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第五部 テクサイス帝国 4 再会と帝都からの旅立ち
787 再び裁縫と刺繍の街バイアステッチに
何度か休憩を取りつつ移動を続けた事で、フクシアが寝ている間に空間転移魔法を使い、数キロの短距離転移を繰り返せば、翌日には目的の裁縫と刺繍の街バイアステッチが見えてくる所まで行ける事だろう。
焚き火をして夕食を終えると、フクシアがニゲラの話をしてきた。
奴隷商人に捕まってる間は辛かったが、家族がいなくなった自分に弟が出来たみたいで、捕まってる間の心の拠り所になったと話してきた。
両親の元に戻れて良い事だけど、また一人になってしまい少し淋しいと、心の内を伝えて来た。
一時的でもポッカリと空いた心の穴を埋めてあげようかと、イケてる大人ならフクシアを抱く事を考えたりするだろうが、カズは話を聞くまでに留まる。
三人の妻のある身で、弱みにつけ込んで、若い女性を抱くなんて事は考えない。
例え意気地なしと言われようとも、フクシアを抱く事はしない。
フクシアもなんとなく分かっていたらしく、カズを誘おうとはしてこなかった。
気不味くなる前に、カズは風で飛ばされてきた枯れ枝など、焚き火に焚べる物を周囲から拾い集めに動いた。
フクシアは荷台で寝ねて、カズは〈アラーム〉を使用してから焚き火の前で休む。
風が止んでも荒野の夜は冷えるが、毛布に包まるフクシアが寒がる事はなかった。
焚き火の前で夕食を取っている時に、カズは毛布に寒冷の耐性を《付与》しておいた。
それに包まっていれば、雪の中でも体温が下がる事はないので、フクシアはぐっすりと眠れるだろう。
◇◆◇◆◇
遠くの空が白々として夜が明けて来ると、フクシアを起こさないよう注意し〈飛翔魔法〉使用して、200メートル程上昇する。
日が昇り上空に居る場所が明るくなってくる頃には、遠くに裁縫と刺繍の街バイアステッチが、小さくだが目視で確認出来た。
地上に戻り焚き火に周囲の砂や土を掛けて消し〈空間転移魔法〉を使い、馬の手綱を引き荷馬車を移動させる。
裁縫と刺繍の街バイアステッチから歩いて三時間程の場所に転移した。
あまり近くに行き過ぎたら、フクシアも変に思うだろうからと。
新たに焚き火をして【アイテムボックス】から、野菜がたっぷり入った鍋を出して、焚き火で温める。
クツクツと温まってくると、フクシアが目を覚まして荷台から毛布に包まったまま降りて来た。
まだ眠たそうに見えたが、眠気より空腹が勝ったのだろう。
半分目蓋が閉じている状態で、野菜たっぷりのスープをスプーンで口に運ぶ。
次第に目蓋が上がりだし、スプーンを口に運ぶ回数が増える。
温かい野菜だけのスープは胃に優しいと、朝食に選んだのは正解だった。
フクシアは朝から三杯も平らげた。
スープを全て飲み干してからお代わりをしたので、800グラムは胃に収まっている。
野菜だけで消化が良いので、昼前にはお腹が空く事だろう。
何はともあれ満足してる様子だったので、カズは良かったと思い、野菜たっぷりのスープが入った鍋を【アイテムボックス】に入れた。
「あれ? 街ってもっと遠くに見えてなかったっけ?」
「夜明け前に目が覚めたから、フクシアが寝ている間に進んでおいたんだ(信じてくれるかな?)」
「何も出来ないで、食べて寝るだけでごめんなさい」
「謝る事ないさ。俺は旅になれてるから、野宿なんてどうって事ない。それに俺はアイテムボックスが使えるから、荷物を運ぶに苦労はないからね」
食事を与えてくれて仕事も斡旋してくれるというのに、御者すらも自分からやろうとしない事に、申し訳なさそうな顔をするフクシア。
カズとしては少しでも早く、三人の妻の待つ帝都に戻りたいと考えての行動に過ぎない。
