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ネロのはなし
女神との姦淫10
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黙々と作業をしていたネロは、残り少なってきた布の隙間に肌色を見て一瞬、硬直した。脳裏に過ぎるのは竜すら切り裂く秘宝剣がぽっきりと折れた光景。ネロにとっての初めての失敗であり、まだ記憶に新しい苦々しい記憶であった。
その苦い記憶の影響か、ネロは無意識に視線を逸らしてしまっていた。けれどその手際は相変わらずの速さで、むしろ早まったまであった。
そうしてあっという間にすっぽんぽんになった女王は急に真面目な顔になると、ネロに一つ頷いて言った。
「――では、次はお風呂ね」
「――――」
ネロは驚いた。単純に驚いた。この短期間で人生の半分は驚いたのではないかと錯覚するほどに驚いた。業物の短剣をぽっきり折られた時にもこれ以上の驚きはないと思っていたが、同じくらいかそれ以上の驚愕であった。
スタスタと素っ裸のまま風呂場へと直行する女王の後を、目を白黒させながらネロは続いていく。
ネロの驚きにはいくつかあったが、最も大きな驚きには、人が無防備になりやすい風呂場に失敗したとはいえ暗殺者を同行させる女王の豪胆さにあった。素肌を晒すくらいなら達人であれば動揺はしないし隙も生じにくいが、風呂場となると話が違う。
ネロは過去に素っ裸状態の達人と戦ったことがあったが、得てして風呂場での戦いのほうが圧倒的に優位であったのは経験則で理解していた。それを女王が知らないとしても、正気の沙汰ではない。
「まずは髪を洗ってもらえるかしら」
「……はい」
内心動揺しながらも付き従っていたネロは言われるがままに女王の背後に回り込み髪に手を伸ばす。一瞬、このまま髪で首を締められないかと思考が過ぎるが、すぐに否定する。刃物の貫通しない肌に圧迫は効果があるとは思えなかったからである。
そこでネロは思い出した。そうだった。女王は特殊。無防備なのではなく、ネロ程度の暗殺術では何も通用しないから気にする必要は無いのだ。
今までの経験則で多少動揺したが、そうと思い出せばネロが気にするのは馬鹿らしくなった。
と、そこでふと、ふるふる小刻みに揺れる肩と揺れる髪に気付き、ネロは意外に思った。刃物は通じなくとも寒さは感じるのか、と。しかし、やはり思い直す。多少寒かろうが今まで似たような効果を持つ猛毒を盛ってもケロッとしていた女王にとっては無いに等しい体感温度だろう、と。
それでも一応、近場に用意されていたタオルを差し出しておいたのはネロがルネモードであり、完璧主義の仕事人間であったからに他ならない。
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