美しき吸血鬼魔王様、特異体質の最強勇者に打つ手はあるけど全部快楽にされて返される

マダナイ

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本編

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男だけど、とは言ったものの。

繊細で中性的な魅力も受け止めきれない程備えているが、女性的というよりかは 女性では決して造れぬ類の美しさがこの魔王に別次元の美を匂い立たせている。

もちろん勇者もそれを理解しているが。
しかし自分は魔王を倒しにきたのだという仮初めの理性と極度の面食いという真性の性癖がせめぎ合うのだ。

「何故喜ばしいのかはわからぬが」

空気を震わせる至高の音色は美しい魔王から発せられたものだ。
艶やかだが気品に満ちたバリトン。少し錆を孕んでいるのも艶やかさに華を添えている。

「よくここまで辿りついた。褒めてやろう…」

そう言って浮かべた微笑の美しさたるや…!
神々が住まう世界の至宝であろうが霞んでしまうに違いない。
勇者の理性なんてものは、完全に白旗を上げていた。

そんな勇者を気にも留めずに、魔王は玉座から立ち上がり、勇者の方へとゆったりと歩を進める。
一挙手一投足の全てが。この魔王が全ての美の頂点であるか、将又そのものだとでも言うように訴えているようだった。

…全てを差し出してしまいたい。

醜悪な魔物しかいなかった道中も手伝い、雑な褒め言葉一つだろうが、この魔王に挑んだ過去の勇者達は完全に使命を投げ出してしまっていた。
ここに今代勇者の知っている顔過去の勇者達がいるのはそのためだ。

だが、この勇者は元から使命のために危険に身を投げ打つような高尚な志は微塵もない。
だから、こう思った。

(…孕ませてえ!)

正気を保つことすら困難な程の美に、いっそ冒涜とも言える背徳を望む。
今代勇者は強いが、命令などはあまり聞きたがらない問題児ではあるものの、欲望には忠実だった。

そんな勇者の心境も知らずに、勇者の目前に立った魔王が言葉を紡ぐ。

「もう充分に頑張ったはずだ。貴様も私の僕になって、使命など忘れるがいい」

魔王はそう言って我が子を抱きしめるかのように両腕を広げた。
理性があれば跳ね除けられた誘い。
しかし、この魔王の美しさに理性を保ち、この誘いを断った者は存在しなかった。

今代勇者も例外ではなく、
魔王の腕に誘われるように抱擁を受け入れる。

(近くで見てもめちゃくちゃ美人だ)

そして当然だとでも言うように、勇者のうなじに魔王が美しい牙を立て、血を啜る。
血を吸われる感覚がくすぐったい。

(吸血鬼なんだな…ん?)

種族としては吸血鬼である魔王の牙は、血を吸うだけには留まらない。
さまざまな効果の猛毒を対象に与えることが可能だ。
挑んできた勇者たちを盲信的なまでに忠実な僕にしてきた、使命を背負った貴い心までもを安易に溶かす甘美なる猛毒。

微塵の抵抗も許されない。
正気を保つことなどできはしないのだ。

しかしこの勇者、最初から正気ではない。

精神面でもそうだが、とある特異な体質を持っていた。

「魔王様。俺、毒は効かねえ訳じゃないんだけどよ」
「何…?…なんだ、これは…!?」
「見ればわかるだろ、勃起だ」

流石の魔王でも想定していなかった勇者の特異体質。
それは…

「毒の強さと同じ強さの催淫効果が出ちまうんだわ、俺」

想像すら絶する程の膨らみになろうが、お構いなしに成長を続ける勇者の逸物。
魔王は美しい瞳と口を開いて絶句している。正常な反応。
そんな魔王の肩に勇者は腕を絡ませた。異常な対応。

「責任は取ってもらうぜ、魔王様?」

勇者とは思えない邪悪な笑みを浮かべて、白い顔を更に青白くさせた魔王に触れたまま瞬間移動の魔法を唱えた。行き先は魔王の寝室だとは魔王以外には聞こえる由もない…



…………………………………………………………………………


「流石に広いのな」

勇者は、魔王の肩に腕を絡ませたまま「ほー」と感心するように部屋を…魔王の寝室を見渡す。
確かに広い。黒と緑を基調とした調度品は全てが人間の技術では再現できないような繊細な意匠が高級品であろうことを物語っている。

