日本VS異世界国家! ー政府が、自衛隊が、奮闘する。

スライム小説家

文字の大きさ
91 / 104

48話 帝国動乱

しおりを挟む
アグレシア大宮殿 

「シャベド北側の部隊が空から攻撃されただと!?」

「は、はい。恐らく二ホン軍によるもでしょう。付近はアークドラゴンが警備していたのですが、そのアークドラゴンも気づかなかったようでして………それと、その飛行体は取り逃がしたようです」

 とんでもない報告に動揺を隠せないファリバン。だが、なんとか感情を抑えてシャーカーに質問をする。

「な………それで、損害はどれほどだったんだ!?」

「わ、分かりません。何せついさっき魔法通信でこちらに入ってきた情報なのです。ただ、シャベドは他地域に比べてアークドラゴンや周辺海域での軍艦による警戒が何重にもあったはず。それでも気づけなかったということは………」

 シャーカーが暗い顔でそう話す。

「ここもやられる可能性があるというのか!?」

 ファリバンが信じられないといった表情でシャーカーに問う。しかしシャーカーの答えは………

「………はい。確かにこちらはシャベドより更に厳重ですが、それでも気づくことすらできなかったとなると………」



「むむむ、不味いな」

「な、なんと!ここも安全ではないとは」

 シャーカーのその言葉に、この場に集まった帝国重鎮たちの間にも動揺が広がる。

(間違いない。二ホンは、こちらよりも格上だ。帝国上空に気付かれずに侵入し、部隊を攻撃してそのまま無事に逃げ帰るなど………アークドラゴンやドラゴン、キングバードなどでは不可能だ!二ホンの航空戦力はアークドラゴンより下だという情報も恐らく間違いで………)

 シャーカーがそんなことを考えていると。

「お待ちください!シャーカーは嘘をついております!」

 男の声が場に響き渡る。その男とは………

「ま、マーク皇帝補佐!いきなり何を仰る!?」

 そう。皇帝補佐であり、帝国の事実上NO2であるマークだ。

「前々から、私はシャーカー殿のことを怪しいと思っておりました!四大魔王の件のときも、何か尋常ではない焦り方をしていたように思えます」

「は、はい?それは焦りますとも。古くは人類に多くの災厄をもたらした化け物が我が国から比較的近い海域に出現したのですよ!?焦らない方がおかしい」

 訳が分からぬまま、シャーカーは反論する。何を言いたいのだと言わんばかりである。

「なぜあそこまで焦っていたのか………その答えが今回やっと分かりました!入ってきてください!」

 マークがそう言うと、マークの部下が入ってきて書類をそれぞれに配っていく。そして最後に、シャーカーにも渡す。

「こ、これはっ!」

「な、まさか………」

 場に居る者たちの視線がシャーカーに集まる。その視線は、先ほどとは打って変わって疑念を主としたものだった。

「この書類は昨年の我が帝国の軍事予算をまとめたものと、シャベド警備や魔力探知機開発の予算について書類です。これを見れば一目瞭然、明らかに金額が合いません!シャーカー殿が異様に焦ったのは、四大魔王の件で自身が予算を横領していた魔力探知機の研究に注目が集まり、バレることを心配していたからなのです!」

 マークのその説明に、周囲はシャーカーへと怒りをにじませる。

「とんでもない男だ!」

「今回の二ホンの航空戦力を発見できなかったのも、シャベドの防衛予算を貴様が掠め取っていたからなのだな!?」

「見損なったぞシャーカー!」

 ファリバンも、今にもシャーカーに殴りかかりそうなほどの迫力で怒鳴る。

「私服をこやす為に、我が帝国の国防をおろそかにするとは何たることだ!!!シャーカーよ、貴様は一族郎党まとめて死刑だ!!!」

 突如の出来事に、シャーカーは混乱しながらも弁解をする。

「違うのです皇帝陛下!私はそんなことなどしていません!これは冤罪です!恐らくマークは二ホンとの戦争を推し進めた自らの責任を押し付けようとしているのです!」

 しかし、その言葉は届かなかった。

「黙れ!これは明確な証拠ではないか!もう良い!」

 ファリバンは深呼吸をすると、何かを唱え始める。

「我が偉大なる高祖よ

 我が偉大なる帝国の先達たちよ

 我が力星の彼方より見たまえ!ロイヤルフレイムッ!」

 炎の渦が、シャーカーに襲い掛かる。

「ち、ちがあああああああああああああっ!熱い熱い熱い熱いィィィィっ!ひいいいいいいいいいいっっっ!」

 悲鳴を上げながら、のたうち回るシャーカー。しかし、激昂したファリバンはそれを見ても一切手を緩めない。

「黙れ!喰らえ!ファイアランスッ!」

 ファリバンがそう言うと同時に、真っ赤な炎で形作られた槍がシャーカーを頭から貫く。

「」

 もはや彼は、物言わぬ屍であった。

 そんなシャーカーを横目に、ファリバンへマークが進言する。

「まだ調査中なのですが、帝国軍には他にも横領している者が多数存在すると思われます。そのような者たちは今後自らの横領によって帝国軍が敗北したとき、二ホンを過大評価して誤魔化そうとするかもしれません」

「うむ。シャーカーもそうであったな。考えてみれば、聞いたこともないような小国に我らが帝国が負けるはずなど無い。今後もこのような不埒ものが居れば、頼んだぞ」

「はっ。了解いたしました!」

 ファリバンのその言葉に了承の意を示すマーク。彼の瞳は、より深みの増した紫色になっていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

処理中です...