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166. 魔牛は大きな茶色いかたまり?!

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 今日はいっぱい走ったから、先にお風呂に入ってそれから夕食にする。
 
 今回もライの料理長の料理。

 なんの肉かわからないけど、串に刺さって焼いてあった数種類の串焼き。 
 一皿に 十本。
 それを 二皿出す。
 大半はマークが食べてくれるだろう。
 あとは色とりどりのパプリカにトマトやセロリ、豆などの野菜が水分がなくなるまで煮てある?
 それを包んだりちぎって食べる薄いパン?もある。
 うわーっ!
 ミニトマトとブドウが色とりどりで、かわいい陶器の入れ物に入ってるよ?
 丸くてかわいい!
 これは、サラダ?  
 それともデザート? 
 いっぱい コロコロ入っていた。
 
 料理長は、わたしが料理に飽きないよう、入れ物まで工夫してくれている。
 いつも全部おいしいから、どれをだしてきても当たりだっ!
 ついでに、焼きマロンもだして、ハーブ水とマークにはワインの残りをだしてあげる。
 わたしは、オレンジ果汁で乾杯した。

「うまいっ! このワインはホントにうまい! それになんだ? この串焼きは? うますぎる! 肉もいいのに味もいいっ! あの料理長は、最高だな!」

「うん、ホントおいしいねっ! このオレンジ果汁もなんだか、いろんなオレンジでブレンドしているのかな? あるときから、すごくわたし好みになっておいしくなったんだ!」

 あーっ おいしいーっ!
 はっはは!


「それにしても、パールの魔剣はすごいなぁ~ 世に出したら国宝級だぞ!」

「だよね~ 。 でも、向こうでは子どものおもちゃなんだよ」

「はあ~ 信じられないな?!」

「今日着ていたマントも、コカドリーユの出した炎のすぐ後だったはずなんだが、ぜんぜん熱く感じなかったしな。 バリアにも助けられた…… 今回は、危なかった…… 飛翔能力持ちの魔物なのに上空を注意できてないとは、ボケているよ。 おれも冒険者としての感が鈍っているようだ……」

「あれは、しょうがないよっ……」

「パール、今回のことを踏まえて、明日からしばらく冒険者の感を 二人で取り戻そう!」

「…… うん。 また走るの?」

「走らないと、魔物にも遭遇しないだろ?」

「まあね……」

「それと、コカドリーユにパールの魔剣が有効だとわかったから、もっと狩って帰ろう。 あの肉もうまいらしいからな! みんなのお土産だ!」

「そうだね! それがいいよ! あと魔牛もっ!」

  なんだか冒険が、急に楽しくなってきたぞっ。

 今日は 二人頑張ったから疲れている。
 そこそこで切り上げ、部屋でゆっくり休む。


「チェリー! 今日はコカドリーユを教えてくれてありがとう! マーキングしておいたから、またいたら教えてね!」

「はい。 今回の戦いで、コカドリーユの特性などもわかりました。 危険は大半、回避できるでしょう」

「今回は、ちょっと危なかったね…… でもまさか、マークがわたしに覆い被さってくるなんて思わなかったよ……」

「はい。 パールより弱くても、親心が勝っていたのでしょう。 レインボーサーモンのときにも注意されていましたが、パールの無謀な行動が共に冒険しているマークの安全をも危険に変えてしまうと、覚えておきましょう。 よい経験です」

「はい……」

 なんだかチェリー にも説教されてしまう。

 でも今日は、大切なことを学んだ 一日だった。

 おやすみチェリー また明日……


   ♢♢♢


 今日も朝から走っている!
 マークは迷いなく ドンドン進んでいく。
 来たことがある場所なのかな?
 だいぶ西に来たから、暑さがましなのかマークも楽そうだ。

 そんなとき、チェリー が声を掛けてきた。
 
 魔牛がこの先。
 八百メートルのところに 一頭いるらしい。
 いまなら、避けることもできると教えてくれる。

「マーク! この先、八百メートルのところに魔牛が一頭いるけど、どうする? いまなら避けることもできるよ?」

「やっとかっ! そろそろ魔牛がでるころだと思っていたんだよ! よしっ 狩っていこうかっ!」

「分かってたの? じゃあ、風下に回り込んで進むよ。 魔牛も雷かな?」

「ああ、血を見ないですむ雷の魔法は、パールにとって、これからも最強の武器になるだろう」

「うん。 それに今回 二頭はそのまま持って帰ってほしいと、トーマスに頼まれたから……」

「ああ、そんなことをいってたな。 あの 二人は、いつも楽しそうだ。 ホントに倉庫も建てるみたいだぞ」

「ひぃゃー ホント、信じられないよ? 自分で捌きたいなんて……」

「ハッハッハ ホントになっ!」

 そんな話しを コソコソ しながら、魔牛が見えるところまでやってきた。

 うわーっ!? 茶色のかたまり! 
 こんなに、大っきいの?
 草原の草を食べているのかな?

「マーク! すごく、大っきくない?」

「んっ 魔牛のサイズは、こんなもんだ。 アレは普通の魔牛。 もっと大きな特別な魔牛もいるぞ」

「特別な魔牛……」

「まずは、あの魔牛から…… コカドリーユよりも強い雷の魔法にしないと、一発では倒せないぞ。 気をつけるんだっ!」

「わかった」

 風下から、ギリギリ気づかれないところまで近づき、魔剣を魔牛の頭に向けて…… 
 今回からは無言でっ!

 撃つ!

 ピカーーッ!

 魔牛に命中したっ! よしっ!

 ドカッ!

 マークがすぐに、確認に向かう。

「マーク! 気をつけて!」

「大丈夫だ! パール、こっちへこい!」

 呼ばれてすぐに、魔牛のもとへ向かう。
 収納かな?っと思ったら、マークが魔牛の頭を指差して告げてくる。

「パール、こんなに小さな頭を狙って外れたらどうするんだ! コカドリーユのときとは、炎や毒を出さないから違うんだぞ! この狙い方は危険だ。 雷なんだから、的を大きくしろ! からだの心臓を狙え。 場所はだいたい解体で分かっているだろう? 危険はできるだけ回避するんだ」

「確かに…… 頭だと、的が小さいのか…… そうだよね、少しぐらい魔牛が動いても、からだなら当たる確率が上がるんだ…… わかったよ!」

 マークに指摘されて ハッとする。
 わたしが失敗したら、マークまで危険な目に遭うんだ……
 昨日の続きだな。
 人と 一緒に冒険するって難しい。
 もっと考えて行動しなきゃダメなんだ……
 勉強になるな。

「でも今回は、無言で雷の魔法を撃っただろ? アレはよかったぞ! わざわざ相手に自分の居場所を知らせる必要はないからなっ」

「うん」

 コカドリーユとも 一瞬、目が合いそうになったし……

 腰のマジックバックに、魔牛を収納する。

 よしっ 次!

 今度こそ、よく考えてマークにほめてもらうぞ!

 先へと走って進む。

 チェリー がまた、一頭の魔牛を見つけてくれた。

「マーク! また 魔牛だよ」

「おう! いくぞっ」

 今回も、茶色の大きなかたまりみたい!

 無言で近づき、魔剣を構えて魔牛に向けると……

 キランッ

 えっ!

 魔剣が太陽?の光に反射して魔牛に気づかれたっ!


 ウッモーーオッ!!


 ギロッと睨んで、突進してくる。


「ギィャーッ! カミナリー! ヒィー!」

「パール! 落ちつくんだー!」


 ビカーーッ!!  ドカッ!


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