13 / 34
13.どうしてこうなった……
しおりを挟む
「ああ、今日から王立貴族学院の女子学生なのね♪ ルンルン♪」
言葉通りルンルンとした気持ちで、私は外出用のドレスに袖を通す。明るめのグリーンを基調にした衣装でとても動きやすい。他にも青や赤の外出用のドレスはあるけれど、一回目の人生では、青色のドレスを着てくる子が多かったので、せっかくだから差別化しようという心意気なのだ。やはり女子たるもの、ファッションだって楽しみですもの。
というわけで、馬車に揺られて片道1時間程度。よく整備された街道を抜けて行けば、王都へと入ることになる。とても活発な街で流行が発信される場所でもある。治安も良くて素晴らしい所だ。
そんな王都の目抜き通りを過ぎ、しばらくすると貴族街があって、その一角に王立貴族学院が建てられている。奇麗に整備された学び舎はまるで白亜のお城みたいで、お庭の芝生はよく水まきされ整備されていた。季節ごとに咲く花が植えられて年中美しい学び舎である。
気候の良い日は食堂のお料理や、サンドイッチなどを持ち出して外で食べたりするととても美味しいし、たくさんの教室があるので、その中で友達と話しながら食べるのも楽しい。とにかく普段は貴族としての責任と義務、マナーで縛られている令息・令嬢にとっても、息抜きできる場所なのである。
ところで。
(この芝生は改めていいものね、ふむふむ)
と、貴族学院に到着して早々、私は芝生へ吸い寄せられるようにして座り込み、まじまじと観察してしまった。
ふーむ。ふーむ。
「どうかされたんですか? アイリーン。そんな風に芝生をまじまじと見て。牧草ではないから食べたらお腹を壊されますよ?」
「いえ、そうじゃなくってですね。これだけの敷地があるのに、これほどの面積の芝生を維持するのにどれだけの予算がかかっているのかと思うと、ちょっと興奮してしまって。私のカフェにも導入しようかと最初は計画していたのですが、水まきの大変さと維持の難しさに断念したのを思い出したのです。ああ、でもやっぱり素晴らしいですわね、芝生。いいわね、芝生。ビバ芝生」
「いやぁ、花々に目を奪われる新入生が多いのは知っていましたが、芝生に目を奪われるのはあなたくらいですよ、アイリーン」
「そうなんですか? ところで、どうして私の名前をご存じで……って、エ""⁉」
「こんにちは。アイリーン。久しぶりですね。ところで今の『エ""』とはどういう意味ですか?」
目の前にはニコニコと微笑みを浮かべた、仮想敵が立っていた。いつもなら、会う前に、主に心構えなどの防御体勢を完璧にしてから会うので、うろたえるような失態は犯さないのだが、今日は絶対に会うはずがないと思っていたため、完全に油断していたのだ。
「キース王太子殿下⁉ ど、ど、ど、ど」
「どうしてこんなところに、ですか?」
コクコクと私は頷く。
彼は微笑みながら、
「もちろん、婚約者であるあなたが入学されると聞いて、なら僕も入学しようと思ったのですよ。悪い虫に刺されでもしたら大変ですからね」
と言ったのだった。私は若干落ち着きを取り戻しながら、
「わ、悪い虫ですか? 大丈夫ですわ、殿下。変な虫が来たらバシッと自分でやっつけますので」
そうパチンと手をたたく仕草をした。これでも反射神経は良い方なのだ。
「伝わってなさそうですが……そうあって欲しいものですね。まぁ、それはともかく、先ほどのエ""の意味をそろそろ聞かせてもらい……」
「しつこい男性は嫌われますよ、殿下。はい、バスク君からも一言」
「そうですよ、キース様。クライブ様のおっしゃる通りかと」
「あなたたちも来たんですか、やれやれ。まあ、そうですね。良しとしましょう」
え? え? え? え?
へ?
なんで?
どうして?
