『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人

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13 なまっちろいって?

 アスパラガスを口にする面々は揃って無口になっていた。
 みんな美味しさの余り黙々と食べている。

「美味しいねえ……」

「……もぐもぐ」

「ほんと美味しい……」

「父さん、このアスパラガスもっと買ってー」

「あ! わたし白いほうが好き!」

「メイ、日に焼けてないなまっちろい男は嫌いって言ってたくせに」

「なんの話をしてるのよ! アスパラガスの話よ!」


 ベタだけど素敵な一家だなあ。家に帰りたいなあ。けど肉を食べるためだから我慢するんだ。
 アーサーはちょっぴりおセンチになりながら、美味しいチーズや牛乳、茶色い素晴らしい食べ物を満喫するのだった。

 さて、午後も黙々と土を耕す。
 ここに母がいたら【育成スキル】の恩恵で楽だったのになあ、と思わなくもないが、考えてもしょうがないことは深く考えない。

 だがアーサーは母の【スキルツリー】効果を侮っていた。
 そもそもちょっとしか摘んでなかったクローバーがズタ袋一杯に増えていたのは母のスキルの恩恵なのだ。増えたクローバーが真っ当でないのはちょっと考えたら分かることだった。
 それを夏の終わりに知ることになる──


 ミミズにこれ以上負担をかけないように、毎日アーサーはミミズと共に仲良く土を耕した。
 渡り鳥も最初の頃は数羽だったけれど、この場所が集合場所なのか少しずつ数が増えてきていた。
 たくさんの動物たちとすっかりマブダチになり、なまっちろかった肌は日焼けしてちょっぴり逞しくなった、気がする。

 

 ◇◇◇


 

 夏が終わるまでに農家のもとでアーサーは畜産のことをたくさん学んだ。
 畜産農家も動物の気持ちが分かるアーサーを大変可愛がった。
 アーサーが提案していた立派なサイロも完成して、みんなが拝んでいる。
 
 やがて来る冬のための対策はばっちりだ。牛はグルメになっていくに違いない。


 牛たちはアーサーの知恵と工夫の恩恵をしっかり受け取っていた。

 それがこの地の酪農を大きく変えることになるなんて──この時のアーサーは知る由もなかった。
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