だからと適当にフクシアの相手をしているわけではない。
衛兵や冒険者ギルドに任せる事は簡単だったが、大切な家族から引き離されたニゲラと、ただ一人の家族である母親が亡くなり、辛くとも生きる為に仕事を求め、新しい街に一人旅立ったフクシアを、なんとなく他人任せにしたくなかった。
結局その気持ちに従った事で、住む場所や仕事を世話してやる事に。
勧める仕事が合うかどうかは分からないが、裁縫と刺繍の街バイアステッチは様々な種族の女性が多く住む街なので、フクシアも暮らしやすいのではと考えた。
他者に任せて二人はどうなったか分からないなら、辛い思いをさせる事になっても、この目で確かめていこうと気持ちに従いここまで連れて来た。
この後フクシアの運命は神のみぞ知る、とは管理神を知っているので考えたくはない。
フクシア自身で切り開いて、自分の幸せを探してものにして欲しい。
勝手な考えだが、それしかない。
裁縫と刺繍の街バイアステッチまで、あと5キロ程の所でフクシアと御者を代わり、進路を少し北東に変えて街道に向かう。
カズ達が来た西の方角からより、荷馬車が多く出入りする北側か、東側の出入口の方が広くバイアステッチに入りやすい。
街中に入っても御者はフクシアに任せる。
住人の多い場所でも、荷馬車の操作が出来るようにと考えた。
一応フクシアと代わる前に、カズは馬によろしくと一声掛け、馬は意味を理解してくれ首を縦に振った。
ウール街から運ばれて来る荷馬車に続き、フクシアが御者をする荷馬車も街道に出てバイアステッチの北側よ出入口に向かう。
他の荷馬車のに後ろに続いているので、移動は小走り程度とゆっくり。
それでも一時間もすればバイアステッチに到着する。
ただしカズはギルドカードがあるも、身分証としては使えず、フクシアも身分証になる物を持ってないので、街の出入口に居る衛兵に訪れた理由を説明した。
フクシアが仕事を探しに、同行したカズが知り合いの店を紹介しに、と。
小さい荷馬車に乗って来た事が幸いしたのか、怪しまれる事なく街に入るための税を払い、無事に裁縫と刺繍の街バイアステッチに入る事が出来た。
カズが道を案内して、フクシアが手綱で馬に指示を出して荷馬車をゆっくりと進める。
手綱の扱いはまだ危なっかしいところはあるが、カズの言葉を理解していた馬は、通行人の動きに注意して、狭い道を通る時も、建物に当たらないよう気を付けてくれていた。
昼をとうに過ぎているので、工場で働いてる者達の昼休みは終わっている。
午後になり荷物を配達する荷車や荷馬車が減り、渋滞する事なく街中を移動する事が出来た。
フクシアはカズに指示された方へと荷馬車を移動させ、一軒の店の近くに荷馬車を停めさせた。
「話した職場はこの店なんだ。店主のパフさんに紹介したいから一緒に来て」
「はい(大きい工場もあったけど、そっちじゃないんだ)」
カズは荷馬車を降りて、パフ手芸店の裏に回り、フクシアも付いて行く。
裏口の扉をコンコンと叩くと「どちら様? 今日の荷物は全部届いてるはずなんだけど」と、パフが言いながら裏口の扉を開ける。
「パフさん、お久しぶりです。急にすいません。以前お世話になったカズです」
「カズ……? あんた! 今までどこをほっついてたんだい!」
「はい??」
カズの顔をマジマジと見て確認すると、パフが急に怒鳴りつけてきた。
なんで怒られたのか、カズには理由が分からない。
「はい? じゃないだろ! ビワを悲しませて、やっと迎えに来たと思ったら、若い娘を連れて、どういうつもりだい!」
「彼女はフクシアと言……迎えに来た? ビワがここに居るんですか?」
「居るも何も、あんたが行方不明になって、戻って来るまで働かせてほしいって、帝都からわざわざ一人で来たんだよ! 詳しい理由は聞かないでほしいって、半年くらい前に!」
