人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
652 / 912
五章 テクサイス帝国編 3 帝都テクサイス

631 ギルド本部への顔出し と 三つの依頼

しおりを挟む
 三人の状態を見たカズは、買って来たハチミツたっぷりのフルーツタルトは翌日に回す事にした。

「先にビワを部屋まで連れてくが、二人は大丈夫か?」

「平気。少し外で涼んでから部屋に寝るわ」

「あちしも大丈夫び」

 アレナリアは裏庭に涼みに出て、レラはリビングのソファーに移る。
 カズはビワの手を取り、階段を上がり二階の寝室に連れて行く。

「片付けは俺がやっておくから」

「ありがとう。カズさん」

「あの調子なら、アレナリアとレラも明日起きるのは遅いだろうから、たまにはビワも、早起きしないで寝てるといい」

「は…い……」

 返事をしたビワは、すやすやと寝てしまった。
 ビワに布団を掛けて寝室を出て、一階に戻り夕食の後片付けをする。
 残った料理はふたのある容器に移し替えて【アイテムボックス】に入れた。
 酒の入っていたビンは水洗いして一ヶ所に集め、使った食器を洗って拭いたら棚に戻す。
 一通り片付けを終えて、裏庭に出たアレナリアの様子を見に行くと、長椅子の上で横になり寝てしまっていた。
 起きそうにないので、抱き抱えてアレナリアの寝室に連れて行きベッドに寝かせる。
 レラもソファーで寝ていたので、アレナリアの次に連れて行こうとしたら目を覚ました。

「起きたのなら自分でベッドに行けるな」

「アレナリアとビワは?」

「二人とも寝たよ。レラも結構飲んでたろ。二日酔いにならないように、水飲んで寝ろよ」

「……」

 レラは黙ったままソファーから動こうとしない。
 寝てしまったのかと、カズは正面に回って確かめるが、寝てはいなかった。
 どうしたのかと考え、話が途中だったなと思い出し、レラの隣に座る。

「そういえばレラは、夕飯の前に一時間くらい寝てたっけな」

「うん」

「話の続きをするか? アレナリアは寝てるから、邪魔は入らないだろ」

「うん」

「それで、アーティファクトが欲しいとか言ったが、どういったのなんだ? 大きさとか形とか」

「どんなのかは知らない。ただ、この国にあるって」

「知らないが、帝国にある? 余計にわからなくなる。どこで知ったんだ? レオラに聞いたのか?」

「隠し部屋のに聞いたの」

「ああ、知性ある本インテリジェンス・ブックにか。そういえば、何か聞いてたんだっけ。あの時は秘密とか言ってたが、話してくれるのか?」

「……」

「そうか。別に無理にとは言わない。明日その隠し部屋に行くから、正確な場所がわかるなら、もう一度聞いてみたらどうだ」

「そうする」

「ならその時一緒に俺が居て聞いてていいか、決めておいてくれ。話せないのか話したくないのかはわからないが、どんなアーティファクトかわからないと、探しようがないからな(ビワは知ってるはずだが、こうしてレラが話してきたんだから、こっそり聞くのはやめておこう)」

「…うん、わかった。あちし寝るよ」

「ああ」

 せっかくカズと二人で話せる時間が取れたレラだったが、結局肝心な効果については教えてこなかった。
 二度大事な話を遮られ、話す気分ではなくなってしまったのだろうか?
 カズは気になり、その事をソファーで考えていたら、何時の間にか寝てしまった。


 ◇◆◇◆◇


 この日最初に目を覚ましたのは、昨夜最後に寝たカズ。
 流石に酔って寝てしまう程に酒を飲んでは、流石のビワも何時も通り早起きはしてこない。(カズが早起きしなくていいと言ったのもあるだろうが)
 翌日休みなのを忘れて、昼近くに起きて「寝過ぎちゃった!」なんて慌てるビワの姿を、そんな事はないだろうが、ちょっと見てみたいとカズは思ってしまった。

 だが冒険者ギルド本部というか、サイネリアに頼み事があるかどうかを聞きに顔を出し行くので、ビワが起きて来るまで待つことはしない。
 カズにはこれから先、いつでも見れるからという余裕からだ。
 今日もフジの所で小屋の改装をする予定があるので、三人が寝てる間に冒険者ギルドへの顔出しという約束を果たしに向かう。

