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5話・ルーンメイズのリーダー美空圭司
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ルーンメイズのリーダー・美空圭司は渋谷区役所を拠点にして、ルーンメイズを結成したようだ。出会った時は邪魔するなら殺そうと思っていたが、この連中は人を殺す覚悟も有り面白い連中だと思ったから話し合いに応じた。
リーダーである美空も、すでに悪魔を殺していて中年男性だが俺も気兼ねなく話せる相手だと思った。
美空の話によると、ルーンメイズとは悪魔と戦う為に結成されたいわゆる自警集団だ。実際、悪魔との戦闘もしていて拳銃や鉄パイプなどで殺した実績のある人間が幹部をしているようだ。
昨日の夕方に山手線殺しがあり、この異空間のように閉鎖された山手線内部の悪魔東京に街が変貌してから、たった一日でもう組織が出来上がっているのには感心した。悪魔を対峙するという気概もあるのが良い。
美空リーダーを始め、ルーンメイズは元々は警察関係者が多く、各地の警察署から武器を集めているようだ。その間、多数の警察関係者も悪魔に殺されてしまい、街は自分自身の身は自分で守る状況になっているらしい。この辺は突然巻き込まれた以上、警察の責任でも誰の責任でも無い。
全ては悪魔王・ゼロノスの責任だ。
数多の人間を殺していたヒヒーンを殺した俺を美空達は凄いと言いつつ、俺達も負けないと言っている。その俺は、渋谷区役所の一室で話していた。
「……だいたいの状況はわかったか夜野?」
「あぁ、問題無い。ルーンメイズの事も分かったし、この渋谷区役所の設備も分かった。だが、もう各地の警察署へは行けないのか?」
「各地の警察署はまず、悪魔が襲ってしまったから無理なんだ。すでに破壊されてるか、悪魔が占拠している。渋谷警察署も武器は回収出来たがもう崩壊してるんだ」
「そうか。なら、まず山手線殺しからの流れの確認と、これを起こした悪魔王ゼロノスの話の確認だな」
そして、美空と山手線殺しから、悪魔東京へ変貌した流れを確認した。
山手線殺しとは、悪魔王ゼロノスが引き起こした山手線が永遠に回り続ける現象。この現象から全ては始まり、そこから現世と隔絶された悪魔東京が生まれた。そこは、山手線沿線を丸く切り取ったような世界に変貌していたんだ。
そこは悪魔が跋扈する世界であり、周囲には見えない壁がある。勿論、現実世界である外には出られない。電気や水は供給されているが、食料などはいずれ底をつくのは確実だ。
悪魔王ゼロノスの目的は、この悪魔東京の中央にあるタワーのデビルスターツリーを使い、悪魔東京の隔絶を排して現世を支配する事だ。
その為に、今も魔力を高める為に山手線は永遠に回り続ける。それを止められない人間達は、悪魔の出現に戸惑い、悪魔から逃げ、悪魔から隠れ、悪魔と殺しあっていた。
悪魔は鈍器や拳銃などの実弾で悪魔を殺す事が可能だったのである。
いずれ、現世へも侵攻するゼロノスには信仰者が生まれているようだ。ゼロノスの本拠地である東京の人間達はゼロノスを神として崇めている。洗脳では無く、自分からゼロノスを認める集団らしい。
その名をゼロノス聖協会せいきょうかい。
それに反発する人間達は、その人間を含めた悪魔狩りを行い出した。それを管轄するのが警察出身者が多いルーンメイズだった。
そして、現在の悪魔東京の総人口の話になる。
それはゼロノスの言い分だと五万人ほどらしい。
その一万近くはゼロノス聖協会。
他は今でも悪魔に殺されているから、実際は三万もいないかもしれない。ほとんどの人間はデビルスターツリーの生贄になったようだ。