「半年も……それでビワは?」
「少し前に冒険者ギルドに…! ほら戻って来た」
焚き火をして夕食を終えると、フクシアがニゲラの話をしてきた。
奴隷商人に捕まってる間は辛かったが、家族がいなくなった自分に弟が出来たみたいで、捕まってる間の心の拠り所になったと話してきた。
両親の元に戻れて良い事だけど、また一人になってしまい少し淋しいと、心の内を伝えて来た。
一時的でもポッカリと空いた心の穴を埋めてあげようかと、イケてる大人ならフクシアを抱く事を考えたりするだろうが、カズは話を聞くまでに留まる。
三人の妻のある身で、弱みにつけ込んで、若い女性を抱くなんて事は考えない。
例え意気地なしと言われようとも、フクシアを抱く事はしない。
フクシアもなんとなく分かっていたらしく、カズを誘おうとはしてこなかった。
気不味くなる前に、カズは風で飛ばされてきた枯れ枝など、焚き火に焚べる物を周囲から拾い集めに動いた。
フクシアは荷台で寝ねて、カズは〈アラーム〉を使用してから焚き火の前で休む。
風が止んでも荒野の夜は冷えるが、毛布に包まるフクシアが寒がる事はなかった。
焚き火の前で夕食を取っている時に、カズは毛布に寒冷の耐性を《付与》しておいた。
それに包まっていれば、雪の中でも体温が下がる事はないので、フクシアはぐっすりと眠れるだろう。
◇◆◇◆◇
遠くの空が白々として夜が明けて来ると、フクシアを起こさないよう注意し〈飛翔魔法〉使用して、200メートル程上昇する。
日が昇り上空に居る場所が明るくなってくる頃には、遠くに裁縫と刺繍の街バイアステッチが、小さくだが目視で確認出来た。
地上に戻り焚き火に周囲の砂や土を掛けて消し〈空間転移魔法〉を使い、馬の手綱を引き荷馬車を移動させる。
裁縫と刺繍の街バイアステッチから歩いて三時間程の場所に転移した。
あまり近くに行き過ぎたら、フクシアも変に思うだろうからと。
新たに焚き火をして【アイテムボックス】から、野菜がたっぷり入った鍋を出して、焚き火で温める。
クツクツと温まってくると、フクシアが目を覚まして荷台から毛布に包まったまま降りて来た。
まだ眠たそうに見えたが、眠気より空腹が勝ったのだろう。
半分目蓋が閉じている状態で、野菜たっぷりのスープをスプーンで口に運ぶ。
次第に目蓋が上がりだし、スプーンを口に運ぶ回数が増える。
温かい野菜だけのスープは胃に優しいと、朝食に選んだのは正解だった。
フクシアは朝から三杯も平らげた。
スープを全て飲み干してからお代わりをしたので、800グラムは胃に収まっている。
野菜だけで消化が良いので、昼前にはお腹が空く事だろう。
何はともあれ満足してる様子だったので、カズは良かったと思い、野菜たっぷりのスープが入った鍋を【アイテムボックス】に入れた。
「あれ? 街ってもっと遠くに見えてなかったっけ?」
「夜明け前に目が覚めたから、フクシアが寝ている間に進んでおいたんだ(信じてくれるかな?)」
「何も出来ないで、食べて寝るだけでごめんなさい」
「謝る事ないさ。俺は旅になれてるから、野宿なんてどうって事ない。それに俺はアイテムボックスが使えるから、荷物を運ぶに苦労はないからね」
食事を与えてくれて仕事も斡旋してくれるというのに、御者すらも自分からやろうとしない事に、申し訳なさそうな顔をするフクシア。
カズとしては少しでも早く、三人の妻の待つ帝都に戻りたいと考えての行動に過ぎない。
だからと適当にフクシアの相手をしているわけではない。
衛兵や冒険者ギルドに任せる事は簡単だったが、大切な家族から引き離されたニゲラと、ただ一人の家族である母親が亡くなり、辛くとも生きる為に仕事を求め、新しい街に一人旅立ったフクシアを、なんとなく他人任せにしたくなかった。
