迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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167. テントにもマジックバック?

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 ピカーーッ!! ドカッ!

「パール!! 大丈夫だっ! 落ち着け!」

「マーク……魔牛は?」

「ああ、倒したぞっ! おどろいただろう……よくやったな」

 ビックリしたー!
 こんなこともあるんだ……
 まさか魔剣が光るなんて……
 魔牛は、サッサッと腰のマジックバックへ収納しておく。

「冒険をしていたら、いろんなことがある。逃げ道は、どんなときでも確保しておくことが大切だ。先に目で確認しておくだけでも、とっさのときの一歩が違ってくるだろう? それを癖づけるんだ。良い経験になったなっ」

「怖い経験だよ……」

「ハッハッハッ! おれがいたんだ、大丈夫だぞっ!」

 思っていた以上に大きな茶色いかたまりが迫ってきて、ドキッとしたな……

「マーク。コカドリーユのときも、今回の魔牛もだけど、魔物と目が合うんだけど……睨まれる感じが、ドキッとしてイヤだ……」

「まあ、魔物と目が合う不快さは、慣れだな。一瞬ひるんで、からだが止まってしまうと危ないぞ。強い個体ほど、ヤツらはそれをわかっているんだ。そんな目ごときに負けるなよ」

「ハァーっ。やっぱりわたしは、薬草ハンターがいい! 魔物がいたら避けて生き延びるよ」

 マークは笑っていたけど、ちょっと本気で思ってしまった……

 ズンズン走って進んでいく。

 それからもチェリーが何度か、一頭でいる魔牛を教えてくれたので、そのたびに魔牛を倒して進んでいった。

 マークが言うには、ここらへんは魔牛がよくでるところで、もっと西の奥が魔牛より強い魔物のエリアになるそうだ。
  今回はこのままこのエリアを抜けてもう少し涼しい北へ向かい、あとひとつの薬草カタカゴを探す。

 メルの洞窟は入り口を東にして奥へ進み、空が見えて湖がある手前ぐらいから方角がハッキリ決まりだす。 

 そのまま真っ直ぐに進めば湖のある西に。
 右に進めば北に。 
 左に進めば南に。 

 北は涼しく南は暑い。
 奥にいくほどそれが厳しくなっていき、魔物も強いモノや珍しいモノが多くなる。
 西は比較的過ごしやすく、冒険も楽だけど湖が大きくあるから、北か南のどちらかから回り込んでいかないとその先には進めない。

 冒険者は魔物の少ない湖で行き先を確認し、からだを休めてまた行動する。

 わたしたちもまた、湖近くまで戻ってきた。
 場所は泳いだ場所の反対側の岸になるけど、今日はここらでテントを張るのかな?

 マークが教えてくれる。

「このポイントはおれたちのように、冒険する方角を変えた冒険者たちが一度休憩のために集まってくるところなんだ。だからおれたちは、もう少し離れたところのほうが良いだろう」

 へーっ? たしかに、わたしたちもここへ着いたしね……

 もう少し今度は北へ進んで、テントを張ることにした。

 今日もたくさん走ったので、先にお風呂へ入ってから夕食にする。

 もう慣れたもので、リビングではマークが向こうのスリッパを履いて、ひとり寛いでいた。

 わたしもお気に入りのスリッパを履き、アラクネの簡単なワンピースを着てリビングへ。

「お待たせマーク! お腹すいたでしょ?」

「んっ、大丈夫だぞ。それより、その服はなんだ? もらった物か? アラクネだな」

「そう、スベスベして気持ちいいんだ!」

「ハァー。そんなにアラクネが気に入っているのか? そらぁ、ライさんのところを出たがるはずだな……」

「ホント、夜だけなんだよ! ライの部屋にテントを張りたいよ!」

「モナルダのところでは、そうしているらしいな」

「うん、それが一番楽だからね」

 呆れたのか、マークが顔を横に振っていた。

 ダイニングテーブルで、夕食を食べる。

 料理長の料理を出していく。
 マークが飲み物に、リビングの水瓶の魔法水を置いてほしいと伝えてきた。
 たしかに、お水はいつでも飲みたいよね。
 納得してリビングと同じモノを一つ、ダイニングテーブルにも常備しておくことにした。
 
 今日は、エビビとポタテのバターソテー。
 これはウコッコの香草焼き揚げかな?
 あとキャベツとリンゴの酢漬け?
 パンはハードタイプの薄切りにバター付き。
 ハチミツが小さなかわいい花の形をしたポットの入れ物にたっぷり入っていた。
 アッ、リンゴのパイがあったよ!
 オレンジも付けよう!
 
「マーク、これで足りる? お肉はもう少し、いるかな?」

「肉はもういいから、チーズとワインかな?」

「また、飲むの? 全部はダメだよ!」

「ああ、大丈夫だ!」

 何が、大丈夫なんだろう?
 まあ、このワインはおいしいらしいから……ね。
 冒険のあいだぐらい、しょうがないか。
 ライたちも、毎日飲んでいたし……
 途中で水瓶の魔法水をいっぱい飲んでもらおう。
 わたしはリンゴ果汁で乾杯する。

「うまいっ! このワインはホント最高だな! それにトムさんの料理もうまいけど、料理長の料理は材料から最高の物で作っているからか? 格段にうまいな!」

「うん。わたしもそう思う! トムさんの料理もすごくおいしいけど、使っている材料が全部ライのところは別格! 違うんだよ。このリンゴ果汁も最高だし、きっと全部吟味して買うところも決まっているんだろうね?」

「ああ、そうだと思うぞ。 トムさんもこの頃そうしだしてなっ。トーマスと、食材リストを作っていたよ」

「うわーっ!? なんだかすごい食堂になりそう?」


 楽しく話して食べていても、リンゴのパイが余ってしまった。
 
「あーっ、このパイはもう食べられない! お腹がいっぱいだよ。もっと食べたいのに!」

「気持ちはわかるぞ。このワインもそうだからな! パールに取り上げられてしまう前に、どこかにパイと一緒に隠くしてしまおうか? ハッハハ!」

「えーっ、どこに隠す気? プッフ。お好きにどうぞ!  時間停止じゃないと、栓を開けたからおいしさが逃げちゃうよ」

「そうだった。時間停止の隠し場所があればなっ! パールにナイショでまた飲めるんだが。ハッハハ」

「どうぞ、どうぞ! 遠慮しないで隠してください! ププッ」

 そのときテーブルの上がフワッと光って、ワインとリンゴのパイが消えてしまった……


「「えーっ!!」」


「パール! ワインはどこだ!」

「知らないよーぉ! マークでしょ! リンゴのパイも一緒に消えちゃった~っ!」

「思い出せ、なんて言った? おれか? パールか?」

「えっとーぉ? マークが、時間停止の隠し場所があればって、言ったよね?」

「パールは、遠慮しないで隠してくださいって、言ってたぞ?」

「うそ、このテントに時間停止のマジックバックがあるの?」

「よく考えたら調味料だって、もつ期限は普通あるだろう?」

「そうだよ! どこかに、マジックバックがあるのかも?」

 マークと二人で、キッチンやリビングを探してまわる。

 見つからない。
 どこにあるのか分からない……

「でもどうやって、リンゴのパイをだすのかな?」


「あーっ! また、ワインとリンゴのパイがほしいなぁー!!」


 急にマークが、叫ぶようにワインとパイがほしいと言いだした。

 おどろく暇もなく、ダイニングテーブルがフワッと光って、ワインとリンゴのパイが現れる……


「「ここだっ!!」」

 


 
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