チョコくん。

しらす

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「私は求められたかったんだね。たぶん。アカネのとろけた、飢えた表情がたまらなくて、一目惚れ。そのあと、弱ったアカネをお世話していくうちに可愛くて仕方なくなって、さらに好きになったんだよ」

 アカネが「チョコくんはどうして俺を好きになったの?」なんて、可愛いことを聞くから教えてあげた。アカネは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしている。

「飢えた…かお…たしかにそうかもだけど……」

「嬉しかったよ。私をそれほどに求めてくれるのはアカネだけだったから」

「俺だってチョコくんだけ!だから!!……でも良かった、チョコくんも俺が必要なんだ、俺だけだと思ってのに…うれしい」

 アカネは可愛いことばかり言う。食事終わりのゆっくりした時間、私の膝の上に座り、首に腕を回したアカネは照れながら、にこにこと笑う。それはもう、勃ってしまう。

「ねぇねぇ、チョコくん。俺たち今は恋人同士でしょ?チョコくんは、おれのこと……今も好きってことで良いんだよね」

「うん、そうだね。もちろん」

「ありがと、俺もすき。もう1ヶ月、経った、じゃん?」

 ……アカネは上目遣いで、真っ赤な顔で、一体何を言おうとしているのだろう?

「ん?」

「チョコくん、ちゅーと、えっちは、まだ?」

 欲しいと思ったものは必ず手に入れてきた。だが、それ以上の供給に私は慣れていない。

「は?……え?」

「ね、だめかな?俺わかんないけど、チョコくんは知ってるでしょ?」

 もちろん知っているが、調べたが……。暴発しそうだ。

「アカネ、でも……ん!?」

  ぺろ、と突然、顔を近づけてきたアカネが私の唇を舐めた。そしてなぜか驚いた顔をしたアカネは、すぐに顔を輝かせて、ぺろぺろとまるで犬のように私の唇を再び舐めた。

 さっきまでのアカネの、のみこまれてしまいそうな不思議な色気はどこへ行ったのだろうか。今は、可愛らしい子供のような戯れ付きだ。もちろん、どちらにしても私の理性が試されていることには変わりないけど。

「あまぁい……!チョコくんの唇、砂糖だ……キャンディ舐めてるみたいなんだけど!」

 ぺろぺろ、ぺろぺろ。嬉しそうなアカネは、舌を口の中へ突っ込もうとしている。耐えられないんだけど。

「ちょ、ちょっと待って!アカネ。まだ、だめ」

 肩を優しくつかんで、アカネを引き離す。このままじゃ襲ってしまう。だめ、ともう一度言うと、アカネの目はうるうるとし始めてしまった。

「なんで……うぇ…」

 ハンカチで涙を拭いてあげてる。

「これ以上は、だめ。私が耐えられない。酷いことをしてしまうから」

「ひどいこと、していいよ?」

 目と鼻を赤くして、そんな殺し文句を言わないで欲しい。つらい。

「もう少しアカネが元気になったら、ね。壊したくないんだ……お願い」

「……わかった。元気になったら、って太ったらってこと?結構お腹ぷにゅぷにゅしてきたと思うんだけど」

 アカネは私の手を取り、お腹に当てさせた。「な?」って、毎日風呂に一緒に入って洗ってるんだから、私だって知ってるよ。もう駄目だ……小悪魔すぎる。


「だーめ。誘わないで」

「……チョコくん、俺もっといっぱいごはんたべるね。でもさっきみたいなキスなら良い??」

「ありがとう、でも無理しないでね。……キスは私も嬉しいし大歓迎だよ。だけど、えっちとかキスとかさっきみたいに私を誘っちゃだめ。大丈夫になったらすぐにえっちは私から誘うから、ね、わかった?」

「……うん」

 良かった。納得してくれたようだ。これを受け入れるのは恋人失格だ。いくらアカネからのお誘いであっても、体調が万全じゃない相手を抱くべきじゃない。

「ねぇねぇ、チョコくん。俺、前から思ってたんだけど、いつも飲ませてくれるジャムをさ……パンとかに塗って食べたらもっといっぱい食べれると思うんだよね!俺、はやく太りたいし、どうかな!良い案だと思うんだけど」

 この問題も、本当のことを話して解決しないと。でもそれは、今じゃないね。

 もっと毎日食べてもらって、正体を知った後も食べてくれるようになるまで……それまでは、これは普通のジャムだと、嘘をつこう。

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