結局その気持ちに従った事で、住む場所や仕事を世話してやる事に。
勧める仕事が合うかどうかは分からないが、裁縫と刺繍の街バイアステッチは様々な種族の女性が多く住む街なので、フクシアも暮らしやすいのではと考えた。
他者に任せて二人はどうなったか分からないなら、辛い思いをさせる事になっても、この目で確かめていこうと気持ちに従いここまで連れて来た。
この後フクシアの運命は神のみぞ知る、とは管理神を知っているので考えたくはない。
フクシア自身で切り開いて、自分の幸せを探してものにして欲しい。
勝手な考えだが、それしかない。
裁縫と刺繍の街バイアステッチまで、あと5キロ程の所でフクシアと御者を代わり、進路を少し北東に変えて街道に向かう。
カズ達が来た西の方角からより、荷馬車が多く出入りする北側か、東側の出入口の方が広くバイアステッチに入りやすい。
街中に入っても御者はフクシアに任せる。
住人の多い場所でも、荷馬車の操作が出来るようにと考えた。
一応フクシアと代わる前に、カズは馬によろしくと一声掛け、馬は意味を理解してくれ首を縦に振った。
ウール街から運ばれて来る荷馬車に続き、フクシアが御者をする荷馬車も街道に出てバイアステッチの北側よ出入口に向かう。
他の荷馬車のに後ろに続いているので、移動は小走り程度とゆっくり。
それでも一時間もすればバイアステッチに到着する。
ただしカズはギルドカードがあるも、身分証としては使えず、フクシアも身分証になる物を持ってないので、街の出入口に居る衛兵に訪れた理由を説明した。
フクシアが仕事を探しに、同行したカズが知り合いの店を紹介しに、と。
小さい荷馬車に乗って来た事が幸いしたのか、怪しまれる事なく街に入るための税を払い、無事に裁縫と刺繍の街バイアステッチに入る事が出来た。
カズが道を案内して、フクシアが手綱で馬に指示を出して荷馬車をゆっくりと進める。
手綱の扱いはまだ危なっかしいところはあるが、カズの言葉を理解していた馬は、通行人の動きに注意して、狭い道を通る時も、建物に当たらないよう気を付けてくれていた。
昼をとうに過ぎているので、工場で働いてる者達の昼休みは終わっている。
午後になり荷物を配達する荷車や荷馬車が減り、渋滞する事なく街中を移動する事が出来た。
フクシアはカズに指示された方へと荷馬車を移動させ、一軒の店の近くに荷馬車を停めさせた。
「話した職場はこの店なんだ。店主のパフさんに紹介したいから一緒に来て」
「はい(大きい工場もあったけど、そっちじゃないんだ)」
カズは荷馬車を降りて、パフ手芸店の裏に回り、フクシアも付いて行く。
裏口の扉をコンコンと叩くと「どちら様? 今日の荷物は全部届いてるはずなんだけど」と、パフが言いながら裏口の扉を開ける。
「パフさん、お久しぶりです。急にすいません。以前お世話になったカズです」
「カズ……? あんた! 今までどこをほっついてたんだい!」
「はい??」
カズの顔をマジマジと見て確認すると、パフが急に怒鳴りつけてきた。
なんで怒られたのか、カズには理由が分からない。
「はい? じゃないだろ! ビワを悲しませて、やっと迎えに来たと思ったら、若い娘を連れて、どういうつもりだい!」
「彼女はフクシアと言……迎えに来た? ビワがここに居るんですか?」
「居るも何も、あんたが行方不明になって、戻って来るまで働かせてほしいって、帝都からわざわざ一人で来たんだよ! 詳しい理由は聞かないでほしいって、半年くらい前に!」
「半年も……それでビワは?」
「少し前に冒険者ギルドに…! ほら戻って来た」
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