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本編
第十六章:仮面の下の甘い蜜、私の王子様の裏の顔
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シャンデリアの光が反射するグラス、談笑する人々の喧騒、そして鼻につく高級な香水の混じり合った匂い。
都内某一流ホテルのバンケットルームで行われているのは、私が所属する企画部の大規模プロジェクト成功を祝う立食パーティーだ。
本来なら、チームの一員として誇らしい気持ちで乾杯すべき場所。
けれど、今の私――小日向(こひなた)ヒナにとっては、地獄のような針の筵(むしろ)でしかなかった。
「いやあ、今回のプロジェクト、君の頑張りも大きかったって聞いたよぉ? 小日向さん」
「あ、ありがとうございます……専務……」
私の隣にへばりついているのは、主要取引先の専務だ。
酒臭い息を吐きながら、じりじりと距離を詰めてくる。
私は気弱で、NOと言えない性格だ。ましてや相手は、今後の契約を握っている超重要人物。無下にはできない。
それをいいことに、専務の手は私の腰に回り、あろうことかお尻の方へと伸びてきていた。
(いやだ、気持ち悪い……誰か、助けて……)
ヒップラインを撫で回す湿った手の感触に、吐き気が込み上げてくる。
助けを求めるように視線を彷徨わせた、その時だった。
「――そこまでにして頂けませんか。うちの大事な部下が、怖がっています」
凛とした、よく通る低い声。
次の瞬間、専務の手首がガシッ! と掴まれ、あらぬ方向へと捻り上げられた。
「あだだだだッ!? な、何をするッ!」
「セクハラは犯罪です。これ以上、彼女に不快な思いをさせるなら、今後の御社とのお付き合いも考え直させていただきますが?」
そこに立っていたのは、私の直属の上司であり、恋人でもある――桐島(きりしま)カオル先輩だった。
長身に似合うオーダーメイドのパンツスーツ。シャープに整えられたショートヘア。切れ長の瞳は、氷のように冷徹に専務を見下ろしている。
その姿は、まさに物語から飛び出してきた「王子様」そのものだった。
専務は捨て台詞を吐いて逃げていき、会場には一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「桐島チーフ、さすがです!」「カッコよすぎます!」「今の捻り上げ、しびれました!」
同僚たちが口々に称賛する中、カオル先輩はふわりと私を抱き寄せ、頭をポンポンと撫でてくれた。
「……怖かったな、ヒナ。遅くなってごめん」
「せ、先輩……うぅ……っ」
その優しさと、頼もしさに、私は安堵の涙を流して彼女の胸に縋り付いた。
社内でも公認のカップルである私たち。
仕事ができて、強くて、美しいバリキャリのカオル先輩と、ドジで気弱な私。
周囲の認識は完全に、「イケメン王子様と、守られるお姫様」という構図で固まっていた。
――でも。
みんなは知らない。
この完璧な王子様が、二人きりの寝室では、とんでもなく可愛い「甘えん坊」に変身してしまうことを。
***
帰宅後のマンション。
シャワーを浴びて、間接照明だけが灯るベッドルーム。
さっきまでの「鉄の女」のようなスーツ姿から一転、カオル先輩はサイズの大きな私のパジャマを着て(彼女は自分の服より私の匂いがする服を好むのだ)、ベッドの上で小さく丸まっていた。
「……ヒナぁ……」
「はいはい、カオルさん。よしよし……」
私はベッドに入り、彼女を後ろから抱きしめる。
すると、カオルさんは子猫のように私の腕に頬を擦り付けてきた。
パーティーでの凛々しさはどこへやら。上目遣いで私を見つめる瞳は、とろんと潤んで、完全に「受け」の顔になっている。
「今日、頑張ったよ私……。あのオヤジ、本当にムカついた……」
「うんうん、凄くかっこよかったですよ。みんな、カオルさんのこと褒めてました」
「みんなはどうでもいいの……。ヒナは? ヒナは、私のこと、好き?」
不安そうに聞いてくるカオルさん。
外ではあんなに自信満々なのに、ベッドの上では私が主導権を握らないとダメなのだ。
私は悪戯心を起こして、彼女の耳元に唇を寄せた。
「大好きですよ。……でも、私の身体を触ろうとしたあの専務より、今のカオルさんの方が、もっとスケベな顔してますね?」
「っ……! い、意地悪言わないで……っ」
カオルさんの顔が一瞬で真っ赤になる。
このギャップ。この反応。
私だけが知っている、彼女の弱点。
「罰として、今日はカオルさんがいじめられる番です。……いいですよね?」
「……うん。ヒナに、いじめられたい……♥」
私はカオルさんを仰向けに寝かせ、その上に跨った。
ショートヘアから覗くうなじや、鎖骨のラインは洗練されているけれど、私の手にかかれば、すぐに甘い声を上げる楽器に変わる。
「あっ、そこ……っ! ヒナ、指、つめたいっ……♥」
「カオルさんが熱すぎるんですよ。……ここ、もうこんなになってます」
私がパジャマの上から胸の突起をツンと突くと、カオルさんはビクッと身体を震わせて、私の手首を掴んだ。
でも、その力は弱々しくて、拒絶ではなく懇願の色を帯びている。
「もっと……触って……。パーティーの間、ずっと我慢してたの……っ」
