ!!ごめんなさい、ごめんなさい!!トマ!許して……っっ)


俺は泣きじゃくって必死にトマに許しを乞う。

トマの身体が少しずれたかと思うと、後ろから俺を優しく抱き締めた。

『大丈夫、大丈夫だよ。ヨルは何も悪くない。謝ることなんて何一つないんだよ。大丈夫、僕が傍にいる。たくさん気持ち良くなっていいんだよ。』

いつか俺がトマに言った言葉。

リュカの潤んだ瞳が俺を捕らえて離さない。

……そして、俺も目を逸らせない。

胸が切ない。切なくて、苦しい。


「…本当にいいのか?」


トマに促され、リュカの言葉に俺の本能は抗うことが出来ず、覚悟して無言で頷いた。

リュカが俺のすっかり濡れそぼった膣口に肉棒を当てたかと思うと膣内ナカに痛くないようにゆっくり、ゆっくりと入ってくる。

「……ッッ!!…はぁ…っ!んぅ!!」

初めての強い刺激と圧迫感で思わず仰け反る。まるで雷に撃たれたみたいに全身が痺れて気が狂いそうだった。

やだ…!!怖い!怖いよぅ…っ!!

逃げ出したくなる俺をトマが後ろからぎゅっと抱き締める。

『大丈夫、大丈夫。』

幼子をあやすようにトマが俺に囁き続けた。

痛みに耐えて必死に食いしばる俺を見て、リュカが前から強く抱き締めてきた。

「俺の…肩、噛んで…っ」

その言葉で俺はリュカに必死にしがみついて、その肩を力任せにぎゅっと噛んだ。

口の中にじんわりと血の味が広がる。

リュカはその間も抱き締めながら俺の頭をずっと撫でていてくれた。

トマが俺の気を紛らわすように指先で乳首を捏ねると身体の奥に熱が広がった。

一番奥まで辿り着いた時、何故か胸が張り裂けそうなくらい嬉しかった。なるべく痛くないよう気遣いながら、ゆっくりと俺を揺さぶるリュカの優しさが胸に沁みた。

『大丈夫、気持ち良くなって。』

トマも俺を後ろからずっと抱き締め続けてくれて、不安が少しずつ消えていく。

トマとリュカ。
二人の優しさと体温と穏やかな海のさざなみのように訪れる甘やかな快楽に全身を包み込まれる。

さざなみのような快楽は徐々に俺の全てを覆っていく。

こんなに激しくて辛いのに、温かくて気持ちいい。

これがトマが言っていた『幸せ』ってやつなのかな…?

すっかり蕩けきった頭の片隅でふいに思った。

「あ……んっ、はぁ、も……っ、だめ」

ひときわ強い快楽の波が押し寄せて頭の中が痺れてくる。

「一緒にイこう……っ」

リュカそのまま俺の一番奥で果てて、俺も同時にイッて満たされた。


イッた後もリュカはすぐには抜かず、ずっと強く抱き締めて髪を撫でていてくれた。繋がったまま何度も舌を絡ませ、キスを繰り返した。

「黒も綺麗だけど、今の色もとても綺麗だ…。金の髪も瞳も…まるで月の光みたいな…」

リュカが耳にキスをしながら囁く。

「もう一度言う。俺は…お前に惹かれている…。好きだ…。ずっと、ずっと好きだった…。」

ふと視線がぶつかる。

リュカの顔は切なそうに歪んで目には涙が滲んでいて、その涙で潤んだ瞳がピンクサファイアのような純粋で美しい光を放っていた。

俺は返事をする代わりに自分からリュカを強く抱き締めてキスをした。

リュカが再び俺の中で硬くなっていく。
俺達はまた快楽に溺れて、天国に昇りつめていった。

セックスが終わった後も、ピッタリと重なり合ったスプーンのようにリュカに後ろから抱き締められながら2人で窓に浮かぶ月を眺めていた。

冷めきれない熱に浮かされながらリュカとずっとこうしていたい、と思った。



やがて静かな夜の闇が少しずつ薄くなっていく。

「もうすぐ夜明けだね。」

このままずっと居る事は出来ない。

別れの時は近い。

やがて昇ろうとする太陽がそれを告げている。

「朝が迎えにきた…。」

俺が言うと後ろからリュカが唇を重ねてくる。俺はより深くキスをするために身体の向きを変えてリュカの首に手を回した。

「…俺は夜の方が好きだ。」

キスの間にリュカが囁く。
胸がきゅうん、と切なくなる。

「……そう?」

「夜は優しい。こんな汚くて卑怯な俺でも夜の闇は優しく包み込んで安らぎを与えてくれるんだ…。」

リュカの言葉は自分を肯定してくれているようで胸が張り裂けそうなくらい嬉しかった。

しっかりしなきゃ……。

自分に言い聞かせる。

「もう帰らないと…。ブラッドが起きてしまう。」

俺が中々離れようとしないリュカを促してリュカが服を着ている間、俺も余韻を振り切るようにベッドから降りて着物を羽織った。


動くと腰や股関節が痛い…。

そっと先程までリュカが入っていた膣口に触れて見てみると指先に余韻で溢れる愛液と破瓜の血が付いていた。

「……ふふ…、濃すぎて垂れてこない。あんなにたくさん出したのに」

手を添えて精液を確認していると、服を着終えたリュカは再び俺を抱き締める。

「お前の名前は…?」

「…ヨル

「ヨル…か…、綺麗な名前……。」

「……ふふっ、そう?」

「好きだ。また会いに来てもいいか?」 

"また…?“

次の機会なんてあるのだろうか?

俺はトマと離れたくない。トマはこの箱庭に囚われたままだし、結界を閉じてしまえばリュカは入ってくることは出来ない。

リュカは王宮直属の諜報隊員だ。
近付き過ぎると危険だとわかっている。

さっきの情事だって偶然と二人の気まぐれみたいなものだ。

トマの…、真意はわからないけれど。

「……ふふっ、いつくるの?」

わざと少し意地悪して聞いてみた。



「……また、月の輝く夜に」


朝陽が顔を出して強い光が俺達を包んだ。

その光の強さと比例するように強い影が足元から伸びていき、その二つの影がゆっくりと重なっていく。

長いキスをした後、以前と同じように狼に姿を変えてリュカは朝靄に包まれた森の中に消えていった。

リュカの背中を見送る俺の内腿には遅れて零れてきたリュカの濃い精液が伝っていた。
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