人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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三章 王都オリーブ編2 周辺地域道中

187 見覚えのある物

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 フローラさんも、あんな冗談を言うんだな。
 でも冗談の内容と場所を考えてくれないと、聞かれるとまずい相手が居るんだからさ。
 職員の誰かが聞いてたとかで、それが本人に伝わらなければいいんだけど……。
 ま、まぁ周りには誰も居なかったから、大丈夫だろう。
 さてそれはもう良いとして、ナツメとグレープを連れて王都見物しながら、ついでに宿も探すかな。
 フローラさんは『お金があるなら少しくらい高い所に泊まったら』とか言ってたけど、高級な宿ってお客もそういった人達だろうし、部屋に居ても落ち着きそうにないんだよなぁ。
 貴族の屋敷に、滞在してたときもそうだったし。

「ねぇカズ、あそこ入ろうなの」

「あの店……雑貨屋かな?」

「グレープがあのお店行きたいって。ナツメはいいかな?」

「良いよ」

 グレープの指差した店に、三人で入って行く。
 路地を少し入った所にあるその店には、布で出来たボールや女の子の人形に、木で出来た短く小さな剣や杖などが置いてあった。
 どうやら子供の遊びに道具を、主に売っている店のようだった。
 ナツメとグレープは店内に置いてある物を、楽しそうに見ていた。
 カズもこの世界にある子供の遊びに道具が、どういった物か見ていると、見覚えのある物があった。
 じっとそれを見ていると、店主がカズに話しかけてきた。

「それが気になるのかい?」

「これはなんですか? (俺が知ってるのと、色が違うんだけどなぁ)」

「それは『反転コイン』知らないのかい? 白と緑の両面で色の違うコインを、二人でお互に交互に置いていき、挟んだらひっくり返すんだ。この板にある枠に、コインが埋まりきったら終わり。どちらの色が多いかで勝敗を決める。簡単だろ」

「これって珍しいんですか? (やっぱりそうだよな)」

「何にも珍しくないさ。知らないあんたの方が珍しいよ」

「これって、何年くらい前からあるんですか? (知らない訳じゃないんだけど)」

「そうだな……八十年くらい前に、どこかのダンジョンで見つかったと、聞いたことがあるがなぁ。これは白と緑だが、見つかった物は『白と黒』だったと聞いたことがある。今は地域によって、色が違う物が作られてんだ」

「ダンジョンから、そんな物が見つかるんですか?」

「ああ。調べ尽くしたと思ったダンジョンから、たまに隠し部屋が見つかったりして、そういった所から見つかるらしいんだ。その大半が、こういった娯楽道具なんだよ」

「へぇーそうなんですか(あのチャラ神だな。電気を使わない物だったら、探せば他にもありうだな)」

「それで買うか?」

「俺はいいです。お話ありがとうございました」

「じゃあそっち子供は、何か気に入った物はあったか?」

「二人は何か気になるのを見つけたかい? (話だけ聞いて帰るってのも悪いか)」

「ぼくこれ欲しい」

「ねぇカズ…これなの」

「両方で銀貨五枚でどうだい? 他で買うともう少しするよ」

「二人が気に入ったなら良いよ(ナツメがボールで、グレープが人形か。一応変な物じゃないか鑑定しておくか)」

「ありがとうよ」

 鑑定したらよくある物らしく、おかしなところはなかった。
 カズは銀貨六枚を店主に渡した。

「一枚多いですよ」

「話を聞かせてくれたお礼だと思ってくれ。ナツメ、グレープ行こうか」

「ありがとうカズ」

「大事にするなの」

「ありがとうございました。またのお越しを」

 店を出た三人は、フローラが言っていた時間が近づいてきたので、ギルドに戻ることにした。
 ギルドに戻るまでの道すがら、いろいろと摘まみながら食料を買って行く。
 昼頃ギにルドに着くと、グレープが受付に居るトレニアの所に、人形を見せに行った。

