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そもそもの話の章
〇六月九日●● フジマヒカリ(1)
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藤空木高校は、斜面に建っていた。
そもそも、ジイサンバアサン連に語り継がれることには、戦国時代「ドコソコの何某」とかいう侍が、国主の命令で城を建設するために、森林伐採し山をぶっつぶし作ったのが、この藤空木という土地であるという。
いくら年寄りとはいえ戦国時代に生きちゃいないだろうし、ことの真偽は定かではないが、一つたしかなことがあるとすれば、実際にその藤空木城は建設されたので、今もなお跡地が残っているということであった。
跡地というだけあって、現在は天守閣など跡形も無く、石垣の一部と庭園、周囲をめぐっていたであろう堀が残るのみである。
この跡地は「城跡公園」と呼ばれ、藤空木高校の背後を守っている。
話を戻すと、斜面である。
藤空木高校は、県内ではなかなかの歴史を誇る学校で、敷地のど真ん中には、旧校舎である白亜の建物がドシンと鎮座している。その正面入り口に合わせて造られた、がっしりとした瓦屋根の正門は、斜面の一番麓、道路に面しているのだが、新校舎が作られてこっち、重要な式典の時以外、口を開くことがない。
つまり、生徒が平常時利用するのは、学校の両脇に設置された西門と東門ということになるのである。
この二つの門は、校舎の両脇にある激坂(あるいは激石段)を上りきったところに設置されていた。そのため、藤空木高校に通う生徒たちは、朝のけだるい時間からエッホエッホと運動部も文化部も老いも若きも関係なく、斜面を上る羽目になるのであった。
それは、こんな今日のような、うっとうしい雨の日も例外なくである。
六月九日。
昨晩から降り続く雨に、生徒たちは傘をさしての登校を余儀なくされていた。西門に続く激坂を、紺地に金色で校章の縫い取りがある学校指定の傘が、ぎゅうぎゅうと押し合いへし合い、大挙して上っていく。
同じデザインの傘の群れの中には、個性を主張する若者の常らしく、ちらほらと掟破りが紛れ込んでいた。模範生を振り返らせる彼らは、コンビニの透明ビニル傘や、ブランド物とおぼしきしゃれたデザインの傘など様々で、人の言うことなど聞いたら死ぬといわんばかりに、坂道を上っていく。
その中でも、ひと際目を引く傘があった。
それは、雨天のために薄暗い今朝であっても、目に痛いほど鮮やかな蛍光ピンクをしていた。その上、ウサギの耳が頭頂にくっついていた。高校生の私物にしては子供っぽく、「くそダサい」それは、すれ違う者の視線を釘付けにしていた。
すると、後方から同じような蛍光ブルーの傘(しかし、こちらはウサギではなく魚である)が、紺色の人波をすいすいと岩間を泳ぐ魚のようにかわしながら、上っていく。
蛍光ブルーの魚は、たちまちピンクのウサギの隣に並んだ。
「光、おはようございます」
「おー、星ちゃん」
魚の主が声をかけると、ウサギの主が応えを返した。
二人は揃って、藤空木高校の一年に属する女子生徒であり、同じ名であるという、共通点を持っていた。
藤間光は、生まれつきの茶髪をボブカットにした、活発そうな雰囲気の少女である。少し低い鼻と、大きな目が素直そうにみえる顔立ちで、愛嬌がある。
一方、光に「星ちゃん」と呼ばれた魚の主は、不二磨星と言った。腰まで届く黒髪を、ハーフアップにして大きな赤いリボンで飾っている。奇想天外なデザインの傘の中にいて、ほんの少しも「優美」という印象を損なわない、類まれな美貌の少女であった。
"フジマヒカリ"という同じ名を持つ二人は、幼稚園からの幼馴染みであり、親友であった。
奇遇ではあるが、さらに稀なことには、藤空木高校には、あと四人も"フジマヒカリ"という名の生徒が在籍している。彼らについては、後にくる出番まで、触れないでおく。
「後ろから、よくわかるね」
「その傘で一目瞭然ですから。むしろ雨の日の方が、探しやすいくらいです」
感心する光に、星が微笑んだ。合流した二人は、肩を並べて激坂を上り始める。星は自然な動作で、校舎の周辺をめぐる鋭い枳殻の垣根と、光との間に回り込んだ。光は苦笑しながら、素直に礼を言った。
