日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家

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25話 駆け巡る衝撃➁

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 アグレシーズ帝国 アグレシア大宮殿

「こ、これより緊急会議を開始する!」

 いつもの定例会議と同じようにマークの掛け声で会議が始まるが、そのマークの声は少し震えている。

「今回の議題は、開発中の魔力探知機が探知した上位魔族級の魔力についてです。詳しい説明はサルボー魔法技術大臣からお願いいたします。………サルボーさん、どうぞ」

 マークがサルボーへとそう促すと、サルボーは少し憔悴した様子ながらも説明をしだした。

「わ、分かりました………これよりこのサルボーから今回の件について説明をさせていただきますぞ。まず、現在魔法研究省では、いち早く敵の航空戦力や艦隊を把握するための魔力探知機を開発中です。これは皆さんご存じですな?」


「ええ、知っていますよ」

「もし開発が成功すれば我が国の軍は劇的に変化するぞ!」

「だが、確か実用化にはまだ時間がかかるはずでは無かったかな?」

 その場の者たちが様々な反応を示し、それを確認するとサルボーは説明を続ける。

「そして、開発中の魔力探知機の性能を確認するために一時的に作動をさせて試験を開始しようとしたところ………」

「開始してすぐにとんでもない大きさの魔力を探知したわけだな?」

 シャーカーがそう口を挟む。サルボーはそれに頷き、そして更に続けて発言する。

「おっしゃる通りです。今の魔力探知機の性能は実用化には程遠く到底使えるものではないはずなのですが、それでも数千キロ先の魔力を探知したのです。この意味がお分かりですか?」

「いや………だからどうしたというのだ?」

「思ったより魔力探知機の性能が良かったのだろう?上位魔族級の魔力の持ち主は脅威だが、帝国軍でも対応できぬことはないだろうに」

「ふむ。確かに重大性があるが、そこまで焦ることはないだろう?」

「よく分からんぞ。サルボーよ」

 サルボーのそんな問いかけに、事態を余り把握できていないファリバンなどの多くは首を傾げる。だが、既に気づいているシャーカーとマークだけはそれを聞いて顔色を非常に悪くする。

「魔力探知機の探知範囲は、相手の魔力の大きさにもかなり左右されます。通常なら5、600mほどが範囲だというのに数千キロ先まで探知できたということはそれ相応の魔力があるということになりますなあ」

 サルボーのその一言で、それまでよくわかっていなかった大半もその深刻さに気付く。

「な………ということはただの上位魔族ではないということか!?」

「ど、どういうことだ!付近にそれほどの魔獣や魔族が生息しているなど聞いたことがないぞ!」

「ぐ、軍を用意せねば………」

 それにつけ足すように、シャーカーも話し出す。

「その魔力反応が探知できたのは、セラバダ海付近です。そして、その近辺へ派遣された二ホン侵攻艦隊と連絡が取れなくなっている状況でもあります………恐らく艦隊はその魔力の持ち主にやられたのだと考えられます」

「何!?」

「二ホンと戦争をしている場合ではないぞ!?大至急守りを固めねば!」

「我がセテーロ侯爵家は私兵団と領地軍合わせて30000までなら出せる。いざという時のために準備させておこう」

 場が騒然とする中で、男の声が場に響く。



「貴様ら静かにせい!!!」



 そう、皇帝たるファリバンである。彼はこの場で唯一冷静であった。

「それで、その大きな魔力の持ち主はどれほどの魔力を持っているのだ?場合によっては我が国だけでなく近隣諸国の冒険者や傭兵、あるいは勇者に依頼することも考えねばならんぞ」

 そうファリバンがサルボーとシャーカーに質問する。


「「………」」


 だが、二人とも口を開かない。


「どうしたのだ!?早く言わんか!今は一分一秒たりとも惜しいのだぞ!」

 ファリバンが段々といらだち始めると、シャーカーがその重い口を開く。




「………サルボー殿とも相談した結果、どうも四大魔王のうちの一人だと思われます………」














「四大魔王………   だと………   」

 








 帝国歴683年。帝国建国以来最大の危機が訪れようとしていた。
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