どうしてここにキース王太子殿下にクライブ副騎士団長、それにバスクまでいるの⁉
「おっと、ご挨拶が遅れてすみません、アイリーン様。私の美しき鳥。あなたを必ずや不届者からお守りしましょう」
「あなたは私の警護のために入学したはずだったのでは?」
「もちろんですとも。どちらの任務も私にお任せください」
将来の騎士団長だけあって、力強く言った。いえいいえいえいえ、学園は警備もしっかりしているから、私の警備はいりませんから⁉ っていうか、前回のルートでは私への警備はなかったはずですが、今回はどうして私の警備が任務に入ってしまっているんですか⁉
そう内心でツッコんでいると、次にバスクもあどけなさを残した顔で言う。
「僕もアイリーン姉さんが入学するならぜひ一緒に学生生活を送りたいと思ったんだ。そして、姉さんに見合うような立派な男性になるために勉強に励むよ!」
わ、私に見合う? えっと、どういう意味かしら? 前回のルートでは確かお父様からは、どちらでも良いと言われたけど、いちおう他の貴族の方々との顔つなぎのために入学したって言ってなかったっけ? なんでその理由がおくびにも出ないの⁉ 私と一緒の学生生活を送りたいって何? 私に見合う男になるのが目的ってどういう意味⁉
私は思わず頭を抱え、
「私の平和で自由な学院生活がー!」
とまぁ、そんな私のむなしい叫び声が美しい学び舎の庭園に木霊したのでした。
ざわざわ……。
ざわざわ……。
ざわざわ……。
見られている……。遠巻きに。他の生徒達に。ああ、なんでこんなことに……。
「アイリーン。なぜそんなに速足なのですか? ほら一緒に歩きましょう。授業開始はまだですよ?」
「そうですよ、アイリーン様。それに、転んでは大変です」
「姉さんは転んでも見事受け身を取るタイプですけどね、ははは」
ワイワイと、私の周りで楽しそうに三人の男が話に華を咲かせている。
いやいやいやいや。
「目立つんですよ……」
「え? 何かおっしゃいましたか?」
キース様がポカンとした表情をされる。私は思わず、思いっきりつっこんでしまう。
「目立つんですよ! 皆さんは! 私はフツーのですね、他の女子学生の方々とゆっくりとした学院生活を送りたいだけなのです! なのに!」
「「「なのに?」」」
今度は三人がぽかんとした表情をした。くー、これだから無自覚イケメンどもはタチが悪い!
「あなたは王太子殿下ですよね⁉」
「ですね」
ですねじゃない!
「あなたは副騎士団長!」
「ですな」
ですな、じゃないんですよー!
「でもって、バスク! あなたは今のところ公爵家令息! 将来は子爵位を継ぐけど、リスキス公爵家との関係は残る、実は隠れた優良株!」
「そうなんだー」
ああ可愛い! あどけない顔が可愛い! じゃなくって!
「自覚してくださいませ! そんな三人にまとわりつかれたら、みんな怖がって寄って来ません! 分かりますか⁉」
私は必死に訴える。これだけ言えば伝わるだろう。
だが、三人は顔を見合わせた後、
「「「その方が都合がいいかもしれない」」」
と言ったのだった。
「お願いだからやめてくださいー! 私は普通に女友達を作って、華の女子学生生活がしたいだけなんです! なんですか⁉ いじめなんですか⁉ 私に友達を作らせない新手のイジメなのですか⁉」
そんな私の必死の抵抗むなしく、なかなか三人は私の周りから離れてはくれないのでした。
こうして入学一日目の私は新しい友達0人という、最悪のスタートを切ったのです。
ああ、どうしてこうなった。
言葉通りルンルンとした気持ちで、私は外出用のドレスに袖を通す。明るめのグリーンを基調にした衣装でとても動きやすい。他にも青や赤の外出用のドレスはあるけれど、一回目の人生では、青色のドレスを着てくる子が多かったので、せっかくだから差別化しようという心意気なのだ。やはり女子たるもの、ファッションだって楽しみですもの。
というわけで、馬車に揺られて片道1時間程度。よく整備された街道を抜けて行けば、王都へと入ることになる。とても活発な街で流行が発信される場所でもある。治安も良くて素晴らしい所だ。
そんな王都の目抜き通りを過ぎ、しばらくすると貴族街があって、その一角に王立貴族学院が建てられている。奇麗に整備された学び舎はまるで白亜のお城みたいで、お庭の芝生はよく水まきされ整備されていた。季節ごとに咲く花が植えられて年中美しい学び舎である。
気候の良い日は食堂のお料理や、サンドイッチなどを持ち出して外で食べたりするととても美味しいし、たくさんの教室があるので、その中で友達と話しながら食べるのも楽しい。とにかく普段は貴族としての責任と義務、マナーで縛られている令息・令嬢にとっても、息抜きできる場所なのである。
ところで。
(この芝生は改めていいものね、ふむふむ)
と、貴族学院に到着して早々、私は芝生へ吸い寄せられるようにして座り込み、まじまじと観察してしまった。
ふーむ。ふーむ。
「どうかされたんですか? アイリーン。そんな風に芝生をまじまじと見て。牧草ではないから食べたらお腹を壊されますよ?」
「いえ、そうじゃなくってですね。これだけの敷地があるのに、これほどの面積の芝生を維持するのにどれだけの予算がかかっているのかと思うと、ちょっと興奮してしまって。私のカフェにも導入しようかと最初は計画していたのですが、水まきの大変さと維持の難しさに断念したのを思い出したのです。ああ、でもやっぱり素晴らしいですわね、芝生。いいわね、芝生。ビバ芝生」
「いやぁ、花々に目を奪われる新入生が多いのは知っていましたが、芝生に目を奪われるのはあなたくらいですよ、アイリーン」
「そうなんですか? ところで、どうして私の名前をご存じで……って、エ""⁉」
「こんにちは。アイリーン。久しぶりですね。ところで今の『エ""』とはどういう意味ですか?」
目の前にはニコニコと微笑みを浮かべた、仮想敵が立っていた。いつもなら、会う前に、主に心構えなどの防御体勢を完璧にしてから会うので、うろたえるような失態は犯さないのだが、今日は絶対に会うはずがないと思っていたため、完全に油断していたのだ。
「キース王太子殿下⁉ ど、ど、ど、ど」
「どうしてこんなところに、ですか?」
コクコクと私は頷く。
彼は微笑みながら、
「もちろん、婚約者であるあなたが入学されると聞いて、なら僕も入学しようと思ったのですよ。悪い虫に刺されでもしたら大変ですからね」
と言ったのだった。私は若干落ち着きを取り戻しながら、
「わ、悪い虫ですか? 大丈夫ですわ、殿下。変な虫が来たらバシッと自分でやっつけますので」
そうパチンと手をたたく仕草をした。これでも反射神経は良い方なのだ。
「伝わってなさそうですが……そうあって欲しいものですね。まぁ、それはともかく、先ほどのエ""の意味をそろそろ聞かせてもらい……」
「しつこい男性は嫌われますよ、殿下。はい、バスク君からも一言」
「そうですよ、キース様。クライブ様のおっしゃる通りかと」
「あなたたちも来たんですか、やれやれ。まあ、そうですね。良しとしましょう」
え? え? え? え?
