転生スライム食堂~チートになれなかった僕の普通に激動な人生~

あんずじゃむ

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第5章 生きるためにかえす

63.3話 次章に続くエトセトラ

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「はい、揚げスラ鶏定食お待ち!」

モブモブ・モブ美の結婚式から1ヶ月がたった。僕は死んだ方がましだったというお仕置きに耐え、何とか赦しを得た。

「いやぁヨーコはんは本当に優しい奥さんで幸せやな。ショウ」

リュウはあの夜のキャバクラ事件でヨーコの証人喚問に呼ばれたものの、事のあらましを詳細に語る事で御咎めなしになっていた。

「リュウは良いよな。司法取引に応じて無罪だもんな。僕があれからどれだけ…やばいまた涙が」

「まあ何されたかは想像に難いけども、生きてるんやからいいやろ。店も盛況やないかい」

「まあね。はい揚げスラ鶏定食お待ち!リュウも食べていくか?」

「無理やな。わてはモンスターは無理や。生理的に無理。」

新しくオープンしたお店は盛況だ。メニューを絞り揚げたスライム一本に絞ったのが功を奏したようだ。初めての食感に客のリピートも多い。

「毎日盛況で本当に良かったわ。ねぇショウ?」

「はいっ!僕は毎日!ヨーコの傍にいられて幸せです!サー!」

2人の会話は夫婦とは言い難いが、それでも直に元に戻るだろう。

「まぁええわ。それよりヨーコはんと相談しといてや。ほな、さいなら」

リュウは店から小走り気味に出ていった。さすがに生のヨーコへの恐怖心は抜けきってないらしい。それでも直に元に戻るだろう。

「ショウ何の話?また悪巧みならまたアレをするわよ?」

「サー!悪巧みではありません!リュウからの依頼です!サー!」

リュウからの依頼はリュネを含む10~12歳勢の事だ。ポットデの計らいで学校へ通わせたらどうかとの事らしい。

「なるほど。でも何でショウに?」

「ポットデが僕も入学してはどうかってさ。この国では15歳までの学校教育を推進をしてるらしくてさ」

「そうなの。ショウは行きたいの?」

「うーん。店があるし良いかな。正直魔法は覚えたいけどヨーコといたいし」

「ショウ///」

よしっポイントゲット。コツコツ貯めないといつアレをされるかわからない。

「それにポットデ氏にとって僕達いつの間にか何でも屋になりつつあるからさ。ここらでストップしておこうかと」

「なるほどね。良い人だし金払いもいいんだけどね。この間も国外まで逃げたモブモブ探しをさせられたしね」

「あぁ、まさかモブモブも1日12回は無理って逃げ出すとは思わなかったよ。気持ちはわかるけ…なんでもないです」

ポイントロスト。アレに近づいてしまった。にしてもこの世界の女は本当に性欲が強いのかもしれない。

「まあ学校なんて碌な所じゃないわよ。どうせショウが行ってもまた事件に巻き込まれて、死にかけるだけよ」

「うん。もうヨーコのその発言までもフラグな気がするよ。止めて本当に」

「ちょっとスラ定まだなの?私この後また仕事なんだけど」

タンゴが飯を催促してくる。夫婦の会話を邪魔するなんて、客のくせに…やばい初期の頃のヨーコみたいな事を言い出してしまっている。

「はいっお待ち!タンゴお前スラ定好きだな?」

「そうなの。もうなんかこれ食べないと震えが止まらないのよ」

激務の仕事の間毎日食べさせていたせいかもしれない。一度スライムの中毒性について調べてみよう。

それにしても、

「スラ鶏4入りました!」

こんなに日常パートが続くのは初めてかもしれない。店に出て食事をだし、お金をもらう。あぁ普通って素晴らしい。ずっとこんな日が続けばいいのに。

ショウは祈り、今日もスライムを加工する。モンスターを客に食べさせている時点で普通ではないのだが日常が非日常化しつつあるショウにはもう気づくこともできない

「スラ鶏定上がったよ!」

そして、この穏やかな非日常すらも、立てられたフラグにより崩壊していく事に、ショウは気づいて

「どうせまた何か起こるんだろうなぁ」

気づいてはいた。でもどこか諦めていただけだった。
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