グレイ-恋と性欲と愛の区別はつかない-

鬼京雅

文字の大きさ
4 / 38

4話・風紀委員会の風祭朱音

しおりを挟む
 誠高校での二学期が始まった――。

 夏休みの終わりに、中学生時代の彼女であった西村唯と出会ってしまった。しかも、唯は俺が通う誠高校に二学期から転校してくる予定だ。高校に入ってから中学時代の連中とは関わり合いが無かったが、とうとう俺の過去を知る人間が……しかも、元カノが現れてしまった。

 そんな出来事もあり、同じグレイ仲間の勇にも話すと、過去が未来に牙を剥きに来たと言われた。それをされても嫌だから、今日は早めに登校している。すると、誠高校の入口ではえらく気合の入った白い鉢巻をした集団がいた。

(出た! 風紀委員会……。噂に聞く二学期初日の名物か。夏休み明けのデスモーニングとも呼ばれたっけ?)

 夏休み明けは、髪を染めたりピアスをしたり何かしら派手になってる人間が多い。だから、風紀にウルサイ誠高校は二学期初日だけでなく、時折校門に風紀委員会がいる。
 全員が鉢巻をしていて、一年のショートカットの女は竹刀まで持っている。

(風祭の奴……相変わらずの気合いだな。つか、風紀で竹刀とか昔のマンガかよ)

 風祭朱音かざまつりあかねは風紀委員会の一年だ。髪型は黒のショートカットで、スレンダー体型。空手をやってるらしくて、かなりの強さらしい。いわゆる昔のスポ根女だ。
 これだけならいいが、運悪く風祭は同じマンションに住んでいて、学校外でも気合いを入れろ! と絡んで来るのが面倒だ。帽子を買って外ではバレないように行動したら、すぐにバレたのは苦い思い出だ。

 そうして、校門でその風祭朱音と出会う。

「おはよう風祭。俺は問題無いだろ? じゃあな」

「おはよう赤井。そして、待て赤井。チェックは私だけでなく、風紀委員会全てでする。同じマンションに住んでいるからと言って、甘くは出来ないぞ。気合を入れろ」

(身だしなみチェックでどう気合いを入れろっつーんだよ!)

 風祭は一年のくせに風紀委員会で、上級生も平然と取り締まる女だ。この学校の風紀委員会は、上級生であろうと関係無く指導するから面倒だ。
 俺は髪とか染めて無いし、ロン毛でも無いので問題無いから早く校舎に入りたいと思っていると、何故か明るい顔になる風祭は言う。

「おい、夏休みはどうだったんだ赤井?」

「どうもこうも無い。風祭も俺のバイトしてるマコトプールに短期で監視員のバイトしに来てただろ? 基本的にバイト生活だよ。こいつは俺のストーカーか? とも思ったぞ。冗談だけどな」

「ストーカー!? ……確かにそうだったな。お前とは色々話していたが、それから連絡してなかったからな。赤井は気合いがもっとあるはずなんだからシャキッとしろよ」

「俺の気合いは通常営業。これ以上は無い」

 昔の俺なら喧嘩してたから気合いがあったが、今のグレイを演じている俺は気合いは出さない。この高校生活は問題を起こさず過ごすつもりだからな。

 何か知らないが、風祭は風紀委員会の仕事の延長なのか夏休みプールの短期監視員のバイトをしていた。同じ学校で、しかも風紀委員会の女というのがハッキリ言って嫌だった。
 水着が嫌いなのか、常にスクール水着の上にウインドブレーカーを着ていたな。この誠高校はプールが無いから風祭の水着姿は俺の中ではウインドブレーカーだ。

 根は悪くは無いが、すぐに気合いを入れろとウルサイから面倒なんだ。お前は一人で風紀のオリンピックでも目指してろ! とイラついた記憶もある。
 気合いが空回りしてる所もあるが、一応悪い女ではない。他の生徒達も多く登校し出していて、他の風紀委員会はそっちを優先した。
 風祭はようやく俺を解放してくれるようだ。

「……まぁ、いい。人との繋がりは大事だ。赤井はそこを改善した方がいいぞ」

「夏休みに見たと思うけど、マコトプールで人と繋がってるから。風祭も同じマンションだからって、わざわざ気にかけなくていいぞ」

 すると、やけに女の顔で風祭は俺を見つめていた。まさか、風祭に女を感じるとは思わなかったから少し驚いた。しかし、持っていた竹刀を地面に叩きつけて話し出す。

「……夏休み明けの赤井は少し元気が無いのが心配だっただけだ。ちゃんと食べてるのか?」

「食べてますよ。私をね」

『!?』

 とうとう、学校で西村唯と出会ってしまった。二学期の初日はわざわざ早めに登校したのに、タイミングが悪かったのか唯と遭遇した。派手な化粧に金髪に大きなイヤリング。どう考えても、風紀委員会から逃れられる術は無い。

『……』

 唯は明らかに風祭を挑発していた。
 水と油の両者は睨み合う。
 二学期の初日から、最悪な出来事に巻き込まれていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...