迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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165. コカドリーユと魔剣

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 前にも教えたはずだけど、マークはおどろいていた。

「レ、レベルが59だと知っている者は、いるのか?」

「いないと思うよ? 誰にも言ってないし……ソードなんかは、わたしのレベルが高いとわかっているみたいだけど、聞かれたことはないから……」

「パール、前にも話したよなっ! そのレベルはあり得ないから、絶対人に言うなよ!」

「うん。わかった」

「軽いなぁ~。ホントにわかっているのか? ハァー。すごいことになりすぎていて、麻痺しそうだ……」

 立っての休憩は、あっという間に終わる。

 これからはお土産をかねて、少しだけ魔物を狩ることにした。
 チェリーに良さそうなモノを教えてもらう。

 身体強化しているから、スピードが上がっていく。
 マークって、実はすごい冒険者だったんじゃないのかな?
 迷いなく進んでいくよ。

(パール。前方にコカドリーユがいます)

(えっ?! マークに聞いてみるよ)


「マーク! 前方にコカドリーユがいるけど、どうする?」

「コカドリーユか……あいつは強く目が合ったり、一定時間接触するとそこが石化してしまう面倒くさい魔物だ。毒も吐くし、炎も吐く。飛ばれると煩わしいが、降りているいまなら、雷の魔法で倒せるぞ。それに案外うまいから、トムさんがよろこぶかも?」

「資料には、大きな鶏冠を持つ雄鶏の首と胴体に蛇の尻尾がある魔物で、ノドが膨らんだら炎や毒を吐くから危険だと書いてあったかな?」

「そうだ、さすが資料を読み込んでいるな。あと爪も鋭いから気をつけろ!」

 風下から、そっと近づく。

 ヒィャーッ! マークより背も高いし、大きなカラダ!
 なのに、あんな小さな? なにか、植物の種でも食べているのかな……
 
 マークが腰を低くして草の影から、合図を送ってきた。
 うなずいて魔剣を資料に書いてあったコカドリーユの急所、ノドに狙いを定めて雷の魔法を撃つ。

「いけーっ!! カミナリー!」

 しっかり目を逸らさないで、コカドリーユを見据える。

「うわっ!」

 わたしの声に一瞬こっちを向いて、目が合いそうになったのですぐ目をそらすと、バタっと大きな音がした。

「やったぞっ!」

 マークの声で、コカドリーユを探す。
 地面に倒れていた。
 念のためマークが近づき、様子を伺っている。

「よし、大丈夫だ! うまくいったな! これは、そのまま持って帰ろう! 石化させる液体も、薬として使えるし、これはプロに任せた方がいい。肉だけ返却してもらおう」

 すぐ腰のマジックバックへしまっておく。
 そのとき、空の上から甲高い声が聞こえた。

「なんだ?! すごい声だ! もう一匹いたのか?」

 空中で大きく口を開けて、ノドを膨らませている!

「危ないっ! マーク逃げて!」

 わたしを狙っているのか? マークなのか? 上空から見えていたのだろう、すごい速さでここまできたようだ。

「パール!!」

 マークがわたしのからだを、自分のからだで包み込むように覆いかぶさってくる。

 同時にすごい温風と炎がやってきた。

 ドンと強い衝撃と一緒に炎がきて、一瞬パニックってしまう。
 数秒訳がわからなかったけど、マークの温かい体温で我に帰る。

「マーク……」

「パール?……大丈夫か?」

 腕の力を緩めてくれたようで、あたりの様子を見ると、魔道具の一時間だけ強いバリアが張れるリングのバリアが効いているようだ。

 
「よかった……バリアのリングを渡していて……」

「ああ、今回は助かったな……熱くもないしな。でもどうする? まだ炎を吐いているぞ」

「だいぶ怒っているみたい……まあ、しょうがないよね。もう少ししたら止まるだろうから、そうしたらわたしはバリアからでて、雷の魔法をお返しするよ。おあつらえ向きに、地面に降りてきてくれたしね! マークはまだバリアの中にいてよ」

「大丈夫なのか? 外は熱くないのか?」

「そうだね、熱に耐性のある服ももらっているから、着ておこうか?」

 二人でバリアの中、コカドリーユの炎を受けながら熱に強いフード付きのマントをいまの服の上から 一応念のために着ておく。
  
「そろそろ終わるぞ! ノドがへこんできた!」

「ホントだ!? いまは逆にすごくへこんでいるね」

「パール、外に出てもホントに大丈夫なんだな?」

「大丈夫、任せて! お返ししてあげるよ!」

 コカドリーユのノドが震え出した。
 終わりだな……
 最後に上を向いて甲高い声で鳴いている。

 いまだっ!!

 魔剣を強く握りしめる。
 マークのバリアから飛び出し、怒りで上を向いて甲高く鳴いてグイッとそらしたノドを目がけて魔剣をかざし、雷を撃つ!

「やーーっ! いけーっ カミナリーっ!!」

 ピカッン!

 一瞬の出来事だった。
 コカドリーユはノドをそらしたまま、倒れていった。

 マークがすぐバリアから出て、コカドリーユに近づき確認している。

「パール! 大丈夫だっ! やったぞーっ! すごい魔剣だな。 そうだ、いまはそんなこと話している時間はない! すぐにマジックバックにコカドリーユを収納しろ! 撤収だ! これだけ派手に戦ったら、まわりにいた冒険者たちがやってくるかもしれない!」

「うそっ?! それは、たいへん!!」

 慌てて収納し、ボードに乗ってすぐ飛びだした。

 上から見ると、ホントだ! 冒険者たちがこっちに向かってきている。

「マーク、なんだか悪ことしちゃったのかな? せっかく助けにきてくれてるのに」

「なに言ってるんだ! 悪いわけないだろ! そんなこと気にするな。それに助けに来ているとは限らないんだぞ」

「えっ、助けに来てないなら何しに来てるの? 見学?」

「ハァー。見学なわけないだろ~。コカドリーユの鳴き声は聞こえていたはずだから、普通はどっちかがやられて倒れている確率が高いんだよ。まあ大抵はコカドリーユが生き残って、人は燃えているか、石化しているか……よくてコカドリーユがだいぶ弱っているかだろうな。だから、そのおこぼれを狙う冒険者も多いんだよ」

「おこぼれ?」

 詳しく聞いてみた。

 もし人が石化してしまって、コカドリーユも弱っていたら、自分たちが倒せる絶好のチャンスになる。 
 人が生きていたら、加勢して比較的安全にわけ前をもらえたりもできるそうだ。
 大きな鳴き声が聞こえて、しばらくしてから行くとコカドリーユが弱っている確率もグンと上がり何かと、得なのだと教えてくれた。

 それに普通は魔法袋を持っていないから、大きな獲物はすべて持って帰れない。

「残りも、多いんだよ」

 それを狙う冒険者も多数いるそうだ。
 コカドリーユなら、残り物でも良いお金になるらしい。

「なんだか、すごいね……」

「生きて冒険者を長くしようと思ったら、それも有りなんだ」  

「そうだよね。生きて帰ることが大切だよね」

「……ああ」

 しばらく飛んで、安全な場所に移動して、今日はもうテントでからだを休めることにした。


 ちょっと大変だったけど。
  
 コカドリーユか……へへ。

 おいしいお土産が、みんなにできたぞっ!
 



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