美しき吸血鬼魔王様、特異体質の最強勇者に打つ手はあるけど全部快楽にされて返される

マダナイ

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「参謀長!参謀長!」

…人間と魔族が常に争っている世界の"魔王城"。
主である魔王の気質にそって変化する奇妙な城なのだが、人間にとっては、恐ろしい魔族の中でも大将首の本拠地であるために興味本位で足を踏み入れる者はほとんど存在しなかった。
そんな場所に似つかわしいような、トカゲのような姿の不気味な男が大声を上げて骸骨の老人に駆け寄る。

「どうしたのかね大佐殿…そんなに慌てなきゃいけないことでもあるのかね?」

トカゲ男とは対象的に、参謀長と呼ばれた骸骨はなんでもないような態度をとっている。

「どうしたって…!この惨状を見ればわかるでしょう!作戦の変更を考えてくれませんか!」
「何故じゃ?上手くいっているじゃないか」
「あー!どこがですか!」

トカゲ男は話が通じないとでも言うように雄叫びをあげて、深呼吸をはさんでから骸骨を睨みつけるようにして説得を試みる。


「そもそも何ですか、"人間から離れた、醜悪な見た目の者のみ勇者と交戦させろ"って…!人型に近い者には知性と力を備えた強者も多いのに…!しかも」
「しかも?」

骸骨はトカゲ男の話をわざと遮って続きを促した。
その目…のあるはずの孔から、あるはずのない鋭さを感じたトカゲ男は、口調を冷静なものにするように努めて話す。

「今代の勇者は…私の知る限りですが…」
「1番強い、か。ワシもそうじゃよ」

絶句するトカゲ男。若造の自分だけではなく、最古参のこの骸骨でさえ"今代の勇者が1番強い"と認めたのだ。

「ならば何故このような作戦を?」
「ふむ…君、強いじゃろう」
「は…はい、それなりに」

まるで子供に諭すような話し方で骸骨は続ける。

「勝てるかね、あの勇者に」
「…無理ですね。不敬かもしれませんがもしかしたら…」
「歴代の魔王様でも勝てるお方はいらっしゃらないだろうよ」

最古参として多くの魔王に仕えた貴方が言っていいのか、とでも言いたげに。
トカゲ男は開いた口を塞ぐことすら忘れていた。

「そう、"勝てる"お方は、な」
「…はい?」

負けぬには勝つしかないはずなのだ。
骸骨はにやりと笑う。

「此度の魔王様が勇者の命を散らさぬのは知っているじゃろう」

そして「そうだ」と何か思いついたかのように骸骨は続ける。

大佐、魔王様と勇者の"謁見"は今回が初めてか!」
「はい、やっと魔王様のご尊顔を拝見できる時が来るなんて…光栄で嬉しくて!」

少し前まで睨みつけていたことが嘘のように照れ臭そうに笑顔になるトカゲ男。


「驚いて気をやるんじゃないぞ、此度の魔王様はまさしく魔性の化身…
なに、この作戦もそこで答え合わせされるだけじゃ。あの勇者も前の者どもと同じ運命を辿るだけだろうよ…」

ほっほっほ…と笑う骸骨がトカゲ男には何よりも恐ろしく見えた。







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