日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家

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29話 王国の緊急軍議

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 インベリアーロ城

 インベルド王国の首都インベリア―ロの中心部に位置する、インベリア―ロ城。
 城の奥の豪華な寝室で、脂ぎった顔の男が酒を豪快に飲んでいた。

「おい、もう一杯寄越せ!こんなものでは儂は酔わんぞ!がっはっは!」

 彼の名はズックル。インベルド王国の国王である。

「国王陛下、おさすがです~。ほーらもう一杯どうぞ♡」

「飲みっぷりが格好いいです~。惚れ直しました~」

 いつも周りに美しい女性を侍らせ、食事も酒と肉ばかり。そんな生活を続けた結果、彼は極度の肥満になってしまっている。

 そんな中、彼の近くに一人の老人がよたよたと駆け寄ってきた。

「陛下、大変でございます!」

「なんだゴルミフ、せっかく儂は楽しんでいたというのに。」

「それが、ソラーロがリマ国に奪還されたらしいのです!」

「何い!?それはどういうことだ!?リマにはもうそんな戦力はないはずだ!」

 インベルド王国はリマ国全土を征服したのだ。そんな戦力があったなら征服される前に使うはずだし、密かに戦力を集めて反撃の機会を窺っていたにしても、要所で守りも厚いソラーロを奪還できるほどの規模となると隠すことは無理なはずである。

「しかし、実際に奪還されてしまったのです。ともかく陛下、至急王の間へおいでください。すぐに軍議を開きます」

「む、むむむ………分かった、仕方あるまい。」

 ズックルは名残惜しそうな顔をしながらも、ゴルミフに続いて城内へと戻っていった。

 ――――――――――

 インベリア―ロ城 王の間

 城の中でも、もっとも大きく広い部屋である【王の間】。
 巨大な玉座と、天井に描かれた星空の絵はあまりに豪華で、初めてここに来た者を圧倒するだけの迫力があった。

 そんなこの場所に、十数人の男が集まっていた。

「では、これより緊急軍議を開始いたします」

 宰相のゴルミフがそう述べると、各々が好き勝手に話し出す。

「まさか、ソラーロが陥落するとは思いませんでしたな」

「ええ。守備隊は一万ほど居たはずですが、それが負けるとは」

「海軍や航空戦力も豊富だったはずですぞ。となるとリマはそれらを全て壊滅させるほどの精鋭を隠していたわけですか」

「ふーむ。しかしアブレ殿は無事なのだろうか?」

「おそらくだが、戦死なされただろう。残念だが」

「あのアブレ殿がリマの敗残兵から守り切れぬとは思えん。何かの間違いではないか?」

「ああ、私もそう思うぞ」

「今日の夕飯はフレイムボアのステーキにすべきか、サンダーシャークの煮込みにすべきか………悩ましいぞ」

 会議として成立していないこの状況を正そうとする者は、この場にいない。近年の連戦連勝は、兵士たちだけでなく、上層部の慢心も生み出していた。本来なら場を引き締めるはずの国王ズックルも、速く軍議を終わらせたいとしか思っておらず、宰相のゴルミフも軍事に関してはさっぱりである。

 会議がますます騒がしくなってきたその時。

「諸君、静まりたまえ!」

 一人の男の声が響き、場は静まる。

 彼の名は、アントロフ。この国一番の将軍である。

「陛下、今回の件は陥落の際に送られてくる魔法煙での合図で判明いたしたそうです。そのため、誤報はまずありえません。事実でしょう」

「ならば、我々はどうするべきか?アントロフよ」

 そうズックルが問いかけるとアントロフはスラスラ答える。

「リマの領土は我々が全て占領しているのですから、あちらは大軍などすでにありません。おそらく敵は少数精鋭の部隊で奇襲したのでしょう」

「なるほど、つまり?」

「敵軍は正面から戦えば、楽に潰せます。それに、今回の戦いでの損害も大きいに違いありませんから、またすぐには攻めてこれません。じっくりと兵を集め、それから大軍で力押しするのがよろしいかと思われます」

「そうか、お前がそういうならそうに違いない。アントロフ、そなたにすべて任せよう。儂は庭に戻るよ」

 ズックルはアントロフへこの件を丸投げするや否や、サッと王の間を出て行ってしまった。
 他の面子も、

「任せましたぞ将軍」

「将軍のご慧眼にはいつも驚かされますな」

「貴方様が兵を率いる以上、次の戦いの勝利は約束されたものも同然でしょう」

 アントロフに面倒なことは任せてしまえと言わんばかりに適当な事を言いながら去っていく。

(この国は、本当に大丈夫なのだろうか?)

 これからの自国の未来を不安視するアントロフであった。
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