『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~

鈴白理人

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今日もアクアオッジ家は平和です

53 ㉘発動しない【鑑定スキル】

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 蒼竜ヴィアスソライルは、やっと終わったとばかりに羽を広げた。
「先にドラゴン留まりに戻っておく」

「分かった」
 
 バサッと音がしたかと思うと、ドラゴンはあっという間に飛び上がり、見えなくなった。

(相変わらずあっさりしているんだな)
 だが、その淡白なところが、アンドリューには心地よかった。
 周りには隙あらば近寄ってくる人間が後を絶たないから──

 だからこそ、メリルのことを気に入っている自覚もある。
(僕の身分に媚びへつらわない、数少ない一人でもあるから……)
 名前を間違えないで言ってくれる日はくるのか。それはまた別の問題だ。

(それに……)
 ドラゴンが自分の側にいるのが何となく腑に落ちた。

(王宮に戻ったら、話し合わないといけないだろうな……)
 おそらく最初からこういう事態を想定していたのだろう。アクアオッジ家と繋がりがあるのも条件だったのかもしれない。

 今後も、この国が数々の陰謀に巻き込まれていくのは間違いない──



「あらあら。ドラゴンは素早いわね」

 メリルに会いたい……王子がそう思っていると、背の低いほうの女が痛そうに喉をさすりながら、かすれた声で言った。

 無理もない。
 聖竜の手を借りなければならないほど、滅するのが手ごわい呪物でもあったのだ。

 
「塀は『呪いの核』が外部に漏れないように設置したのでは?」

 アンドリューは質問する。目的が同じだということが分かったので、それくらいは許されるだろう。『設置した急ごしらえの塀がいい働きをした』という言葉が気になったのだ。

「……ふふっ、逆よ。あの塀は中に入れないように、ではなく、外にいるわたくしたちの動向を掴まれないように作らせたの」

「……え?」
(それは、どういう?)
 また疑問だ。余りにもいろんなことが一気に押し寄せて、混乱気味のアンドリューはそう思った。

「塀で囲ったこの場所は、敵をおびき寄せる囮として作らせたの。見事に引っかかってくれたと思わない? 予定外の男の子も釣れちゃったけれどね」

(男の子、だって? 自分だって僕とそう変わらない年じゃないか)
 丁寧な言葉使いだが、アンドリューとそれほど目の前の少女は年は違わない。二、三歳ほど年上だろうか、という年齢に見える。

 ──鑑定してみるしかない。素性も分からないままなのだから。


 アンドリューの瞳に蒼光が煌めき、目の前の女性をまっすぐ見つめた。

【鑑定スキル】

 左目にいつもの魔法陣が出現し──その途端、バチッと魔法陣がはじけ飛び、雷のような閃光が走って、瞬間的な痛みに思わず王子は左目を手で覆った。脳膜に焼き付いた残像がしばらく消えず、冷たい汗が背を伝う。

「……ッ!!」

「……あら……貴方、【鑑定スキル】持ちなのね……。いいことを教えて上げるわ。相手の魔力総量のほうが多くて、鑑定されることを望んでいない場合はそうなるのよ」

(なんだって……!?)

 鑑定能力に自信のあったアンドリューは、余りの衝撃に目を見開いた。

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