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第4章 生きるために紐解く
41話 事件の前の静けさ
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「えっと、大丈夫?」
リュネが心配している。
オレンジスライムさんは万能だ。水で清めれば、食べるだけでHPはそれなりに回復するし、調理によっては完全回復する奇跡の食材だ。店を切り盛りしている時もヨーコと営むときもスライムがいればすぐさま回復する。満腹感を得られるので食事の必要もないし、MPも満タン、いつでもハイになれる。
なのに今日は水に入れて全部ワースに食べさせてしまった。おかげで震えと渇きが止まらない。僕はぁ、あっあれが無いとダメなんだ。震えてきちまうよ。スライム、スライムをくれ。
…もちろんスライムに中毒性は無い。
震えてるのは足だ。山登りがこんなにもきついとは思わなかった。
それ以上に水。ワースに全部使ったので喉の渇きが止まらない
「ショウ。回復しようか?」
「ぜーっぜーっ良いっです。ヨーコ、は、魔力、おんぞ・・・」
ワースの最後の瞬間よりも言葉になっていない。この世界に来て体力を心配することはあまり無かった。
「なら休憩しよう。リュネ。その間に敵の情報を聞かせて、良い?」
「ぜあーっ、ふーっはぁっ、はぁっうっぷ・・・」
「・・・わかった。なんかこの人可哀想だし」
ぼふっ!!!!少女から渾身の一撃!
「いざという時は頼りになるのよ?今は全くそうは見えないけど、ホントよ!」
うごふっ!!!!!嫁から会心の一撃!
心が折れた。2人とも体力がありすぎる。まあヨーコはレベルも高いししょうがない。でも一方はまだ女児だ。竜人ってだけでこんなに体力あるのか。あぁやめて、可哀想な目で見ないで!
少し道が広がったところで、休憩することになった。
「2人にリュネは心当たりがあるのね」
リュネはコクンと頷く。
「一人は、分からない。でももう一人は絶対わかる。あいつは、クズデッス。私を、この国に連れてきた、奴隷商よ」
クズデッスか、モブモブ達の逮捕前に姿を消したあの奴隷商か。元は他国の魔術師とかモブモブが言っていたな。それより水は無いのだろうか。
「クズデッスか、違法な奴隷を扱うなんて、解放された元奴隷の私としては、許すわけにはいかないわ。そいつもこの山へ来てるのかしら?」
「たぶん。でもあいつは一人でも多く奴隷が欲しい筈だから、捕まっても殺されないとは思う」
なるほど、それが救いだな。水が無いのは絶望的だが、殺される可能性が無いのなら水をどこかで探して飲む時間もあるかもしれない。
「もう一人の方が心配だわ。そいつも奴隷商なのか、それとも別の誰かなのか。私達だけで何とかなる相手なのかも含めて問題ね」
「山には守り神様がいるから、他の子達もそこまで行けば安心」
「守り神様?なんなのそれは?」
「この山に来る悪い人をやっつけてくれるんだって、魔物も寄せ付けないくらい強い。バッドもワースもいざとなったらその人がいるからここに里を作ったって言ってた」
俺も聞いたことがある。山の上の洞窟で生活してるやつがいるとか、道中モンスターがいないのはそいつのおかげか。はっ!そうか洞窟まで行けば水があるのか。
「じゃぁそいつの所へ急ぎましょう。もしかしたら子供たちもいるかもしれない」
「うん。あれは大丈夫?」
リュネが久々に僕を見る。アレって言われた。
「うん。心配しないで。オアミー!」
体が嘘みたいに回復する。
「ショウ。行ける?」
「大丈夫、早く行こう、水が、じゃないみんなが待ってる」
僕は渇いたのどを唾で潤しながら、洞窟を目指した。2人から白い目で見られているのには気づかないようにした。
リュネが心配している。
オレンジスライムさんは万能だ。水で清めれば、食べるだけでHPはそれなりに回復するし、調理によっては完全回復する奇跡の食材だ。店を切り盛りしている時もヨーコと営むときもスライムがいればすぐさま回復する。満腹感を得られるので食事の必要もないし、MPも満タン、いつでもハイになれる。
なのに今日は水に入れて全部ワースに食べさせてしまった。おかげで震えと渇きが止まらない。僕はぁ、あっあれが無いとダメなんだ。震えてきちまうよ。スライム、スライムをくれ。
…もちろんスライムに中毒性は無い。
震えてるのは足だ。山登りがこんなにもきついとは思わなかった。
それ以上に水。ワースに全部使ったので喉の渇きが止まらない
「ショウ。回復しようか?」
「ぜーっぜーっ良いっです。ヨーコ、は、魔力、おんぞ・・・」
ワースの最後の瞬間よりも言葉になっていない。この世界に来て体力を心配することはあまり無かった。
「なら休憩しよう。リュネ。その間に敵の情報を聞かせて、良い?」
「ぜあーっ、ふーっはぁっ、はぁっうっぷ・・・」
「・・・わかった。なんかこの人可哀想だし」
ぼふっ!!!!少女から渾身の一撃!
「いざという時は頼りになるのよ?今は全くそうは見えないけど、ホントよ!」
うごふっ!!!!!嫁から会心の一撃!
心が折れた。2人とも体力がありすぎる。まあヨーコはレベルも高いししょうがない。でも一方はまだ女児だ。竜人ってだけでこんなに体力あるのか。あぁやめて、可哀想な目で見ないで!
少し道が広がったところで、休憩することになった。
「2人にリュネは心当たりがあるのね」
リュネはコクンと頷く。
「一人は、分からない。でももう一人は絶対わかる。あいつは、クズデッス。私を、この国に連れてきた、奴隷商よ」
クズデッスか、モブモブ達の逮捕前に姿を消したあの奴隷商か。元は他国の魔術師とかモブモブが言っていたな。それより水は無いのだろうか。
「クズデッスか、違法な奴隷を扱うなんて、解放された元奴隷の私としては、許すわけにはいかないわ。そいつもこの山へ来てるのかしら?」
「たぶん。でもあいつは一人でも多く奴隷が欲しい筈だから、捕まっても殺されないとは思う」
なるほど、それが救いだな。水が無いのは絶望的だが、殺される可能性が無いのなら水をどこかで探して飲む時間もあるかもしれない。
「もう一人の方が心配だわ。そいつも奴隷商なのか、それとも別の誰かなのか。私達だけで何とかなる相手なのかも含めて問題ね」
「山には守り神様がいるから、他の子達もそこまで行けば安心」
「守り神様?なんなのそれは?」
「この山に来る悪い人をやっつけてくれるんだって、魔物も寄せ付けないくらい強い。バッドもワースもいざとなったらその人がいるからここに里を作ったって言ってた」
俺も聞いたことがある。山の上の洞窟で生活してるやつがいるとか、道中モンスターがいないのはそいつのおかげか。はっ!そうか洞窟まで行けば水があるのか。
「じゃぁそいつの所へ急ぎましょう。もしかしたら子供たちもいるかもしれない」
「うん。あれは大丈夫?」
リュネが久々に僕を見る。アレって言われた。
「うん。心配しないで。オアミー!」
体が嘘みたいに回復する。
「ショウ。行ける?」
「大丈夫、早く行こう、水が、じゃないみんなが待ってる」
僕は渇いたのどを唾で潤しながら、洞窟を目指した。2人から白い目で見られているのには気づかないようにした。
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