「貴様…私に何をするつもりだ。返答次第では、」
「返答?俺のブツは正直者だぜ。見りゃわかるだろ」
「最後に慈悲をやったつもりだが…無駄だったな」

瞬間移動先は魔王の寝室…しかも天蓋付きの豪奢なベッドのすぐ隣。
この勇者は魔法があまり得意ではないと自称しているのだが、素質がない訳ではない。ただ、精神を集中させなくてはいけないのに「殴った方が早いな」と気づいてしまい物理で解決してしまうだけなのだ。
しかし、極度の興奮と執着が集中力を呼び、恐ろしい精度の瞬間移動が成功してしまった。

「悪いが俺の方はこれっぽっちも優しくしてやれる自信はねえぞ」
「触るな無礼者…!私を誰だ、と…!」

勇者が魔王の言葉を遮るようにベッドに押し倒す。
真っ黒なシーツに長い髪が広がるさまは全てを呑み込む闇の様で、同時に平和な昼の終わりを告げる夜の帷の様でもあった。
シーツの生地の優雅な光沢と魔王の髪の揺蕩う様な艶が、闇や夜よりも全てを呑み込む程の淫靡さを醸し出す。
もっとも、魔王と勇者以外に誰もいない部屋で呑み込むのは勇者だけであったが。

「俺の嫁に決まってんだろ?」
「このっ…阿呆が…!」

押し倒されたまま、勇者をギロリと睨みつける魔王。
他者なら心臓まで凍える恐ろしさがある。
しかし、この勇者は耽美な美貌が歪むさまや、背徳にすら誘ういざなう声音が発せられたことによりチラリと見えた尖った八重歯、白い喉から出た喉仏に落ちる影が移ろいゆくさまを見て更に欲情を高めただけだった。

「阿呆だからこんな難しい服の脱がせ方なんて分からないんだよな、破るぞ」
「やめろ、触る…な…っ……!」
「やだね」

ビリィ!
脳筋にも程があるだろう脱がせ方。野蛮極まるがこれがこの勇者のやり方。そんな勇者とは対象的で本来なら絶対に縁がなさそうな重厚な気品を漂わせ、上等な生地を贅沢に使い、たっぷりとしたドレープを作っていた衣装は見る影もなく破れ去ってしまった。
魔王の裸体があらわになるになる。

「…やっ…ば…、エロすぎだろ…!」
「っ………!」

まさに絶景。

服の下に隠された神秘性すら秘める、美しすぎる裸体。
細身だが鍛え抜かれた…というよりかは美しくあることを極限まで極めた引き締まった筋肉がすらりと長い優美な四肢の先までを覆っており、その白さと滑らかさは、満月の涙と大粒の真珠の情愛の結晶の如き煌めきをゆったりと放っている。
その脇や四肢などは勿論、全身に産毛すら見当たらないおかげで、美しすぎる裸体を隠すことなく惜しげなく晒していた。
陰部にも産毛一つ見当たらない。
むっちりとした胸部には濁り一つすらない鮮やかな桜色の乳首が控えめにではあるが処女雪の肌によく生えており、とてつもなく淫靡だ。
勇者は生唾を呑むだけでは飽き足らず、ズボンの膨らみをグンと大きくした。
明らかに生物に許された規模を超えていても止まることを知らないように育ち続けるのは、魔王が勇者にの毒を注ぎこんだからか、その規模すら軽々と超越した…一目で歓喜に咽び泣き狂い死ぬような美への葛藤か。
ズボンに声があるのなら悲鳴どころか地獄の罪人も血の気が引くような断末魔を挙げているに違いない。

「許さぬ…っ…!絶対…に…許さぬ…ぞ……」

フーフーと唸りを交える程の怒りによる過呼吸で上下するむっちりとした筋肉が覆う腹や胸板に。そこに張り付く濡羽色の髪に。怒りと羞恥でほんのりと薔薇色に色付いたかんばせに。少し潤んだ深翠の瞳に。極上のバリトンボイスに。少量の雫を着けて瞬きを行う長いまつ毛に。絶対に屈さない、絶対に許さないと睨みつけるプライドの高さに。
全てにおいて勇者の欲情を煽るものにしかならない。

ついにファスナーの壊れる音が聞こえる。
壊れたのはファスナーだけでなく、勇者の中のが壊れる音がした。

「絶っ対逃がさねえからな」

そう言いつつ、勇者の方がまるで何かから逃げるようにして魔王の蠱惑の唇を塞いだ。








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