そうして、美空は眉間にシワを寄せながら悪魔東京の情報を開示した。
「……これが、今の悪魔東京の全ての情報だ。ゼロノスのいる東京はゼロノスを信仰するゼロノス聖協会がいる。その反対勢力が我々ルーンメイズ。この戦いを終わらせる為、夜野にも協力して欲しい。あくまで、協力者としてでいい」
「協力者としてならいい。俺の目的はまず山手線殺しを計画した悪魔王ゼロノスを倒す。目的が一緒なら協力は出来る。よろしく頼むよ美空リーダー」
「ありがとう夜野」
差し出された手を握り返した。
美空の内心は、俺という危険分子をルーンメイズに入れるわけにもいかず、だが放っておくのも危険。だから協力者として監視するのが一番と判断したんだろう。もしかすると、俺が殺した人間達をけしかけた可能性もある。
(それはもう、どうでもいい。俺は俺の人生を送れる日々が楽しみだ)
そうして、俺は区役所の個室に通された。ワンルームぐらいの備品倉庫だが、どこかから運ばれたマットレスもあり、毛布もある。
「妹の許可は取ってあるからここを使ってくれ。妹がテレビやらシャワーやら増設してるから快適だと思う。妹も紹介したいが、どこに行ったかわからないから後でな」
「あぁ、問題無い」
美空から一つの部屋を与えられた。簡易ベッドに座る俺はヒラヒラと舞う悪魔のミミを気にせず呟いていた。
「これを待っていた」
このルーンメイズの連中の拠点を利用して、東京駅にいるゼロノスの城へ進行する事にした。
※
そうして、俺は呆気なく悪魔東京での寝床を確保して、ルーンメイズの施設で休む事になった。
本来なら幹部以外は渋谷区役所内の空いている場所で地べたに寝るのが当たり前だ。区役所はホテルじゃないから、休めるスペースは無い。まぁ、この悪魔東京に休める場所を求めるのも難しいが。
与えられた部屋には、テレビも有り無理矢理作った簡易シャワーもある。さっき来たばかりの人間に対して。至れり尽くせりの状態だ。これはルーンメイズの連中が俺の力を認めているという事。そして、それを利用しようという事だ。
「色々考えてしまうが、今は休むか……」
とりあえず、俺はベッドで身体を休める事にした。
左目の悪魔レーダーの魔レンズや悪魔の力は魔力を消費するから、精神的疲弊が大きい。つまり、睡眠しないと魔力が回復しないんだ。
しかし、寝付けない俺はポップコーンを食べつつ、コーラを飲んで古いSF映画を見ていた。テレビは電波受信は不可能だが、映像ソフトがあれば見られる。今見てるのは有名な七つの大罪に絡めた世界破滅ストーリーだ。
今の気分と、この世界にはピッタリのストーリーだ。一昨日までの現代は一度レールから外れた人間には厳しい世界だ。
俺も中学生時代に親戚の家から家出をした事がある。一週間ほどの家出で、森の中でキャンプのような生活をしていた。
「自由」に憧れての突発的な行動だ。
森の中で火を使っていたので、付近の住民に通報されて俺の一週間の旅は呆気なく終わった。
それもあってか、高校推薦は全て白紙になった。けど、その一週間の体験は貴重な体験だった。微かだが、この世にいないはずの「悪魔」が見えるようになったんだ。
話せないし、触れられない。だが、確実に存在する事は分かった。
ここから世界が変革すると思い生活していたが、ようやく俺の望む時代が来たようだ。
今までのルールは全て壊れる。
金も地位も権力も無になった。
必要なのは「個」の力。
神や王と言った個の力を持つ者が、歪んでいる存在こそが楽しめる自由な世界になったんだ。素晴らしい世界に――。
そして、今更ながら家出をした時にゼロノスの幻影と出会った時の事を思い出していた。
「悪魔の存在を希望と憎悪で混ぜ合わせつつ、強く望め。さすれば悪魔は現出する。少年、魂をより混沌にして生きよ……」
その言葉を希望にして、俺はここまで生きた。
