ANOTHER WORLD STORIES

佳樹

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25話 安里翔

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俺はおっさんにおっさんに剣の修行を途中で投げ出され、途方に暮れていた。
するとタイミング良くイワンとアリシアが遠くを歩いているのが見えた。
俺は見失わない様に慌てて二人の後を追った。

「おーい!イワン、アリシア!」
「あら翔じゃない。修行はもう終わったの?」
「二人共ちょっと聞いてくれよ。実は・・・」
「アリシア!今はそんな翔のどうでも良い話を聞いている場合じゃないぞ。」
「そうね。ごめんなさい。」
「何だよ!聞く前からどうでも良い話だって決めつけやがって!俺は俺で大変だったんだからな!」
「じゃあ聞くが、その話はセシルへの手掛かりに繋がるものなのか?」
俺は悔しさを滲ませたが、その思いは無神経なイワンには決して伝わる事は無かった。
ちゃんとした人に剣術を習ってさえいれば、今頃は偉そうに威張っているイワンに一太刀入れる事だって出来ただろう。

「そっちはどうなんだよ。情報収集は上手く行ったのか?」
「いいや。全然ダメだ。しかし、占い師から貴重な情報を得る事が出来た。」
「おいおい、占い師の言う事なんて当てになるのか。どうせインチキだろ。」
「そうとも言えない。占い師が言うには、セシルの手掛かりはモンスター村にあると言うんだ。
さっきこの町の観測所を訪れたんだが、そこでこう言われたんだ。
モンスター村周辺から、これまでに観測した事の無い強烈な光の柱が一瞬ではあるが出現したと。
これは、お前がセシルと入れ替わった日と見事に一致する。」
「そこまで分かってるんなら今からそこに行ってみようぜ!」
「簡単に言ってくれるわね。モンスター村はここからかなり遠くにあるのよ。辿り着くまでに3年は掛かるわ。
それに、モンスター村に住むモンスターはこの辺に居るのとは違って、知能が発達しているからそう簡単に倒せないわ。」

俺は3年という月日に愕然とした。
このままでは旅の途中でひっそりと20歳を迎える事になる。
そんなのは嫌だ。
それにインチキ占い師の話と観測所の人がいつもより明るい光を見たというだけで、貴重な3年間を棒に振るのは耐えられない。
「嫌だよー!行きたくないよー!」
俺は同情を誘う声で必死に駄々を捏ねた。

"ペチャン"

俺はイワンからまたへなちょこなビンタをお見舞いされた。
「これで目が醒めたか!」
厳しい表情でイワンが言った。
「翔、今はこれしか手掛かりが無いの。あなたがどうしても行かないって言うんなら私達だけで行くわ。」
アリシアは覚悟を決めた様子であった。
イワンもアリシアの意見に同意して深く頷いていた。
「分かったよ!俺も行くよ!」
「よし、そうと決まれば今日はゆっくり休んで明日の日の出と共に出発するぞ!」
イワンが声高に雄叫びを上げた。
イワンは気持ちが昂ぶっているのか、俺とアリシアの歩くペースを無視して一人でどんどん先へ進んで行った。
俺とアリシアは二人並んでイワンとの距離がこれ以上広がらない様に歩いた。
「翔。ありがとう。」
「どうしたんだよ急に。ありがとうなんて、アリシアらしくない。」
俺はからかいながらアリシアの顔を見た。
アリシアは目に涙を浮かべていた。
「私も翔と同じ。本当は不安で一杯なの・・・
私のレベルでモンスター村に辿り着ける保証も無いし、もし辿り着けたとしても手掛かりが何も無ければ貴重な3年間が全て無駄に終わる。
また一からやり直し。
イワンと二人だけじゃ不安で心細いし。翔が一緒に行くって言ってくれて本当はすっごく嬉しかった。」

俺は自分の事だけしか考えて無くて、アリシアの気持ちを何も分かって無かった。
彼女は俺より少し年上なだけで、普通の女の子なんだ。
普段は底抜けに明るいからその事に全く気付いてあげられなかった。
「ごめん、アリシア。俺、何も分かって無かった。」
「どうしたの急に?ごめんって言うなんて、全然翔らしくな~い。」


その時俺は、イワンの事はどうでも良いけど、アリシアだけはどんな事があっても必ず守ろうと決意した・・・


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