転生スライム食堂~チートになれなかった僕の普通に激動な人生~

あんずじゃむ

文字の大きさ
33 / 72
第3章 生きるために稼ぐ

第32話 今まさに奇跡と向き合う

しおりを挟む
「モブモブ、しっかりして、モブモブっお願い!!!」

僕とヨーコが急いで駆け寄ると、モブ美がモブモブを抱きしめていた。

「任せてっ疲労して帰宅した夫も一瞬で癒す 家庭魔法 オアミー(それとも私)!!」

モブモブの体が光に包まれる。しかし血はまだ止まらない

「不味いわ。そもそもこの家庭回復魔法は大切な人にしか効果が薄い!モブモブごときを愛する事なんて私にはできないわ!」

「わかるけど言葉にするのはやめようか、ヨーコ」

「お願い、しっかりして、モブモブ!モブモブ!私あなたの事が、イジメてばかりだったけど、本当はあなたの事が…!」

「ねっねぇ、さん、何泣いてるんすか、あっあれっ無事っすか?」

「私は大丈夫。あなたのおかげよ」

「ちっあっほっ」

モブモブの言葉はなかなか言葉にならない

「だめっs。もう言葉っききっとれなっっ」

「私モブモブを愛してる、お願い、お願い!生きて!お願い!」

泣きじゃくる。モブ美。やっと言えたのに。こんなのはあんまりだ。

「俺、、、m、も、っっっっっす」

「モブモブ!」「モブモブ!!」「モブモブ!!!」

3人の声がハモる。まさか、本当に、本当に両想いなんて!モブモブ、お前は、本当は全部気づいていたんだな。モブ美の気持ちも、今日の告白も、実は全部・・・ならなんで、なんでこんな結果に!!!

モブモブは手を上にあげる

「モブモブどうしたの!?何!?」

「わかってるさモブモブ。任せろ」

俺はペンを持たせる彼の前に婚姻届を出す。

「ショウ?」

「こいつ、本当は全部わかってたんだ。分かってて気づかないふりをして、道化を演じて、それでも気持ちに嘘はつけなくて、死っ死ぬってわかっだからその前にっでぇ」

俺は涙がとまらない、2人もだ。モブモブはまともに文字も書けない。もう目も見えてないのだろう。

「だめっ彼のHPが、もう・・・うぅっ」

「最後に、最後にモブ美殿何か言ってやれ・・・」

「あなたを愛してる。これまでも、これからもずっとよ」

「ふだりの愛には、敵わねぇだぁぁ」

ゆっくりとモブモブの瞳が閉じる。あぁもう終わりなのか、もう、

「待つのネ!これを使うのネ!」

「諦めるのは、まだ早いんだナ!」

バッドとワースだ。よかった、生きていたんだ。

「すまないナ。少年。実は俺たち、あのドラゴンの牙の欠片持って、逃げようとしちゃってたナ。さっきまで」

「ごめんネなのネ。高く売れれば子供たちがって、でも、でも今の話を聞いてネ、間違いだって気づいたのネ。彼は生きるべきネ。この牙を使ってネ」

2人は自分の行動を恥じて、モブモブとモブ美の愛に触れて泣いていた。

「牙でってどういう事だ?」

「ドラゴンには圧倒的な破壊の能力と再生能力があると云われているのネ。これだけの牙、古代種の物ならきっと人くらい再生できるはずなのネ!!!」

「何とか牙を削るんだナ。その一部をモブモブに当てて、回復魔法を注ぎ込むんだナ!」

「削るって、伝説のドラゴンの牙を、どうして、どうして知ってるんだそんな事!?いやそれよりそのままじゃだめか?」

「僕らの隠れ里には、迫害された竜人の子もいるのネ。彼女から聞いたのネ!」

「大きすぎるんだナ!破壊の方の能力に触れたら、モブモブ消えてなくなるかもしれないんだナ!」

「何だよそれ、くそ、どうすれば、どうすれば」

「私に任せて!今なら、今ならモブモブにだって魔法がもっと効く気がするの。モブモブもモブ美も、もう私の大切な、仲間だから!」

ヨーコは涙を拭く。そして魔力を解放する

「夫の浮気は死んでも許さない。死を持って償うべし!家庭魔法 ラッシュ・ハブ・ア・キッチンナイフ!!!!(出刃包丁突進)」

巨大な刃が生成される。ドラゴンと比較できるほど。それが、牙へと突き刺さる!!!

ガキィィィィィィン!!!
周囲に突風が広がる。だが、

「あの包丁が、止まっているだと!古代種の牙、何て堅い!!!」

「任せて!2人の幸せを、絶対に私は、壊させない!全力解放!!!浮気を認めぬ夫には拷問も必至!病みの家庭魔法!ドリルトーチャー!!(ドリルで拷問)」

包丁が回転しだす、牙との間に火花が見える。それでも包丁が削れていく。

「くそっこんなっはず…」

バタッ

「ヨーコ!!!」

ヨーコが倒れた。魔力切れを起こしたんだろう。この間みたいに。

「いや、いけたナ!わずかだが、削れてる、本当にわずかだが牙が削れてるんだナ」

俺はヨーコを抱きかかえる。やったんだ。お前が、お前がやったんだよ!ヨーコ!

「待つのネ!誰が、誰が回復魔法を使うのネ。ヨーコさん倒れたのネ!」

「私に、私にやらせてください!!!」

「モブ美!!出来るのか」

「これから見せる力を、内緒にしてください。本当は人に見せてはならないものだから」

バッドとワースが牙の粉を持ってきて、モブモブに振りかける。

モブ美がモブモブを抱きかかえる。すごい光景だ。そして彼女が光り出す。

「これは、妖精族にだけ伝わる力」

「誰かへの想いが最大になった時に使える奇跡。その相手に。どんな傷もどんな毒も関係ない」

弟想いLv.99。あれかっ!!

「今、私の想いよ!奇跡となれ!!!妖精の加護!!!キス・オブ・ラブ!!!」

モブ美の唇がモブモブと触れ合い強い光が彼女たちから発生する。

光が一瞬で大きく広がり、そしてモブモブへと収縮する。

そこには・・・・・

傷もなく、安らかに寝息を立てるモブモブと・・・


それを抱きかかえ、顔を真っ赤にして照れているモブ美が立っていた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

処理中です...