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幕末動乱篇6 攘夷の渦の中へ
攘夷の渦の中へ(5)
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「すまん入る」
と言って聞多は、御納戸部屋に入り込んでいった。
「おう、大和に内蔵太久しいのう」
「何言っとる。昨夜顔は合わせちょる。何も話せんかったけどなぁ」
大和がからかうように聞多に声をかけた。
その雰囲気には合わせずに聞多は切り出した。
「殿はおいでか。お目通りを願いたい」
「大丈夫じゃ。お待ちになっとる」
渡邊内蔵太が答えた。聞多の言い分をすぐには理解できなくても、こうやって手伝えるのはうれしかった。頑張ってやってこいと心のなかで告げた。
聞多は俊輔に向かって言った。
「俊輔ついてこい」
思ったよりも冷静に言えた。これなら殿の前でも冷静になれる。
「はい」と消え入りそうな声しか出なかった俊輔は、聞多の後ろに付いていった。
そして襖の前で止まった。
「井上聞多、参りました」
「入れ」
声がかかると、聞多は襖を開けて入っていった。俊輔にも付いてこいと手招きをした。
次の間あたりに俊輔を座らせて、自分は殿の前に進んでいった。
「復命を頂く前に帰国と相成ったこと誠に申し訳ございません。こうしてお許しをいただきありがたきことにございます」
聞多は平伏しながら、藩主敬親の前で挨拶をした。
「無事の帰国何より。異国の話詳しく方聞きたいところだが、所要も色々あってなぁ。落ち着いたらということじゃ」
「承知いたしました。ゆっくりいたしましたら、ということで。つきましては無作法でございますが、お願いがございます。ここに控えております、伊藤俊輔にお目通りをお許し願います」
藩主毛利敬親は聞多の有無を言わせぬ圧力に、苦笑いしながら応じた。
「聞多の願い認める。そうせい」
聞多は後を振り返り俊輔を呼んだ。
「伊藤俊輔、こちらへ」
俊輔は敷居を超えたところで、頭を下げた。
すると聞多がもう少しこっちにこいというかのように、少し後ろのところに手を置いた。そこまでにじり寄ると、また俊輔は頭を下げた。
「伊藤俊輔でございます。士雇いにてお抱えいただきました。このようにお目通り叶い恐縮にございます」
「そのほうが伊藤俊輔か。そなたからもこの度のこと話を聞きたい」
「私もこの度の攘夷は過ちとして、四カ国と和議を結び、提携をするべきと考えます。これほどの国力の差は争い事にすらなりません。我が方も力をつけねばなりません。しかし、すぐには無理なことでございます」
「二人の意見、最もと思うところもあるが、藩是を変えるのは色々と難しいこと。皆の意見も聞く必要があることは存じておろう」
「はっ、これからも藩要路の方々とも、話をしてまいります」
聞多が答えた。
「定広も話を聞きたがっておった。必ず顔を出してほしいと申しておったぞ」
「世子様が・・・・。必ず後ほどお目通りを」
「そうせい」
そう笑って敬親は奥に消えていった。
それを見届けて、聞多と俊輔も接見の場から出ていった。
と言って聞多は、御納戸部屋に入り込んでいった。
「おう、大和に内蔵太久しいのう」
「何言っとる。昨夜顔は合わせちょる。何も話せんかったけどなぁ」
大和がからかうように聞多に声をかけた。
その雰囲気には合わせずに聞多は切り出した。
「殿はおいでか。お目通りを願いたい」
「大丈夫じゃ。お待ちになっとる」
渡邊内蔵太が答えた。聞多の言い分をすぐには理解できなくても、こうやって手伝えるのはうれしかった。頑張ってやってこいと心のなかで告げた。
聞多は俊輔に向かって言った。
「俊輔ついてこい」
思ったよりも冷静に言えた。これなら殿の前でも冷静になれる。
「はい」と消え入りそうな声しか出なかった俊輔は、聞多の後ろに付いていった。
そして襖の前で止まった。
「井上聞多、参りました」
「入れ」
声がかかると、聞多は襖を開けて入っていった。俊輔にも付いてこいと手招きをした。
次の間あたりに俊輔を座らせて、自分は殿の前に進んでいった。
「復命を頂く前に帰国と相成ったこと誠に申し訳ございません。こうしてお許しをいただきありがたきことにございます」
聞多は平伏しながら、藩主敬親の前で挨拶をした。
「無事の帰国何より。異国の話詳しく方聞きたいところだが、所要も色々あってなぁ。落ち着いたらということじゃ」
「承知いたしました。ゆっくりいたしましたら、ということで。つきましては無作法でございますが、お願いがございます。ここに控えております、伊藤俊輔にお目通りをお許し願います」
藩主毛利敬親は聞多の有無を言わせぬ圧力に、苦笑いしながら応じた。
「聞多の願い認める。そうせい」
聞多は後を振り返り俊輔を呼んだ。
「伊藤俊輔、こちらへ」
俊輔は敷居を超えたところで、頭を下げた。
すると聞多がもう少しこっちにこいというかのように、少し後ろのところに手を置いた。そこまでにじり寄ると、また俊輔は頭を下げた。
「伊藤俊輔でございます。士雇いにてお抱えいただきました。このようにお目通り叶い恐縮にございます」
「そのほうが伊藤俊輔か。そなたからもこの度のこと話を聞きたい」
「私もこの度の攘夷は過ちとして、四カ国と和議を結び、提携をするべきと考えます。これほどの国力の差は争い事にすらなりません。我が方も力をつけねばなりません。しかし、すぐには無理なことでございます」
「二人の意見、最もと思うところもあるが、藩是を変えるのは色々と難しいこと。皆の意見も聞く必要があることは存じておろう」
「はっ、これからも藩要路の方々とも、話をしてまいります」
聞多が答えた。
「定広も話を聞きたがっておった。必ず顔を出してほしいと申しておったぞ」
「世子様が・・・・。必ず後ほどお目通りを」
「そうせい」
そう笑って敬親は奥に消えていった。
それを見届けて、聞多と俊輔も接見の場から出ていった。
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