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第二章後半【いざ東方へ】

2-24.パールシークルージング、の前に(3)

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 結局、アルベルトが着せられた服は全てお買上げとなった。ただしサイズの合わなかったヴィオレとクレアのチョイスはサイズを選び直してあるが。
 ミカエラが財布からカードを取り出そうとするのを、アルベルトが押し止めて自分の財布から全て支払ったので彼女は少し驚く。

「おいちゃんよかよ?これウチらが無理やり着せたんやけん蒼薔薇騎士団ウチで払うばい?てか金持っとったん?」
「いやいや、俺が使うものなんだし、せめて自分で払うよ。俺だってそのくらいの蓄えはあるし、ちゃんと持ってきてもいるからね」
「まあそげんそう言うならそれでも良かばってん…」

 言いつつ、案外律儀なアルベルトの性格をちょっと見直したミカエラである。

 買った服が大量なので一旦店で預かっておいてもらうことにして、一行は次の目的地に向かう。
 そう、水着を買うのである。
 なおアルベルトが今着ているのは、最後にレギーナに着せられたコーデそのままだ。売上票タグだけ取ってもらって、今日はこのまま1日着て回るつもりである。


「ならウチらはしばらく選びよりますけん、おいちゃんも自分とばのを選んでき。多分ウチらは時間のかかるけん、おいちゃんはうたら店の外で待っとってもらえたらよかけん」
「えっ、俺も買わないとダメかな」
なしななんで、要るやろうもんでしょ水着。それとも海さい入らんつもりなん?」
「だって俺泳げないし」

 意外な事実判明。
 だがこの世界のこの時代で、泳げないのは割とよくある事でもある。

「泳げんでちゃ水際ぐらい入りたかろうもんたいでしょ。それにひとりだけ水着買わんやったら姫ちゃんがまた気にするけんうてきぃよ」
「ああ、それもそうか。分かったよ、じゃあまた後で」

 そう言って男性用水着売り場へと消えていくアルベルトを見送って、ミカエラもレギーナたちの元へと戻って行った。


 そうして時間をかけて彼女たちが選んだ水着は。

 ミカエラは綺麗な青いシンプルなビキニに腰回りだけを覆う花柄のパレオを合わせ、やや地味だがよく似合っている。ビキニのブラの胸元の合わせが結び目になっていて、それがワンポイントになるとともに小ぶりな胸をよく引き立てていた。
 ビキニにしたことでウエストのくびれもよく目立っていて、こうしてみると胸がやや小さいだけで彼女もレギーナに劣らない素晴らしいプロポーションなのだとよく分かる。
 余談だが、ミカエラとレギーナは胸以外のサイズが身長や体重まで含めて全部同じだったりする。

 ヴィオレは今日のファッションとは打って変わって派手なラメの入った紺色のビキニだ。トップには胸元のみ覆う生地の柔らかなタンクトップも合わせて、やや大きすぎる胸をほどよく隠すとともに華やかさと豪奢さも演出していて、こちらもよく似合っている。
 ついでにサングラスとつば広の婦人帽も合わせて、普段から名乗っている「マダム・ヴィオレ」をよく体現していた。そのままビーチチェアに寝そべっていれば、どこのセレブかと注目を集めること間違いなしだ。

 クレアはシンプルな白のワンピース水着、なのだが、小柄な身体に不釣り合いなほど大きすぎる胸がいよいよ強調されて、暴力的とも言える破壊力を有している。
 腰には柄物のパレオを合わせてワンポイントにしているが、視線のすべてを胸が集めてしまうのであんまり意味がない。ついでに言えば背中も年齢の割に大胆に開いているのだが、こちらも残念ながら目立たない。

 そしてレギーナ。
 彼女もミカエラと同じくビキニをチョイスしていた。ただしトップスは首元とバストラインだけを覆って肩から背中までを大胆に露出したハイネックタイプで、胸元が涙滴型に大胆に開いている攻めたデザイン。ボトムスはややハイレグになっていて、しなやかな長い脚が際立つデザインになっている。
 腰回りに足首まである長い柄物のパレオを合わせれば、腰のくびれがより強調されてプロポーションもさらに引き立つ。さらに蒼髪はポニーテールと同じ位置で団子状に纏めてあり、美しいうなじまで露わになっていて、きっとビーチの視線を独り占めする事だろう。
 まあ、彼女たちが泳ぐのはプライベートビーチだから他人の目に晒されることはないのだが。

