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一話・レディインフルエンザ
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濃厚なキスは死から離れられる唯一の手段だ。
『んっ……』
目をつぶる美少女と俺は唇と唇の粘膜的接触をし、舌先を絡め合う。こんなにねっとりとしたキスは恋人としか出来ないだろうな。けど、俺の恋人ではない彼女は売れっ子アイドルグループの一人で、向こうは俺の顔を見るのは許されない。
互いの関係は今しているキスが終われば終わる。
『はぁ……』
舌が離れ唇も離れ、彼女の唾液だけが俺の唇に残った。目を閉じたままの美少女は後ろを向かされ、この部屋を出る。
「今日最後のキスは終わりか。お疲れさん俺」
と、自分を自分で褒めてやる。
このキスは仕事だ。
俺のキスは全ての女を救う為の仕事だった。
交通事故にあってから、俺の人生は完璧になった――。
そう、中学三年生の夏に車に轢かれた事故により、雨春一彦である俺は三ヶ月間意識不明の重体だった。勿論、高校受験なんて受けるのも無理な状態だ。
そんな事があったけど、俺は県内でもトップの進学校にいる。
高校受験をしてないにも関わらずだ。
ハッキリ言って俺は勉強もスポーツもさほどに出来る訳じゃない。頑張っても上位には決していけない。顔も女にモテる訳ではないし、女にマメな性格でもない。
だけど、俺は今をときめく女優、アイドル、モデル――全ての女とキスが出来る権利がある。
そんなこんなで、色々な女とキスをした高校一年の夏休みが明け、二学期の学校だ。学業の後は、近場や遠くの病院の個室で誰かとキスをしないとならない。美人や美少女とはいえ、毎日こんな事をするのは結構苦行だ。
「俺の人生はある意味バラ色だが、ある意味灰色だぜ」
と、雲一つ無い青空が見える学校の屋上で呟いていた。昼飯のサンドイッチを食いつつ、近くにいる友達の茶色いマッシュヘアをした蒼井悠斗に声をかけた。
「そういや夏休み明けのテストの結果はまた、満点評価だとよ。事故に遭ってから最高の世の中だな」
「言う割には冷めてるね。何で満点なのがいけないんだい?」
「白紙でも満点な所が、さ」
俺はテストも適当にマークシートを書いても、確実に満点の点数が出る。マークシートが白紙のままでもだ。事故に遭って見知らぬ他人の心臓を移植したとは言え、今起こっている事態を飲み込めていない。
濃厚なパック型のトマトジュースを飲んでいる悠斗は、俺の隣に移動して来て言う。
「夏休みに女優、アイドル、モデルのどれかとセックスした?」
「してねー。つか、キスまでが限界だ。向こうはセックスを求めていても、国はそれを許さないようだ。女を生かす俺の遺伝子はまだ完全に解明されてないようだからな」
「なるほど。女を選べるのに生殺しだね」
「しようと思えば、いくらでも出来るけどな。俺はこの世の美人、美少女達を選べる権利がある。向こうは妊娠しても、生でセックスしてもらうのが好ましいと思ってるから、その気持ちを利用すればいいだけさ。でも国は俺を監視してるからな。気軽にセックスなんて出来ないんだよ」
そう、今の俺は国に監視される少年だ。
ある程度の悪い事をしても許される存在。
その理由は、俺が死にゆく女を救える存在だから。
事故に遭って誰かの心臓移植をして、その影響からか遺伝子的にも特別な人間になったようだ。そして、近年流行りのインフルエンザような症状に対するカウンターとして国に認められている。
その病名は「レディインフルエンザ」
『んっ……』
目をつぶる美少女と俺は唇と唇の粘膜的接触をし、舌先を絡め合う。こんなにねっとりとしたキスは恋人としか出来ないだろうな。けど、俺の恋人ではない彼女は売れっ子アイドルグループの一人で、向こうは俺の顔を見るのは許されない。
互いの関係は今しているキスが終われば終わる。
『はぁ……』
舌が離れ唇も離れ、彼女の唾液だけが俺の唇に残った。目を閉じたままの美少女は後ろを向かされ、この部屋を出る。
「今日最後のキスは終わりか。お疲れさん俺」
と、自分を自分で褒めてやる。
このキスは仕事だ。
俺のキスは全ての女を救う為の仕事だった。
交通事故にあってから、俺の人生は完璧になった――。
そう、中学三年生の夏に車に轢かれた事故により、雨春一彦である俺は三ヶ月間意識不明の重体だった。勿論、高校受験なんて受けるのも無理な状態だ。
そんな事があったけど、俺は県内でもトップの進学校にいる。
高校受験をしてないにも関わらずだ。
ハッキリ言って俺は勉強もスポーツもさほどに出来る訳じゃない。頑張っても上位には決していけない。顔も女にモテる訳ではないし、女にマメな性格でもない。
だけど、俺は今をときめく女優、アイドル、モデル――全ての女とキスが出来る権利がある。
そんなこんなで、色々な女とキスをした高校一年の夏休みが明け、二学期の学校だ。学業の後は、近場や遠くの病院の個室で誰かとキスをしないとならない。美人や美少女とはいえ、毎日こんな事をするのは結構苦行だ。
「俺の人生はある意味バラ色だが、ある意味灰色だぜ」
と、雲一つ無い青空が見える学校の屋上で呟いていた。昼飯のサンドイッチを食いつつ、近くにいる友達の茶色いマッシュヘアをした蒼井悠斗に声をかけた。
「そういや夏休み明けのテストの結果はまた、満点評価だとよ。事故に遭ってから最高の世の中だな」
「言う割には冷めてるね。何で満点なのがいけないんだい?」
「白紙でも満点な所が、さ」
俺はテストも適当にマークシートを書いても、確実に満点の点数が出る。マークシートが白紙のままでもだ。事故に遭って見知らぬ他人の心臓を移植したとは言え、今起こっている事態を飲み込めていない。
濃厚なパック型のトマトジュースを飲んでいる悠斗は、俺の隣に移動して来て言う。
「夏休みに女優、アイドル、モデルのどれかとセックスした?」
「してねー。つか、キスまでが限界だ。向こうはセックスを求めていても、国はそれを許さないようだ。女を生かす俺の遺伝子はまだ完全に解明されてないようだからな」
「なるほど。女を選べるのに生殺しだね」
「しようと思えば、いくらでも出来るけどな。俺はこの世の美人、美少女達を選べる権利がある。向こうは妊娠しても、生でセックスしてもらうのが好ましいと思ってるから、その気持ちを利用すればいいだけさ。でも国は俺を監視してるからな。気軽にセックスなんて出来ないんだよ」
そう、今の俺は国に監視される少年だ。
ある程度の悪い事をしても許される存在。
その理由は、俺が死にゆく女を救える存在だから。
事故に遭って誰かの心臓移植をして、その影響からか遺伝子的にも特別な人間になったようだ。そして、近年流行りのインフルエンザような症状に対するカウンターとして国に認められている。
その病名は「レディインフルエンザ」
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