「トレニア見てなの」

「かわいいお人形ね。どうしたの?」

「カズが買ってくれたなの」

「そう良かったわね」

「良かったなの」

「カズさん、モルトさんが戻って来まして、三階の部屋で待っているので来てくださいとのことです」

「分かりました。ナツメ、グレープ行くよ(モルトさん戻ってくるの早かったなぁ。キウイに二人のことを、聞いてきくれたのかな?)」

「うん」

「はーいなの。じゃあねトレニア」

「またね」

 トレニアの言伝を聞いて三人は、既に戻って来ているモルトの所に行く。
 階段を上がり三階に行くと、話し声が聞こえてきたので、その部屋へと向かう。
 モルトともう一人の声が聞こえたが、カズはその声に聞き覚えがあった。
 部屋の扉は開いており、モルトの姿が見えたので、カズは声を掛けた。

「モルトさん、お待たせしました」

「儂らもさっき来たところですから、別に待つという程ではないですよ」

「そうだにゃ。来てから五分と経ってないにゃ」

「聞いたことある声だと思ったら、やっぱりキウイだったのか」

「久しぶりだにゃ。カズにゃん」

「モルトさんが連絡に行ったのは聞いたけど、一緒に来るとは思わなかったよ。メイドの仕事は大丈夫なの?」

「大丈夫だにゃ。モルトさんが事情を話してくれたから、すぐに来ることができたにゃ。それでナツメとグレープは、居るのかにゃ?」

「あれ?」

 カズと一緒に階段を上がって来た二人だったが、キウイの声が聞こえると、部屋の外で立ち止まってしまっていた。

「どうしたのナツメ? ほら、キウイが来てくれたよグレープ」

 二人はゆっくりと部屋に入り、キウイの顔を見る。

「お姉ちゃん?」

「キウイお姉ちゃん…なの?」

「そうだにゃ。にゃちきのことを、忘れちゃったのかにゃ?」

「お姉ちゃんだ!」

「本物のお姉ちゃんなの!」

 ナツメとグレープは、思いっきりキウイに抱きつく。
 キウイも二人を抱き上げて喜ぶ。

「どうやら間違いないようですね」

「モルトさん、ありがとうございます。キウイを連れて来てくれて」

「構いませんよ。フローラ様にも頼まれた事ですし、このギルド内で貴族区に入れるのは、限られてますから。これも仕事です」

「そうですか……(あっさりしてるなぁ)」

「それに子供達を、早くお姉さんに会わせてあげたかったですから」

「そういえばモルトさんも、ナツメとグレープの面倒を見てくれたんですよね」

「ええ。ほんの少しだけ、孫が出来たような気持ちになりました」

 モルトは微笑んで、抱き合う三人を見ていた。
 キウイが抱いていた二人を離して、カズの前までやって来た。

「カズさんには、お礼を言わないといけないですね。モルトさんから話を聞いたときは驚きました、ナツメとグレープが連れ去られて、盗賊に捕まってたなんて。カズさんと会わなかったら、二人は……ありがとうございます」

 キウイはカズに深々と頭を下げて、お礼を言う。

「そんな……もう終わった事だし、二人もこの通り元気なんだから、そうかしこまらないでさ、いつものキウイでいいから」

「……んにゃ~」

「んっ? どうしたのキウ…」

「ありがとにゃぁ~! やっぱりカズにゃんはいい人にゃ~!」

 頭を下げてたキウイが、急にカズに飛びつき、カズの頭を抱えるようにして、強く抱きついた。

「んぐッ……クフィ…イクが…フヘが……」

 カズの顔はキウイの胸に埋り、生涯二度目となる、苦しさと気持ちよさを味わっていた。

「キウイお姉ちゃん」

「お姉ちゃん…お姉ちゃん! ってばなの」

「んにゃ! どうしたにゃ?」

「カズが……」

「何か言ってるなの」

 ナツメとグレープの呼び掛けに、キウイは力を抜きカズを解放した。

「プフぁ~……」

「カズにゃんごめんだにゃ。つい嬉しくてにゃ」

「これからキウイが喜んでるときは、近くに居ないようにしないと」

「にゃはははッ」

「カズ君、少し顔が赤いですぞ」

「え、あ、そうですかねぇ。急にだったので、少し驚いたらかですよ(キウイの胸の感触がまだ顔に……)」
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