そして、それは現実になっている。
悪魔王ゼロノスは最高の言葉を教えてくれた。
それはゼロノスを殺す言葉で応える。
悪魔神罰として、共感不要の革命者として。
「……ん?」
映画を見たまま、俺は寝てしまっていたようだ。ふと目覚めると、茶髪の少女が俺の眉間に銃口を突きつけていた。
リーダーである美空も、すでに悪魔を殺していて中年男性だが俺も気兼ねなく話せる相手だと思った。
美空の話によると、ルーンメイズとは悪魔と戦う為に結成されたいわゆる自警集団だ。実際、悪魔との戦闘もしていて拳銃や鉄パイプなどで殺した実績のある人間が幹部をしているようだ。
昨日の夕方に山手線殺しがあり、この異空間のように閉鎖された山手線内部の悪魔東京に街が変貌してから、たった一日でもう組織が出来上がっているのには感心した。悪魔を対峙するという気概もあるのが良い。
美空リーダーを始め、ルーンメイズは元々は警察関係者が多く、各地の警察署から武器を集めているようだ。その間、多数の警察関係者も悪魔に殺されてしまい、街は自分自身の身は自分で守る状況になっているらしい。この辺は突然巻き込まれた以上、警察の責任でも誰の責任でも無い。
全ては悪魔王・ゼロノスの責任だ。
数多の人間を殺していたヒヒーンを殺した俺を美空達は凄いと言いつつ、俺達も負けないと言っている。その俺は、渋谷区役所の一室で話していた。
「……だいたいの状況はわかったか夜野?」
「あぁ、問題無い。ルーンメイズの事も分かったし、この渋谷区役所の設備も分かった。だが、もう各地の警察署へは行けないのか?」
「各地の警察署はまず、悪魔が襲ってしまったから無理なんだ。すでに破壊されてるか、悪魔が占拠している。渋谷警察署も武器は回収出来たがもう崩壊してるんだ」
「そうか。なら、まず山手線殺しからの流れの確認と、これを起こした悪魔王ゼロノスの話の確認だな」
そして、美空と山手線殺しから、悪魔東京へ変貌した流れを確認した。
山手線殺しとは、悪魔王ゼロノスが引き起こした山手線が永遠に回り続ける現象。この現象から全ては始まり、そこから現世と隔絶された悪魔東京が生まれた。そこは、山手線沿線を丸く切り取ったような世界に変貌していたんだ。
そこは悪魔が跋扈する世界であり、周囲には見えない壁がある。勿論、現実世界である外には出られない。電気や水は供給されているが、食料などはいずれ底をつくのは確実だ。
悪魔王ゼロノスの目的は、この悪魔東京の中央にあるタワーのデビルスターツリーを使い、悪魔東京の隔絶を排して現世を支配する事だ。
その為に、今も魔力を高める為に山手線は永遠に回り続ける。それを止められない人間達は、悪魔の出現に戸惑い、悪魔から逃げ、悪魔から隠れ、悪魔と殺しあっていた。
悪魔は鈍器や拳銃などの実弾で悪魔を殺す事が可能だったのである。
いずれ、現世へも侵攻するゼロノスには信仰者が生まれているようだ。ゼロノスの本拠地である東京の人間達はゼロノスを神として崇めている。洗脳では無く、自分からゼロノスを認める集団らしい。
その名をゼロノス聖協会せいきょうかい。
それに反発する人間達は、その人間を含めた悪魔狩りを行い出した。それを管轄するのが警察出身者が多いルーンメイズだった。
そして、現在の悪魔東京の総人口の話になる。
それはゼロノスの言い分だと五万人ほどらしい。
その一万近くはゼロノス聖協会。
他は今でも悪魔に殺されているから、実際は三万もいないかもしれない。ほとんどの人間はデビルスターツリーの生贄になったようだ。
そうして、美空は眉間にシワを寄せながら悪魔東京の情報を開示した。
「……これが、今の悪魔東京の全ての情報だ。ゼロノスのいる東京はゼロノスを信仰するゼロノス聖協会がいる。その反対勢力が我々ルーンメイズ。この戦いを終わらせる為、夜野にも協力して欲しい。あくまで、協力者としてでいい」
