「枝分かれ」する未来が少し見えるので、時どき合流する面白パーティーのふりをして、主人公たちをちょっと助けようと思う

初枝れんげ@出版『追放嬉しい』『孤児院』

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第2章

11.勝負など不要

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「といっても俺は弱いぞ?」

正々堂々、なんの臆面もなくそう言い放つカノユキであった。

「お姉ちゃんもパス~。この玉の肌がいたんじゃうもの~」

お前は面倒くさいだけだろうが。カノユキがすぐにつっこんでいた。

「ちっがう!」

だが、バネッサがすぐに否定した。

「そんなしょうもない方法で競ってどうする!」

心外だとばかりにやれやれと首を振る。

ふっ、と笑い、

「冒険者のする勝負といえばミッション・バトルに決まってるだろうさ‼」

シャキーンとサーベルをカノユキに剣を向ける。

「ミッション?」

「バトル~?」

カノユキとアルテノが口をそろえて言った。

カノユキは剣を向けるなと小声で抗議したりもした。

「そのとおり!」

ガラガラとどこからか黒板が運ばれてくる。

黒板には100万レッカと書かれた手配書がはられている。敵は巨大なイカだろうか。いわゆるクラーケン。

「無知なあんたらに教えてやる。ミッション・バトルってのは、同じクエストを受けてどちらが先に解決できるかを競う冒険者にのみ許された誇り高い勝負さ!」

へ~、とカノユキたちはぼーっと聞いた。

冒険者っぽいかな?

そうなのかも?

「さあ!」

どん、とバネッサは黒板をたたきながら、

「あんたが男なら逃げるなんて選択肢はまさかないだろう。正々堂々とこの灼熱の旅団と」

「まいった」

「勝負を……って……は?」

「は? じゃないだろう」

カノユキは腕組みをして嘆息し、

「そんな勝負を受けることで、俺になんのメリットがある」

「はああああああああああああああ!? あんたそれでも男かい!? 冒険者のミッション・バトルを断るなんて、聞いたことがないよ!」

頭を抱えてぐわんぐわんと失望をあらわにする。

ぷーくすくす。

ミッション・バトルを断るなんて。

とんだ腰抜け。

間抜けた連中。

そんな嘲笑の声も聞こえてきたりする。

「ほうれ、周りにも嗤われてるよ。これでもあんたは」

「う・け・ん」

憮然として言った。

「俺のメリットがない。知ったことではない」

プイっとそっぽを向き、ギルドの出口へ足を進める。

「あー、待ってよかーくん」

バネッサの横を通り過ぎる。

バネッサは通り過ぎたカノユキに振り返りその背中に向かって、

「逃げるのかい!」

と焦りながら言う。

「いや、メシの時間だ」

腹が減っては戦はできぬ。

「なっ」

「お前たちも早く帰れ。灼熱のなんとか」

「灼熱の旅団だ‼」

バネッサはそう言うと地団駄を踏み、

「くそ、臆病者め! 見損なったよ‼」

ぽりぽり、と頭をかきながら、カノユキたちはギルドをあとにした。



「かーくんホントによかったの?」

言われっぱなしだったよ?

「いいんじゃないか」

後ろでに手を組んであるきながら、

「ここでの流儀がどうかは知らんが、勝負事をむやみに受けることが良いとはおもえんからな」

(それにこの世界の住人ではない俺は少し慎重なほうがいいだろう)

カノユキはそう思う。

(侮れられることもまた必要なことだ)

ていうか、俺がクラーケンに勝てると思うか?

そういえばそうね。

キィ、と街のメシ屋に入る。



「ま、つまらんことはおいておけ。冷めないうちにくおう」

「そうだね! いっただっきまーす‼」

むしゃぁむしゃぁ!

空腹に弱い二人はかきこむように、テーブルの上の料理を平らげる。

注文したのはエビのような魚介類をボイルしたもの、それにパンとサラダがついた定食である。

(500レッカは安い!)

むしゃむしゃしながらカノユキは感動していた。

と、その時である。

ブオン‼

突然目の前にビジョンが1つ現れた。

それは切り傷、刺し傷だらけの勇者がダイオウイカもどきにつかまり、無残にも捕食されてしまう光景だった。古びてボロボロの船にダイオウイカもどきが襲いかかっている。

傷だらけのためにあられもない姿だ。

どうやら着痩せするタイプのようで、破かれた衣服の下からは思ったよりも出るところは出て、ひっこむところはひっこんでいるという非常に女性的な……。

「いやーん、かーくんのエッチ‼」

「ちょ、これはちがう!」

「なにが違うってのよ! ばかぁ! あたしというものがありながら‼」

「お前、それは半分のりで言ってるだけだろう」

「おい、うるせえぞ! もう少し静かに食えねえのか!」

「ひえ」

すいませんすいません、と頭を下げた。

もう、怒られちゃったじゃない。ぶつぶつ。

お前のせいだろうが。

小声で喧嘩する。

が、カノユキはため息をひとつ吐くと、突然、ガタリと席をたった。

「あれ、どうしたのかーくん? もうサラダはいいの?」

むしゃむしゃしながら女神は言う。

「依頼を受けてくる」

そう言ってカノユキはきびすを返した。

………………へ?

エビのしっぽらしきものを口からはみ出させながら、女神は唖然とする。

「戻るぞ。依頼を受けてすぐに出発だ」

「ちょ、ちょっとかーくん! 待ってよ~!」

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