女の子同士で気持ちよくなっちゃった私達…

SenY

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本編

第十二章:マット上の熱帯夜、あるいは小悪魔の陥落

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 キュッ、キュッ、とレスリングシューズがマットを擦る高い音が、放課後の誰もいない練習場に響いている。
 西日に照らされた体育館の空気は、熱気と、僅かなゴムの臭い、そして使い古されたプロテクターの匂いが混じり合って、独特の重苦しさを帯びていた。

 私、結城楓(ゆうき かえで)。中学二年生。
 私がレスリングを始めたのは、一学年上の姉、凛(りん)の影響だった。姉は中学レスリング界ではちょっとした有名人で、全国大会でも表彰台の常連。そんな姉の背中を追ってこの世界に飛び込んだものの、現実は甘くなかった。私には姉のような体幹の強さも、一瞬の隙を突く爆発的なスピードも備わっていなかったからだ。

 そして、私の前に立ちはだかる最大の壁が、目の前で不敵な笑みを浮かべている一学年下の後輩――瀬戸小波(せと こなみ)だった。

「どうしたんですかぁ? カエデ先輩。もうおしまいですかぁ? ざぁーこ♥ よわよわぁ♥」

 小波は、乱れたショートボブの隙間から、勝ち誇ったような瞳を覗かせている。
 彼女は、このクラブでも「将来のオリンピック候補」とまで噂される超天才児だ。芸能界でも通用しそうな整った顔立ちとは裏腹に、そのレスリングスタイルは冷徹で、かつ攻撃的。
 何より、彼女は自分の才能を自覚しきっている、典型的な小悪魔系「メスガキ」だった。

「はぁ……はぁ……まだ、終わって、ないわよ……っ!」

 私は、汗で張り付いたシングレット(レスリングウェア)の不快感も忘れ、再び構えをとる。
 小波は、私の動きを小馬鹿にするように、ヒラヒラと手を振って挑発してきた。

「先輩、センスないんだから諦めればいいのに。凛先輩の妹っていうだけで、期待されちゃって可哀想。……ほら、また転ばせてあげますから♥」

 シュッ、と小波が踏み込んでくる。
 目にも留まらぬ速さの片足タックル。いつもなら、ここで私の身体は宙を舞い、マットに叩きつけられて、なす術もなくフォールされるのがお決まりのパターンだった。

 でも、今日は違った。
 数ヶ月間、小波にボコボコにされ続け、彼女の「癖」が私の身体に染み付いていたのだ。
 タックルに入る直前、彼女は必ず左肩を僅かに下げる。

「そこっ……!」

 私は腰を落とし、彼女の突進を受け止めると同時に、全体重を預けて浴びせ倒した。
 ドサッ! という重たい衝撃音。

「えっ……!? あ、嘘っ……!」

 小波の驚愕の表情。私は彼女の腕を巻き込み、首を固めて、そのまま全力で仰向けに抑え込んだ。
 バックを取り、身体を密着させ、一点の隙もなく体重を乗せる。
 小波の細い身体が、私の下で必死に暴れる。

「はなっ、離してっ! ズルいですよ先輩っ!」
「レスリングにズルいも何もないわよっ! はぁ、はぁ……これで……っ、終わりッ!!」

 審判などいないけれど、私の心の中ではっきりとカウントが鳴り響いた。
 ワン。ツー。スリー。
 フォール。私の、数カ月ぶりの、そして初めての「完璧な勝利」だった。

 ***

 勝利の余韻に浸りながらも、私は小波を抑え込んだまま、しばらく動けなかった。
 お互いに激しい呼吸を繰り返し、肺が焼けるように熱い。
 そして、ふと気付いた。
 シングレット一枚を隔てて、小波の柔らかい肢体が、私の身体にこれ以上ないほど密着していることに。

 汗で濡れた肌。高鳴る心臓。
 彼女の細い首筋からは、石鹸の香りと、少女特有の甘酸っぱい匂いが立ち上っていた。

「……こな、み……?」

 私が呼びかけると、小波は暴れるのをやめ、顔を真っ赤にして私を見上げていた。
 先ほどまでの生意気な面影はない。その瞳には、敗北の屈辱と……それ以上に、得体の知れない熱が宿っていた。

「……先輩。……重いです」
「あ、ごめん……っ」

 慌てて退こうとした私を、なぜか小波の腕が引き留めた。
 彼女の手が、私の背中に回され、シングレット越しにギュッと握られる。

「……負けちゃった。天才の私、カエデ先輩みたいな『ざぁこ♥』に負けちゃった……」

 自嘲気味に呟く小波。でも、その声は震えていて、どこか甘えていた。
 彼女の指が、私の背中の筋肉をなぞるように動く。
 ゾワッ♥ 
 背筋に走る、レスリングの時とは全く違う種類の戦慄。

「ねえ、先輩。……私のこと、ずっと見てたんですよね。研究、してたんでしょ?」
「それは、まあ……勝ちたかったから」
「ふふ。……執着されてるみたいで、悪い気分じゃないかも」