「協力者としてならいい。俺の目的はまず山手線殺しを計画した悪魔王ゼロノスを倒す。目的が一緒なら協力は出来る。よろしく頼むよ美空リーダー」
「ありがとう夜野」
差し出された手を握り返した。
美空の内心は、俺という危険分子をルーンメイズに入れるわけにもいかず、だが放っておくのも危険。だから協力者として監視するのが一番と判断したんだろう。もしかすると、俺が殺した人間達をけしかけた可能性もある。
(それはもう、どうでもいい。俺は俺の人生を送れる日々が楽しみだ)
そうして、俺は区役所の個室に通された。ワンルームぐらいの備品倉庫だが、どこかから運ばれたマットレスもあり、毛布もある。
「妹の許可は取ってあるからここを使ってくれ。妹がテレビやらシャワーやら増設してるから快適だと思う。妹も紹介したいが、どこに行ったかわからないから後でな」
「あぁ、問題無い」
美空から一つの部屋を与えられた。簡易ベッドに座る俺はヒラヒラと舞う悪魔のミミを気にせず呟いていた。
「これを待っていた」
このルーンメイズの連中の拠点を利用して、東京駅にいるゼロノスの城へ進行する事にした。
※
そうして、俺は呆気なく悪魔東京での寝床を確保して、ルーンメイズの施設で休む事になった。
本来なら幹部以外は渋谷区役所内の空いている場所で地べたに寝るのが当たり前だ。区役所はホテルじゃないから、休めるスペースは無い。まぁ、この悪魔東京に休める場所を求めるのも難しいが。
与えられた部屋には、テレビも有り無理矢理作った簡易シャワーもある。さっき来たばかりの人間に対して。至れり尽くせりの状態だ。これはルーンメイズの連中が俺の力を認めているという事。そして、それを利用しようという事だ。
「色々考えてしまうが、今は休むか……」
とりあえず、俺はベッドで身体を休める事にした。
左目の悪魔レーダーの魔レンズや悪魔の力は魔力を消費するから、精神的疲弊が大きい。つまり、睡眠しないと魔力が回復しないんだ。
しかし、寝付けない俺はポップコーンを食べつつ、コーラを飲んで古いSF映画を見ていた。テレビは電波受信は不可能だが、映像ソフトがあれば見られる。今見てるのは有名な七つの大罪に絡めた世界破滅ストーリーだ。
今の気分と、この世界にはピッタリのストーリーだ。一昨日までの現代は一度レールから外れた人間には厳しい世界だ。
俺も中学生時代に親戚の家から家出をした事がある。一週間ほどの家出で、森の中でキャンプのような生活をしていた。
「自由」に憧れての突発的な行動だ。
森の中で火を使っていたので、付近の住民に通報されて俺の一週間の旅は呆気なく終わった。
それもあってか、高校推薦は全て白紙になった。けど、その一週間の体験は貴重な体験だった。微かだが、この世にいないはずの「悪魔」が見えるようになったんだ。
話せないし、触れられない。だが、確実に存在する事は分かった。
ここから世界が変革すると思い生活していたが、ようやく俺の望む時代が来たようだ。
今までのルールは全て壊れる。
金も地位も権力も無になった。
必要なのは「個」の力。
神や王と言った個の力を持つ者が、歪んでいる存在こそが楽しめる自由な世界になったんだ。素晴らしい世界に――。
そして、今更ながら家出をした時にゼロノスの幻影と出会った時の事を思い出していた。
「悪魔の存在を希望と憎悪で混ぜ合わせつつ、強く望め。さすれば悪魔は現出する。少年、魂をより混沌にして生きよ……」
その言葉を希望にして、俺はここまで生きた。
そして、それは現実になっている。
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