へ?
なんで?
どうして?
どうしてここにキース王太子殿下にクライブ副騎士団長、それにバスクまでいるの⁉
「おっと、ご挨拶が遅れてすみません、アイリーン様。私の美しき鳥。あなたを必ずや不届者からお守りしましょう」
「あなたは私の警護のために入学したはずだったのでは?」
「もちろんですとも。どちらの任務も私にお任せください」
将来の騎士団長だけあって、力強く言った。いえいいえいえいえ、学園は警備もしっかりしているから、私の警備はいりませんから⁉ っていうか、前回のルートでは私への警備はなかったはずですが、今回はどうして私の警備が任務に入ってしまっているんですか⁉
そう内心でツッコんでいると、次にバスクもあどけなさを残した顔で言う。
「僕もアイリーン姉さんが入学するならぜひ一緒に学生生活を送りたいと思ったんだ。そして、姉さんに見合うような立派な男性になるために勉強に励むよ!」
わ、私に見合う? えっと、どういう意味かしら? 前回のルートでは確かお父様からは、どちらでも良いと言われたけど、いちおう他の貴族の方々との顔つなぎのために入学したって言ってなかったっけ? なんでその理由がおくびにも出ないの⁉ 私と一緒の学生生活を送りたいって何? 私に見合う男になるのが目的ってどういう意味⁉
私は思わず頭を抱え、
「私の平和で自由な学院生活がー!」
とまぁ、そんな私のむなしい叫び声が美しい学び舎の庭園に木霊したのでした。
ざわざわ……。
ざわざわ……。
ざわざわ……。
見られている……。遠巻きに。他の生徒達に。ああ、なんでこんなことに……。
「アイリーン。なぜそんなに速足なのですか? ほら一緒に歩きましょう。授業開始はまだですよ?」
「そうですよ、アイリーン様。それに、転んでは大変です」
「姉さんは転んでも見事受け身を取るタイプですけどね、ははは」
ワイワイと、私の周りで楽しそうに三人の男が話に華を咲かせている。
いやいやいやいや。
「目立つんですよ……」
「え? 何かおっしゃいましたか?」
キース様がポカンとした表情をされる。私は思わず、思いっきりつっこんでしまう。
「目立つんですよ! 皆さんは! 私はフツーのですね、他の女子学生の方々とゆっくりとした学院生活を送りたいだけなのです! なのに!」
「「「なのに?」」」
今度は三人がぽかんとした表情をした。くー、これだから無自覚イケメンどもはタチが悪い!
「あなたは王太子殿下ですよね⁉」
「ですね」
ですねじゃない!
「あなたは副騎士団長!」
「ですな」
ですな、じゃないんですよー!
「でもって、バスク! あなたは今のところ公爵家令息! 将来は子爵位を継ぐけど、リスキス公爵家との関係は残る、実は隠れた優良株!」
「そうなんだー」
ああ可愛い! あどけない顔が可愛い! じゃなくって!
「自覚してくださいませ! そんな三人にまとわりつかれたら、みんな怖がって寄って来ません! 分かりますか⁉」
私は必死に訴える。これだけ言えば伝わるだろう。
だが、三人は顔を見合わせた後、
「「「その方が都合がいいかもしれない」」」
と言ったのだった。
「お願いだからやめてくださいー! 私は普通に女友達を作って、華の女子学生生活がしたいだけなんです! なんですか⁉ いじめなんですか⁉ 私に友達を作らせない新手のイジメなのですか⁉」
そんな私の必死の抵抗むなしく、なかなか三人は私の周りから離れてはくれないのでした。
こうして入学一日目の私は新しい友達0人という、最悪のスタートを切ったのです。
ああ、どうしてこうなった。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる