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今日もアクアオッジ家は平和です
30 ⑤ノームの変身
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「メリル、一緒にドラゴンに乗ろうか。乗馬で相乗りをしてみたかったんだ」
(馬じゃなくてドラゴンですよ)
スケール↑ いや、そうじゃない。
王子が手を伸ばしてきたのでメリルはぎょっとする。
乗せてもらうために挨拶していたドラゴンの横鞍にさっさと乗った。最近王子はやたらと距離を詰めてきていて、訳も分からず心がざわざわする。
つまるところ、メリルにとって恋愛感情というものは、今のところ"夏休みの宿題"並みに遠い存在だった。
母は大人で淑女なので一番大きいドラゴンに付けられた横鞍に一人で乗っている。
「アンドリュー王子殿下、これ横鞍ですよ。殿下はソルと一緒にどうぞ」
そう言ってるそばから、ウィルフレッドが空気を読まずメリルが乗った横鞍の後ろに乗ると、王子は盛大にため息をついた。
確かに横鞍は、ドレスを着て跨げない、淑女のためのものではあるが……
「殿下、ここはもう満員です。ソルと一緒にどうぞ」
しれっとウィルが言う。闇の深い王子に気が付いているのか、いないのか。
「男と相乗りだなんて。ぞっとしない」
何が何でも、ソルとメリルという組み合わせだけは断固拒否だ。
(それくらいなら奴と相乗りのほうがましだ。そう、我慢だ我慢)
おかしいよな……最初はアクアオッジ家を王家に取り込む為の婚約だったはずだが……。余りにもメリルが他所を向いているので、振り向かせたくてしょうがなくなっている。
顔かたちだって、「なんでわたしなんですかねえアハハ……」とか言っているが、メリルは世間一般的に見ても充分美少女の分類枠に入っていた。ただ行動が残念なだけだ。
まるで予測出来ない行動が刺激的で面白くはあるけれど。
彼女が婚約者になった五年前から忍耐力だけは上昇した自負が王子にはある。
今でも慌てて噛んだメリルにオンドリャーと呼ばれる日々。そして気を抜くとあっという間に愛称を忘れるメリル。
今日はまだ一回もアンディと呼んでもらっていないアンドリュー第三王子はイライラしていた。
王子は今まで、利用価値があるのかないのかだけで人を判断する人生を送ってきていて、男にはそれぞれ女の好みというものがあることを理解していなかった。
自分にとってメリルこそが、顔かたちも貴族令嬢にはあるまじき特殊で破天荒な性格すらも、全て好みど真ん中であることを知る由もなかったのだ。
『あとで身体に分からせてやらないと』何だかアダルチックで怪しげな思いを募らす王子の口角が上がっている。あ~あ。これは妄想力も順調に育っちゃってる。
(まずは絶対手を繋いで二人だけでデートだ)
三体のドラゴンが重々しい翼音を残して、王都を目指して一斉に宙へと舞い上がる。
その尾が風を巻き、庭の芝が波打った。
風:"いつ乗ってもドラゴンの飛翔って特別よね!"
水:"魔力の波乗り気持ちいいわ!"
光:"王子って、妄想まみれだけど奥手よね。もっとイケイケ~♪"
雷:"コンヤクってこんなに忍耐必要だっけか"
土:"わしも若返ってコイバナに参加するぞい"
"ちょっ、ノーム!"
"あー若返っちゃった!"
"やだ~ノームイケてるぅ"
"声は爺の時のままかよ!"
(またなんか騒いでるなあ)
精霊がわちゃわちゃしてるのはいつものことなので、精霊たちの姿までは見なかったメリルだが、この時ノームがどう変わったのか見ていたら、タウン・ハウスで事件が起こったとき、大混乱の最中で心臓がひっくり返るほどびっくりしなかったかもしれない。
(馬じゃなくてドラゴンですよ)
スケール↑ いや、そうじゃない。
王子が手を伸ばしてきたのでメリルはぎょっとする。
乗せてもらうために挨拶していたドラゴンの横鞍にさっさと乗った。最近王子はやたらと距離を詰めてきていて、訳も分からず心がざわざわする。
つまるところ、メリルにとって恋愛感情というものは、今のところ"夏休みの宿題"並みに遠い存在だった。
母は大人で淑女なので一番大きいドラゴンに付けられた横鞍に一人で乗っている。
「アンドリュー王子殿下、これ横鞍ですよ。殿下はソルと一緒にどうぞ」
そう言ってるそばから、ウィルフレッドが空気を読まずメリルが乗った横鞍の後ろに乗ると、王子は盛大にため息をついた。
確かに横鞍は、ドレスを着て跨げない、淑女のためのものではあるが……
「殿下、ここはもう満員です。ソルと一緒にどうぞ」
しれっとウィルが言う。闇の深い王子に気が付いているのか、いないのか。
「男と相乗りだなんて。ぞっとしない」
何が何でも、ソルとメリルという組み合わせだけは断固拒否だ。
(それくらいなら奴と相乗りのほうがましだ。そう、我慢だ我慢)
おかしいよな……最初はアクアオッジ家を王家に取り込む為の婚約だったはずだが……。余りにもメリルが他所を向いているので、振り向かせたくてしょうがなくなっている。
顔かたちだって、「なんでわたしなんですかねえアハハ……」とか言っているが、メリルは世間一般的に見ても充分美少女の分類枠に入っていた。ただ行動が残念なだけだ。
まるで予測出来ない行動が刺激的で面白くはあるけれど。
彼女が婚約者になった五年前から忍耐力だけは上昇した自負が王子にはある。
今でも慌てて噛んだメリルにオンドリャーと呼ばれる日々。そして気を抜くとあっという間に愛称を忘れるメリル。
今日はまだ一回もアンディと呼んでもらっていないアンドリュー第三王子はイライラしていた。
王子は今まで、利用価値があるのかないのかだけで人を判断する人生を送ってきていて、男にはそれぞれ女の好みというものがあることを理解していなかった。
自分にとってメリルこそが、顔かたちも貴族令嬢にはあるまじき特殊で破天荒な性格すらも、全て好みど真ん中であることを知る由もなかったのだ。
『あとで身体に分からせてやらないと』何だかアダルチックで怪しげな思いを募らす王子の口角が上がっている。あ~あ。これは妄想力も順調に育っちゃってる。
(まずは絶対手を繋いで二人だけでデートだ)
三体のドラゴンが重々しい翼音を残して、王都を目指して一斉に宙へと舞い上がる。
その尾が風を巻き、庭の芝が波打った。
風:"いつ乗ってもドラゴンの飛翔って特別よね!"
水:"魔力の波乗り気持ちいいわ!"
光:"王子って、妄想まみれだけど奥手よね。もっとイケイケ~♪"
雷:"コンヤクってこんなに忍耐必要だっけか"
土:"わしも若返ってコイバナに参加するぞい"
"ちょっ、ノーム!"
"あー若返っちゃった!"
"やだ~ノームイケてるぅ"
"声は爺の時のままかよ!"
(またなんか騒いでるなあ)
精霊がわちゃわちゃしてるのはいつものことなので、精霊たちの姿までは見なかったメリルだが、この時ノームがどう変わったのか見ていたら、タウン・ハウスで事件が起こったとき、大混乱の最中で心臓がひっくり返るほどびっくりしなかったかもしれない。
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