 小波が、私の耳元に顔を寄せた。
 熱い吐息が、敏感な耳朶をかすめる。

「んっ……ぁ♥」

 思わず漏れた声。
 それまで「メスガキ」だったはずの小波が、急に妖艶な「女」の顔を見せた。
 彼女は私のシングレットの肩紐に指をかけ、ゆっくりとずらしていく。

「先輩の身体……レスリングの練習のせいか、すっごく硬くなってて……でも、ここ、柔らかいですね」

 小波の手が、私の胸元に忍び込んでくる。
 ドクンッ♥
 心臓が爆発しそうだった。女の子同士。ここは学校の練習場。
 でも、彼女の指先のテクニックは、レスリングと同じように「天才的」だった。

「ひゃうっ!?♥ こな、み……っ、何して……っ」
「お返しですよ。私を負かした、悪い先輩へのお仕置きです♥」

 小波が私のバストトップを、指の腹でコリコリと弄り始める。
 ビクッ♥ ビクビクッ♥
 シングレットの摩擦と、彼女の指の刺激。
 今まで知らなかった快感が、脳天まで突き抜けていく。
 男の人に触れられたことなんてないけれど、女の子の指がこんなに柔らかくて、こんなにピンポイントで「そこ」を突いてくるなんて知らなかった。

「あっ、あぁっ……こなみっ、それ、ダメっ……♥」
「ダメなんですかぁ? 声、すっごいエロいですよ♥ いつも『よわよわぁ♥』とか言われてる時の先輩とは別人のみたい」

 小波は私の首筋に吸い付き、チュゥッ♥ と可愛らしい水音を立てた。
 キスマークが刻まれる感覚。
 私は彼女を突き放すどころか、無意識に彼女の腰を自分の股間に押し付けていた。
 
「んんっ……♥ こなみの、身体も……熱い……っ」
「当たり前ですよ。……ねえ、もっと、気持ちよくなりたいですよね?」

 小波がニヤリと笑い、私の足を自分の足で絡めとった。
 レスリングの技の一つ「4の字固め」に似た形。でも、その目的はフォールではない。
 お互いの「そこ」を、強く擦り合わせるため。

 ヌルッ♥ グチュッ……♥

 シングレットを隔てていても分かる。お互いの蜜が溢れ出し、布地をぐっしょりと濡らしているのが。
 摩擦熱が、一番敏感な場所を直接攻撃してくる。

「ああっ、ああっ! すごいっ、これっ、すごいっ……!!♥」
「あははっ♥ 先輩、顔とろけてますよぉ♥ もっと、もっと強く擦りますねっ♥」

 小波は私の腰を掴み、激しく前後させ始めた。
 グチョ、ヌチュ……♥
 卑猥な水音が、静かな練習場に響き渡る。
 もはやこれはレスリングじゃない。お互いの快楽を貪り合う、淫らな格闘(ダンス)だ。

「こなみっ、こなみっ……! あーしっ、くるっ、イッちゃうッ!♥」
「私も……っ! 先輩に負けた分、快感で、お返ししてもらうんだからぁッ!!♥」

 お互いの汗と愛液が混ざり合い、シングレットが肌に吸い付く。
 小波の指が私の中へと、無理やりこじ開けるように侵入してきた。

「んあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!♥♥」

 キュウゥゥゥゥンッ♥
 膣壁が小波の指を強烈に締め付け、私の視界は真っ白に弾けた。
 脳が痺れるような、全身が痺れるようなオーガズム。
 姉の背中を追っていた劣等感も、小波への恐怖心も、すべてが快楽の濁流に押し流されていく。

 ***

 気が付けば、私たちはマットの上でぐったりと横たわっていた。
 天井の蛍光灯が、チカチカと虚しく光っている。

「……はぁ、はぁ……っ。先輩、ひどいですよ。私、初めてだったのに」

 小波が、乱れた髪を整えながら、恨めしそうに、でもどこか満足げに呟く。
 その顔は、もう「メスガキ」ではなく、恋する一人の少女のそれだった。

「……私こそ。……こなみ、レスリング以外も天才なんだね」
「ふふ。……そうですよ? 私、何でもできちゃうんです。……ねえ、先輩」

 小波が私の胸元に顔を埋め、スリスリと甘えるように擦り寄ってくる。

「これからも、練習……付き合ってくださいね。……昼の練習も。夜の、『特別練習』も♥」

 その言葉に、私は顔を火照らせながらも、彼女の頭を優しく撫でた。
 レスリングで負けても、気持ちいいことで勝てばいい。
 いや、そもそも勝ち負けなんて、もうどうでもいいのかもしれない。

「……うん。よろしくね、小波」

 私たちは、汗に濡れたまま、もう一度深いキスを交わした。
 チュプ……ンチュッ……♥

 女の子同士で気持ち良くなっちゃった私達。
 そのマットの熱さは、きっと明日になっても引くことはないだろう。
 レスリングの試合よりもずっと、私たちは深いところで、繋がってしまったのだから。

(第十二章 完)
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