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39話 ミドリムシの家族は幻を操る
しおりを挟む胡蝶とファントムの場合
緑達が依頼を選ぶ中、胡蝶の背中から羽が生える。
それを見た緑は尋ねる。
「ファントムどうしたの? 」
「私も今回は依頼を受けようかと思いまして・・・・」
「何か、良さそうな依頼を見つけたの? 」
そう緑が尋ねるとファントムは静かにうなずいた。
ファントムが受けた依頼は王都にある有名な飲食店のウェイターでった。
「いらっしゃいませ、お客様。2名様でよろいしいでしょうか? 」
「うわ! ぼく賢いね~ お手伝いかな? 2名で宜しくね~ 」
「こちらでございます」
そう言って女性客を2名案内を案内するファントム、客が席に着くと注文が決まったら自分を呼ぶように言い席を離れる。
ファントムが朝から接客をしてると子供の容姿に綺麗な言葉遣いと丁寧な接客でほとんどの客の目を引き良い評価を受けていた。
そんな中ファントムが接客をしてると店に酔っ払いが入って来るのであった。
「お~い、俺も店にいれてくれ~ 」
「いらっしゃいませ、お客様」
素面なら入ろうともしない店に酔っているために入ってくる招かざる客をファントムが接客する。ファントムを見た酔っ払が面白そうに尋ねる。
「おい、坊主ここで働いているのか? お前みたいな坊主がきちんと働けているかテストしてやる・・・・なにか面白い芸でもしてみろ! 」
他のウェイターはそんな仕事などあるものかと思うが何をしでかすかわからない客に声をかけれずにいた。
そんな中、酔っ払いに対して丁寧なお辞儀をしファントムは答える。
「かしこまりました・・・・」
そう言って両手を広げるファントムの左右の手に幻想的な光があふれ出す。それは、まるでファントムの両手から様々な色に輝く蝶があふれ出すような光景であった。
それを目にした酔っ払いと周りで2人のやり取りを戦々恐々と様子を伺っていた他の客から声が上がる。
「「 おお! 」」
ファントムの両手から溢れた様々な色をもった蝶は次第に形を形成していく。
緑が以前居た世界ならクリスマスシーズンなどで見られるイルミネーションの様な光が複数の胡蝶の姿を形成するとファントムと一緒になって踊り始める。
その光景を目に客たちは食事も会話も止めその光景をただ見続ける。
ファントムといくつもの光で構成された胡蝶はシンクロし一切のズレが無い一糸乱れぬパフォーマンスを見せたかと思えば、1人の胡蝶が姿を変え胡蝶と同じ背丈の少女を形どり胡蝶と踊り始める。
その間他の胡蝶は姿を変え楽器を演奏するような素振りを見せる。光の幻想は音など発しないが周りの客耳には確かに音楽が聞こえ始めていた。
舞踏会で踊るカップルの様に踊り始めるファントムと少女。さらにその踊りに聞こえ始めた音楽。周りの客たちはその光景を固唾をのみ見守る。
ファントムと少女のダンスが佳境にはいるとそれと一緒に音楽も最高潮に登り始める。そして、ダンスの終わりと共に音楽もフェードアウトする。その直後辺りを少しの間静寂が包む。
初めに立ったのは連れ合いの女性と2人でこの店に来ていた男性であった。男性はおもむろに席を立つと大きな拍手をし始める。それにつられ相手の女性も立ち上がり拍手を送り始める。
するとその時店にいた全ての客が次々と立ち上がり拍手をファントムに送るのであった。
この時先の酔っ払いの姿はなかった。酔っ払いはファントムが少女と踊り始めた頃静かに店を出て行っていた。
今回の件でファントムがしたのは幻と幻聴を店内の全ての者にかけたのであった。イルミネーションでできた胡蝶たちは幻で音楽は幻聴で構成されていた。
本来戦闘に使用されることの無い幻と幻は相手がよほどの瀕死にでも陥ってなければ掛からない魔法なのだが、元ファントムバタフライのファントムの魔法はその常識を覆すものであった。
今回の件ではファントムは魔法を使って幻を見せたが自分自身だけは、きちんと1人踊っていたのであった。その時店の外を歩いていた通行人で店内を見たものは子供が1人踊っておりそれを店内の者すべてが恍惚とした表情でみているという異様な光景であった。
そして、消えたは酔っ払いは近くの公衆トイレで汚物まみれになって寝ているのを街の警備隊に発見されるのであった。
後日、店の中に居たものが見た事と酔っ払いの事が噂になり緑がファントムに尋ねた。
「この間の依頼の事街の噂になっているよまた今度働きにいくの? 」
するとファントムが答える。
「幻は何度も見るとありがたみが薄れるもの・・・・なので次はありません・・・・」
さらに緑が尋ねる。
「じゃあ酔っ払いがトイレで寝ていたのは? 」
「消毒できない汚物はトイレに流します・・・・」
それを聞いた緑は自分も消毒されない様に気を付けようと思うのであった。
レイの場合
レイが受けたのはギルドの解体作業の手伝いの依頼であった。本来冒険者は解体されるべきモンスターと戦う者が多いためこの依頼は常に出されているが人気がなく【赤い依頼】になるものが多かった。
レイはその依頼を見るとギルドの受付嬢に話しかけるのであった。初め、受付嬢は緑のチームに居るレイを知っていたため驚きを隠せないでいた。
「本当にうけてくださるのですか?」
「はい~ 受けたいと思います~ 」
その返事を聞いた受付嬢はレイをギルドの解体場へと案内するのであった。
部分別小説情
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