 ちなみに、水着はサライボスナの湯着と違って伸縮性のある繊維で織られていて、女性用は局部に透け防止のパッドも入れてある。男性用は股間にカップが入れられていて、透け防止だけでなく形状が水着の外に響くのを防いでいる。何しろ刺激で大きさが変わるものだし、ビーチには周囲に刺激しかないので気を使うのだ。
 ついでに言うと女性用の上下セパレートタイプの水着を「ビキニ」というのは、東方世界の遥か海上にあるという「ビキニ諸島」の住人の女性たちの民族衣装に似ていることから名付けられたものらしい。西方世界の人々のほとんどはそんな場所になど行ったこともないので確かめようもなく、なので単に「上下セパレートタイプの女性用水着=ビキニ」と機械的に覚えて呼んでいるだけであった。


 で、アルベルトが選んできた水着だが。

「あんたね…」
「…おいちゃん、ほんなこつ本当にセンス無いばいね…」
「///」
「一応聞くけど、どうして縦縞・・を選んだのかしら?」

 レギーナが、ミカエラがドン引いている。
 クレアが顔を真っ赤にして黙り込む。
 ヴィオレが呆れつつ確認する。

「えっ…いやまあ、安かったから?」

「「「「選び直せ!! 」」」」
「はっ、はいぃ!」

 全員から怒鳴られて、大慌てで別の水着を探しに行くアルベルトであった。


 で、持ってきてはダメ出しされてを繰り返して。

「も、もうあとは派手なのしかないよ!?」
ほんならだったら派手なの持ってきたらいいやんでしょ
「えぇ…」
「つべこべ言わずに持ってくる!」

 そうしてさらに何度かダメ出しを食らった挙げ句、ようやく植物柄のオーソドックスなトランクスタイプの海パンで許してもらったアルベルトである。

「まあ、まだ地味だけどこれで勘弁してあげるわ」
「最初に選んだのよりは随分マシよね」
「もっと派手なのでもいいと思う…」
「いっそこの店の男物全部買うてった方が早いっちゃないとかいな」

「いや…さすがにそんなに買っても使わないし…」

 というか男物全部となると布面積の小さな際どいものまで揃ってしまうので、それはとても恥ずかしいし勘弁して欲しいと本気で嫌がるアルベルトであった。



  ー ー ー ー ー ー ー ー ー


【補足】
ちなみに女性用上下セパレートの水着を「ビキニ」と名付けたのは日本からの転生者です。前世の記憶そのままにビキニと呼んでしまって意味を問われて説明に困り、地球上での名の由来をそのまま話してしまったらしい。
ということで、この世界の東方に「ビキニ諸島」が本当にあるのか、誰も知りません(笑)。



【補足2】
蒼薔薇騎士団の体型データ。
一応こんなのも作っています(笑)。
スリーサイズの単位はデジ。1デジ=2cmです。

・レギーナ
身長:82デジ(164cm)
体重:48リブラ(48kg)
スリーサイズ:43.5-29-42(87E-58-84cm)

・ミカエラ
身長:82デジ(164cm)
体重:48リブラ(48kg)
スリーサイズ:41-29-42(82B-58-84cm)
※ツルペタではない。微乳と美乳の中間くらいな感じ。

・クレア
身長:76.5デジ(153cm)
体重:42リブラ(42kg)
スリーサイズ:44.5-28-40(89G-56-80cm)
※身体の線が細いのでヴィオレよりもカップが大きめ。

・ヴィオレ
身長:85デジ(170cm)
体重:55リブレ(55kg)
スリーサイズ:45-30-45(90F-60-90cm)


ついでにアルベルトは、
身長:87.5デジ(175cm)
体重:70リブラ(70kg)
です。



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