「雨のせいか、皆歩みが遅いですね。このままでは、遅刻してしまうかもしれません」
「げっ。一限、田中の数学だよ。急ごう!」
蛍光ピンクのウサギと、蛍光ブルーの魚は、紺の人波を猛進した。
***
昇降口は、湿度と生徒たちの出入りで、むっとするような熱気に充ちていた。
光は、傘を手早く畳み終えると、ビニル袋に突っ込んだ。出入り口のガラス戸の前には、傘立てが設置されているが、そこに校則違反の傘を突き立てるほど豪胆ではない。
クラスメイトと挨拶を交わしつつ、上履きを取り出していると、廊下の向こうから聞きなれた声が響いてきた。
――じゃあ、昼休みに行きますんで。
――わかった、すぐ出れるようにしておくから。
光は、近づいてくる声の主が「誰」と話しているのかに気づくやいなや、上履きをひっ掴み、隣の組の下足箱に向かって飛んだ。ちょうど、着地点に屯していた生徒たちが、ぎょっと目を向いた。構わず、赤いリボンの背中にピタッと張り付く。何やら鞄を探っていた星は、慌てたように振り向いた。
「うわっ、何ですか?!」
「星ちゃん、ちょっとかくまって!」
「かくまえって――ああ、そういうことですか」
星は困惑していたが、向こうから歩いてくる生徒たちの中に、光と同じく「彼ら」を発見し、合点のいった様にしゃんと背筋を伸ばした。こうすれば、長身の星の陰に隠れた光は、廊下側から見えないに違いなかった。
「部室使うこと、みんなには話付けてあるから。貴重品とかも、一応のけてもらったし」
「何から何まで、すんません。助かるっす」
「いいわよ。あたしにとっても大事なことだし。後輩の頼みは断れないものね」
少しもしないで、談笑しながら姿を見せたのは、男女の二人組であった。
彼らは、ともに学校指定のスポーツバッグを肩から下げており、運動部の生徒だと一目でわかる。
男子生徒は、背がすらりと高く、その上とても足が長い。何か話すたびに、抜群に整った顔を、無頓着に崩して笑っていた。隣の女生徒はかなりの小柄で、弾むような足取りで歩いている。よく日に焼けており健康的だが、油断ならない猫のように愛らしい顔をしていた。
それぞれに目立つ容姿をした彼らは、注目を集めていたが、慣れっこなのか少しも気にしていないようである。
二人が星達の横を通り過ぎる時、いくらかの生徒達はこちらを指さして、こそこそと噂した。
それは、ここに彼らと星達で、”フジマヒカリ”が四人いる、ということだった。
男子生徒の名前は、藤間陽。
女生徒の名前は、藤丸月華。
この二人は、この学校にいる”フジマヒカリ”の、残り四人の内訳の半分だった。
話に夢中のまま歩み去っていく二人に、星は一瞬冷え冷えとした視線を送る。特に、陽の背を睨んで、一言「鼻毛野郎」と呟いたのが、光にだけ聞こえた。
「……行きました。もういいですよ、光」
「本当? 助かった~」
光は、やれやれと腰を伸ばすと、星に笑顔を向けた。星は難しい顔をして、彼らが去っていったほうを眺めていた。
「本当に、腹立たしいですね。朝から嫌な顔を見ました」
「うーありがと、盾になってもらって」
「別に、それはいいんです。光のほうが、よほど顔を合わせたくない人たちでしょうしね。私はただ、腹が立つだけですから」
光も、星と同じように廊下の向こうを見た。
藤間陽と藤丸月華。
会いたくないのは二人共だが、高校に入学したばかりの頃はそうではなかった。
なぜなら、陽の方は、星と同じく長い時間を過ごした幼馴染みであったからだ。それがどうしたことか、入学して二ヶ月近く経った現在では、陽との友情は途絶えてしまっていた。その原因について、星は「私達との友情への叛意あり」と、陽に対してハッキリと怒りを顕にし、冷戦の構えを見せている。光のほうもまた、星ほどの激しさは持たないにしろ、陽に対して面白くない気持ちがあるので、なかなか仲を改善する気が起きないでいた。
(まさか、こんなことになるとは)
光は、たった二ヶ月で激変した人間関係を思い、ため息をつく。
「光、大丈夫ですか?」
鞄のファスナーを閉めながら、星が気遣わしげな目をしているのをみて、光はきりっと眉を上げた。これ以上、余計な心配をかけるのは本意ではない。
「もちろん!」
光は星の背を押しながら、ことさら元気な声を張り上げた。
そもそも、ジイサンバアサン連に語り継がれることには、戦国時代「ドコソコの何某」とかいう侍が、国主の命令で城を建設するために、森林伐採し山をぶっつぶし作ったのが、この藤空木という土地であるという。
いくら年寄りとはいえ戦国時代に生きちゃいないだろうし、ことの真偽は定かではないが、一つたしかなことがあるとすれば、実際にその藤空木城は建設されたので、今もなお跡地が残っているということであった。
跡地というだけあって、現在は天守閣など跡形も無く、石垣の一部と庭園、周囲をめぐっていたであろう堀が残るのみである。
この跡地は「城跡公園」と呼ばれ、藤空木高校の背後を守っている。
話を戻すと、斜面である。
藤空木高校は、県内ではなかなかの歴史を誇る学校で、敷地のど真ん中には、旧校舎である白亜の建物がドシンと鎮座している。その正面入り口に合わせて造られた、がっしりとした瓦屋根の正門は、斜面の一番麓、道路に面しているのだが、新校舎が作られてこっち、重要な式典の時以外、口を開くことがない。
つまり、生徒が平常時利用するのは、学校の両脇に設置された西門と東門ということになるのである。
この二つの門は、校舎の両脇にある激坂(あるいは激石段)を上りきったところに設置されていた。そのため、藤空木高校に通う生徒たちは、朝のけだるい時間からエッホエッホと運動部も文化部も老いも若きも関係なく、斜面を上る羽目になるのであった。
それは、こんな今日のような、うっとうしい雨の日も例外なくである。
六月九日。
昨晩から降り続く雨に、生徒たちは傘をさしての登校を余儀なくされていた。西門に続く激坂を、紺地に金色で校章の縫い取りがある学校指定の傘が、ぎゅうぎゅうと押し合いへし合い、大挙して上っていく。
同じデザインの傘の群れの中には、個性を主張する若者の常らしく、ちらほらと掟破りが紛れ込んでいた。模範生を振り返らせる彼らは、コンビニの透明ビニル傘や、ブランド物とおぼしきしゃれたデザインの傘など様々で、人の言うことなど聞いたら死ぬといわんばかりに、坂道を上っていく。
その中でも、ひと際目を引く傘があった。
それは、雨天のために薄暗い今朝であっても、目に痛いほど鮮やかな蛍光ピンクをしていた。その上、ウサギの耳が頭頂にくっついていた。高校生の私物にしては子供っぽく、「くそダサい」それは、すれ違う者の視線を釘付けにしていた。
すると、後方から同じような蛍光ブルーの傘(しかし、こちらはウサギではなく魚である)が、紺色の人波をすいすいと岩間を泳ぐ魚のようにかわしながら、上っていく。
蛍光ブルーの魚は、たちまちピンクのウサギの隣に並んだ。
「光、おはようございます」
「おー、星ちゃん」
魚の主が声をかけると、ウサギの主が応えを返した。
二人は揃って、藤空木高校の一年に属する女子生徒であり、同じ名であるという、共通点を持っていた。
藤間光は、生まれつきの茶髪をボブカットにした、活発そうな雰囲気の少女である。少し低い鼻と、大きな目が素直そうにみえる顔立ちで、愛嬌がある。
一方、光に「星ちゃん」と呼ばれた魚の主は、不二磨星と言った。腰まで届く黒髪を、ハーフアップにして大きな赤いリボンで飾っている。奇想天外なデザインの傘の中にいて、ほんの少しも「優美」という印象を損なわない、類まれな美貌の少女であった。
"フジマヒカリ"という同じ名を持つ二人は、幼稚園からの幼馴染みであり、親友であった。
奇遇ではあるが、さらに稀なことには、藤空木高校には、あと四人も"フジマヒカリ"という名の生徒が在籍している。彼らについては、後にくる出番まで、触れないでおく。
「後ろから、よくわかるね」
「その傘で一目瞭然ですから。むしろ雨の日の方が、探しやすいくらいです」
感心する光に、星が微笑んだ。合流した二人は、肩を並べて激坂を上り始める。星は自然な動作で、校舎の周辺をめぐる鋭い枳殻の垣根と、光との間に回り込んだ。光は苦笑しながら、素直に礼を言った。
「雨のせいか、皆歩みが遅いですね。このままでは、遅刻してしまうかもしれません」
「げっ。一限、田中の数学だよ。急ごう!」
蛍光ピンクのウサギと、蛍光ブルーの魚は、紺の人波を猛進した。
***
昇降口は、湿度と生徒たちの出入りで、むっとするような熱気に充ちていた。
光は、傘を手早く畳み終えると、ビニル袋に突っ込んだ。出入り口のガラス戸の前には、傘立てが設置されているが、そこに校則違反の傘を突き立てるほど豪胆ではない。
クラスメイトと挨拶を交わしつつ、上履きを取り出していると、廊下の向こうから聞きなれた声が響いてきた。
――じゃあ、昼休みに行きますんで。
――わかった、すぐ出れるようにしておくから。
光は、近づいてくる声の主が「誰」と話しているのかに気づくやいなや、上履きをひっ掴み、隣の組の下足箱に向かって飛んだ。ちょうど、着地点に屯していた生徒たちが、ぎょっと目を向いた。構わず、赤いリボンの背中にピタッと張り付く。何やら鞄を探っていた星は、慌てたように振り向いた。
「うわっ、何ですか?!」
「星ちゃん、ちょっとかくまって!」
「かくまえって――ああ、そういうことですか」
星は困惑していたが、向こうから歩いてくる生徒たちの中に、光と同じく「彼ら」を発見し、合点のいった様にしゃんと背筋を伸ばした。こうすれば、長身の星の陰に隠れた光は、廊下側から見えないに違いなかった。
「部室使うこと、みんなには話付けてあるから。貴重品とかも、一応のけてもらったし」
「何から何まで、すんません。助かるっす」
「いいわよ。あたしにとっても大事なことだし。後輩の頼みは断れないものね」
少しもしないで、談笑しながら姿を見せたのは、男女の二人組であった。
彼らは、ともに学校指定のスポーツバッグを肩から下げており、運動部の生徒だと一目でわかる。
男子生徒は、背がすらりと高く、その上とても足が長い。何か話すたびに、抜群に整った顔を、無頓着に崩して笑っていた。隣の女生徒はかなりの小柄で、弾むような足取りで歩いている。よく日に焼けており健康的だが、油断ならない猫のように愛らしい顔をしていた。
それぞれに目立つ容姿をした彼らは、注目を集めていたが、慣れっこなのか少しも気にしていないようである。
二人が星達の横を通り過ぎる時、いくらかの生徒達はこちらを指さして、こそこそと噂した。
それは、ここに彼らと星達で、”フジマヒカリ”が四人いる、ということだった。
男子生徒の名前は、藤間陽。
女生徒の名前は、藤丸月華。
この二人は、この学校にいる”フジマヒカリ”の、残り四人の内訳の半分だった。
話に夢中のまま歩み去っていく二人に、星は一瞬冷え冷えとした視線を送る。特に、陽の背を睨んで、一言「鼻毛野郎」と呟いたのが、光にだけ聞こえた。
「……行きました。もういいですよ、光」
「本当? 助かった~」
光は、やれやれと腰を伸ばすと、星に笑顔を向けた。星は難しい顔をして、彼らが去っていったほうを眺めていた。
「本当に、腹立たしいですね。朝から嫌な顔を見ました」
「うーありがと、盾になってもらって」
「別に、それはいいんです。光のほうが、よほど顔を合わせたくない人たちでしょうしね。私はただ、腹が立つだけですから」
光も、星と同じように廊下の向こうを見た。
藤間陽と藤丸月華。
会いたくないのは二人共だが、高校に入学したばかりの頃はそうではなかった。
なぜなら、陽の方は、星と同じく長い時間を過ごした幼馴染みであったからだ。それがどうしたことか、入学して二ヶ月近く経った現在では、陽との友情は途絶えてしまっていた。その原因について、星は「私達との友情への叛意あり」と、陽に対してハッキリと怒りを顕にし、冷戦の構えを見せている。光のほうもまた、星ほどの激しさは持たないにしろ、陽に対して面白くない気持ちがあるので、なかなか仲を改善する気が起きないでいた。
(まさか、こんなことになるとは)
光は、たった二ヶ月で激変した人間関係を思い、ため息をつく。
「光、大丈夫ですか?」
鞄のファスナーを閉めながら、星が気遣わしげな目をしているのをみて、光はきりっと眉を上げた。これ以上、余計な心配をかけるのは本意ではない。
「もちろん!」
光は星の背を押しながら、ことさら元気な声を張り上げた。
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