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220.朝の夢
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「おはよう」
パジャマ代わりのTシャツとハーパン姿で、ボクはリビングに起きだしてきた。
「おはようございます。瑞樹さん」
朝の光が似合いそうな笑顔で、咲恵がこちらを見て微笑んだ。
「瑞樹、おはよう。ん、どうしたの。朝から疲れてる顔をして」
萌がアイスコーヒーのグラスを持って、ボクの顔を覗き込みながら言う。
「別に」
「あれ、昨日の夜、わたしたちが相手をしてあげなかったから、悶々として自分で抜いちゃったのかな」
少し意地悪そうな笑みを浮かべて萌が言う。
「そうなんですか」
「ち、違うよ。飢えた野良犬じゃあるまいし」
「わかった。いやらしい夢見て、夢精でもしたんでしょ」
真実に近いことを萌に突っ込まれて、ボクは狼狽していることを隠そうと焦った。
「そんなこと、あるわけないじゃん」
冷静を装っているボクに、クンクンと鼻を近づけて匂いを嗅ぐ仕草をした萌は追い打ちをかける。
「なんか、男のアレの匂いがするような」
「瑞樹さん、そんなに溜まってたんなら言ってくださいよ。せめて、手で抜いてあげることも出来たんですよ」
「咲恵らしくもないことを、言わないでくれよ。萌が言ってることが、正解みたいに聞こえるじゃないか」
「ちょっと待って。咲恵ちゃんが下ネタを言うのはらしくないって言って、わたしが言うのは、当たり前みたいに言われると温厚なわたしでも怒っちゃうよ」
「わたしも、いつまでも子供みたいに言わないでくださいよ」
二人は言葉とは裏腹に、笑い声をリビングに響かせた。
「まあ、昨日あれだけ律子さんとやって、余分な元気なんてあるわけないよね」
「そうそう、横で見ていてもうらやましかったですからね」
「だよね」
話の収束点を見いだしたところで、ボクは内心でホッとして、テーブルに着き渇いたノドにアイスコーヒーを流し込んだ。
「わたし、夕方から仕事だから、先に出るね。咲恵ちゃんは出発はお昼過ぎなんでしょ。それまで、家でゆっくりしたら」
朝食を早々と済ませて、萌は荷物をまとめた。
「咲恵ちゃん、またね」
「うん、連絡を入れるわ。瑞樹さんが悪いことしてないか」
「おいっ」
明るい雰囲気で別れを告げた萌は、ボクの耳元で囁いた。
「瑞樹、わかってるとは思うけど、あの親子には気をつけてね」
「わかった」
キャリーバッグのキャスターの音と共に、萌は朝の光の中に消えていった。
「ふたりになっちゃいましたね。洗濯でもしときましょうか。瑞樹さん、そのパンツは洗いますから脱いでください。しっかり匂ってますよ」
咲恵は、萌の消えていったドアをしばらく見つめて、そして視線をボクに移して言った。
「えっ、匂ってるの」
思っていなかったその言葉に、固まりながらボクが言う。
「微かにですけどね。でも、萌ちゃんはしっかり気がついてたと思いますよ」
どこか、力が抜けてしまったボクは、畳んであった洗濯物から持って来たパンツを咲恵から受け取った。
「パンツ、着替えさせてあげますよ」
咲恵は、ボクの手を首に回させ抱えあげて、パンツをお尻から引き下ろした。
「誰の夢を見て、こうなってんですか」
密着した耳元で、語気を強めて聞いてくる。答えを用意していなかったボクは、少し間を置いて返答した。
「咲恵さんの夢を見て」
フッとため息をついて咲恵は静かに言った。
「嘘、下手ですよね」
パジャマ代わりのTシャツとハーパン姿で、ボクはリビングに起きだしてきた。
「おはようございます。瑞樹さん」
朝の光が似合いそうな笑顔で、咲恵がこちらを見て微笑んだ。
「瑞樹、おはよう。ん、どうしたの。朝から疲れてる顔をして」
萌がアイスコーヒーのグラスを持って、ボクの顔を覗き込みながら言う。
「別に」
「あれ、昨日の夜、わたしたちが相手をしてあげなかったから、悶々として自分で抜いちゃったのかな」
少し意地悪そうな笑みを浮かべて萌が言う。
「そうなんですか」
「ち、違うよ。飢えた野良犬じゃあるまいし」
「わかった。いやらしい夢見て、夢精でもしたんでしょ」
真実に近いことを萌に突っ込まれて、ボクは狼狽していることを隠そうと焦った。
「そんなこと、あるわけないじゃん」
冷静を装っているボクに、クンクンと鼻を近づけて匂いを嗅ぐ仕草をした萌は追い打ちをかける。
「なんか、男のアレの匂いがするような」
「瑞樹さん、そんなに溜まってたんなら言ってくださいよ。せめて、手で抜いてあげることも出来たんですよ」
「咲恵らしくもないことを、言わないでくれよ。萌が言ってることが、正解みたいに聞こえるじゃないか」
「ちょっと待って。咲恵ちゃんが下ネタを言うのはらしくないって言って、わたしが言うのは、当たり前みたいに言われると温厚なわたしでも怒っちゃうよ」
「わたしも、いつまでも子供みたいに言わないでくださいよ」
二人は言葉とは裏腹に、笑い声をリビングに響かせた。
「まあ、昨日あれだけ律子さんとやって、余分な元気なんてあるわけないよね」
「そうそう、横で見ていてもうらやましかったですからね」
「だよね」
話の収束点を見いだしたところで、ボクは内心でホッとして、テーブルに着き渇いたノドにアイスコーヒーを流し込んだ。
「わたし、夕方から仕事だから、先に出るね。咲恵ちゃんは出発はお昼過ぎなんでしょ。それまで、家でゆっくりしたら」
朝食を早々と済ませて、萌は荷物をまとめた。
「咲恵ちゃん、またね」
「うん、連絡を入れるわ。瑞樹さんが悪いことしてないか」
「おいっ」
明るい雰囲気で別れを告げた萌は、ボクの耳元で囁いた。
「瑞樹、わかってるとは思うけど、あの親子には気をつけてね」
「わかった」
キャリーバッグのキャスターの音と共に、萌は朝の光の中に消えていった。
「ふたりになっちゃいましたね。洗濯でもしときましょうか。瑞樹さん、そのパンツは洗いますから脱いでください。しっかり匂ってますよ」
咲恵は、萌の消えていったドアをしばらく見つめて、そして視線をボクに移して言った。
「えっ、匂ってるの」
思っていなかったその言葉に、固まりながらボクが言う。
「微かにですけどね。でも、萌ちゃんはしっかり気がついてたと思いますよ」
どこか、力が抜けてしまったボクは、畳んであった洗濯物から持って来たパンツを咲恵から受け取った。
「パンツ、着替えさせてあげますよ」
咲恵は、ボクの手を首に回させ抱えあげて、パンツをお尻から引き下ろした。
「誰の夢を見て、こうなってんですか」
密着した耳元で、語気を強めて聞いてくる。答えを用意していなかったボクは、少し間を置いて返答した。
「咲恵さんの夢を見て」
フッとため息をついて咲恵は静かに言った。
「嘘、下手ですよね」
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