 帝都の冒険者ギルド本部といえども、低ランク向けの依頼はある。
 大抵は一日か数時間程度で終わるような簡単な依頼が多いが、危険を伴うBランク以上の依頼も地方の冒険者ギルドから回って来る事も少なくはない。
 冒険者ギルド本部に在籍する冒険者に直接依頼する事もあるが、受ける者は少ない。
 受けられなかった高ランク向けの依頼は、依頼を出された冒険者ギルド以外の地方冒険者ギルドに、冒険者ギルド本部から連絡をして、受けられる冒険者を探して報酬の上乗せで受けてもらう事が多い。
 だがどうしても見付からない事もあり、そういった依頼は長い間手付かずのまま放置せれるのが大概だ。

 それがカズが来た事で、そういった高ランクの塩漬け依頼が、月に数件片付けられている。
 その事から頼み事を無下にする事はないだろうとカズ自身も分かっており、サイネリアだけではなくギルド本部の上層部もその事は理解しており、多少無理な事でも頼めば通るようになっていた。
 それに表向きはレオラ帝国第六皇女専属の冒険者となっているので、他の高ランク冒険者と同等に扱う事は出来ない特別な存在になっていた。
 当のカズ本人は、そんな事になってるなど気付いてはない。
 全ては帝国第六皇女レオラがあっての事だろうと。

 依頼を探してるわけではないので、何時も来るのは空いてる昼前くらい。
 今日は予定があるので、朝から来ている。
 地方の冒険者ギルドに比べ混み合ってはないが、それでも報酬の良い依頼を探して受けようと、Bランク以下の冒険者が十数組来ていた。
 Aランク以上の冒険者は、指名依頼を受ける事が殆どなので、受けている依頼でもなければ、朝から来るような事はない。

 受付で後輩に仕事を教えながら働くサイネリアの手が空くまで、カズは壁際に立って周囲を観察しながら暫く待つ。
 十分、二十分と時間が過ぎ、三十分が経とうとしたところで、サイネリアが受付を離れてカズの所にやって来た。

「朝から来られるなんて珍しくですね。ここでなくても、いつもの個室で待っていてもらっても、よろしかったんですよ」

「久しぶりに朝から来たんで、ちょっと他の冒険者を見ておきたかったんだ。それと昼頃から用事があるんで、今日はこの時間に来たんだ。受付の方はいいの?」

「少し空きましたので、あとは後輩に任せます。サポートしてくれる同僚もいますので大丈夫です。ではいつもの個室に行っていてください。わたしもすぐに向かいます」

「わかった」

 カズは階段を上がり、依頼などの話をする時に使う個室に移動した。
 五分程で何やら書類を挟んだファイルを持って、サイネリアが個室に入って来た。
 受けて欲しいと、依頼が書かれた紙をファイルから出して机の上に並べた。

 一つ目は大峡谷沿いの街フォース・キャニオンから北に続く道に、ワイバーンが多数出現するようになり、通行が制限されて物資の運搬が困難になったので、その討伐。
 少数の群れを率いるリーダーが対立して、縄張り争いをしているのが原因だと考えられている。

 二つ目は素材の大量調達。
 場所は以前にカズが行った、資源の潤沢ダンジョン。
 魔力を多く含んだ鉱石と、モンスターから取れる魔石が欲しいとの事で、五階層に潜って多くの魔核コアを回収してきて欲しいのだと。

 三つ目は北西部の高原での植物調査と対処。
 街からかなり離れている場所のために、受ける冒険者がずっといなく、現状危険がないからと長い間放置されていたが、ここに来て被害者が出てしまったから、ここギルド本部に依頼が回って来た。
 そこで突然変異した植物がモンスター化したのか、ただ植物が何かしらの影響で急成長しただけなのか調べて、急ぎ対処しなければならなくなった。

「カズさんには、この三つの依頼を受けてもらいたいのです」

「俺もダンジョンで食材を採取したかったから、素材の調達は受けよう。ワイバーンの方も近くだから構わない」

「ありがとうございます。もう一つの依頼もお願いします」

「北西部の高原か。行ったことないからなぁ。被害者が出たって書いてあるけど、何があったの?」

「ちょっと待ってください」

 サイネリは持って来たファイルから、北西部高原についての資料を抜き出す。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...