「我慢してたのはどっちですか。……ほら、バンザイしてください」
私が命令すると、カオルさんは素直に従い、無防備な姿を晒け出した。
私は彼女のTシャツをめくり上げ、形の良い乳房に顔を埋めた。
ちゅぅっ、ジュルッ……♥
「んあぁっ!♥ ヒナの舌、ざらざらして……気持ちいいっ……♥」
「カオルさんのここ、甘い匂いがします……。会社のみんなに見せてあげたいくらい」
「だ、だめぇっ! こんな顔、ヒナ以外に見せられないっ……! ヒナだけのものなのぉっ!♥」
必死に独占欲を露わにするカオルさんが可愛くて、私はさらに攻め手を強める。
指先を滑らせ、秘部へ。
そこは既に、溢れ出る愛液でシーツを汚していた。
「王子様なのに、下着の中はこんなにビショビショなんですね。……私に助けられたいんですか?」
「たすけてぇ……っ、ヒナぁ、中、いじってぇ……っ♥」
涙目で懇願するカオルさん。
私は彼女の願いを叶えるべく、指を深々と突き入れた。
ズチュッ……♥
「ひぎぃっ!♥ ふかいっ、そこ、深いぃっ……!」
「カオルさんの中、吸い付いてきます。……あんなにかっこよく専務の手首を捻ってた手が、今はシーツを握りしめて震えてますよ?」
私は彼女の耳元で、状況を実況するように囁く。
責められるのが大好きなカオルさんは、羞恥と快感で顔をぐしゃぐしゃにして喘いだ。
「ああっ、ああっ! ヒナっ、好きっ! かっこいいのいらないっ、ヒナのオモチャでいいからぁっ!♥」
「ふふ、いい子ですね。……じゃあ、イかせてあげます」
私が指の動きを速め、同時にクリトリスを舌で弾くと、カオルさんは弓なりに反り返った。
「いくっ、イッちゃうっ! ヒナぁぁぁッ!! あぁぁぁッ!!♥♥」
ビクンッ、ビクビクビクッ!!♥
カオルさんは私の名前を叫びながら、だらしなく舌を出して絶頂した。
痙攣する彼女を抱きしめながら、私は心の中で優越感に浸る。
――ごめんなさい、会社のみんな。
貴方たちの憧れの王子様は、夜は私だけの可愛いお姫様(ペット)になっちゃうんです。
この可愛くて、エッチな姿は、一生私だけの秘密。
「……はぁ、はぁ……。ヒナ……もう一回……♥」
「もう、カオルさんったら欲張りなんだから」
私はクスクスと笑い、甘えん坊な恋人に、とびきり甘いキスを落とした。
夜はまだ、始まったばかりだ。
(第十六章 完)
都内某一流ホテルのバンケットルームで行われているのは、私が所属する企画部の大規模プロジェクト成功を祝う立食パーティーだ。
本来なら、チームの一員として誇らしい気持ちで乾杯すべき場所。
けれど、今の私――小日向(こひなた)ヒナにとっては、地獄のような針の筵(むしろ)でしかなかった。
「いやあ、今回のプロジェクト、君の頑張りも大きかったって聞いたよぉ? 小日向さん」
「あ、ありがとうございます……専務……」
私の隣にへばりついているのは、主要取引先の専務だ。
酒臭い息を吐きながら、じりじりと距離を詰めてくる。
私は気弱で、NOと言えない性格だ。ましてや相手は、今後の契約を握っている超重要人物。無下にはできない。
それをいいことに、専務の手は私の腰に回り、あろうことかお尻の方へと伸びてきていた。
(いやだ、気持ち悪い……誰か、助けて……)
ヒップラインを撫で回す湿った手の感触に、吐き気が込み上げてくる。
助けを求めるように視線を彷徨わせた、その時だった。
「――そこまでにして頂けませんか。うちの大事な部下が、怖がっています」
凛とした、よく通る低い声。
次の瞬間、専務の手首がガシッ! と掴まれ、あらぬ方向へと捻り上げられた。
「あだだだだッ!? な、何をするッ!」
「セクハラは犯罪です。これ以上、彼女に不快な思いをさせるなら、今後の御社とのお付き合いも考え直させていただきますが?」
そこに立っていたのは、私の直属の上司であり、恋人でもある――桐島(きりしま)カオル先輩だった。
長身に似合うオーダーメイドのパンツスーツ。シャープに整えられたショートヘア。切れ長の瞳は、氷のように冷徹に専務を見下ろしている。
その姿は、まさに物語から飛び出してきた「王子様」そのものだった。
専務は捨て台詞を吐いて逃げていき、会場には一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「桐島チーフ、さすがです!」「カッコよすぎます!」「今の捻り上げ、しびれました!」
同僚たちが口々に称賛する中、カオル先輩はふわりと私を抱き寄せ、頭をポンポンと撫でてくれた。
「……怖かったな、ヒナ。遅くなってごめん」
「せ、先輩……うぅ……っ」
その優しさと、頼もしさに、私は安堵の涙を流して彼女の胸に縋り付いた。
社内でも公認のカップルである私たち。
仕事ができて、強くて、美しいバリキャリのカオル先輩と、ドジで気弱な私。
周囲の認識は完全に、「イケメン王子様と、守られるお姫様」という構図で固まっていた。
――でも。
みんなは知らない。
この完璧な王子様が、二人きりの寝室では、とんでもなく可愛い「甘えん坊」に変身してしまうことを。
***
帰宅後のマンション。
シャワーを浴びて、間接照明だけが灯るベッドルーム。
さっきまでの「鉄の女」のようなスーツ姿から一転、カオル先輩はサイズの大きな私のパジャマを着て(彼女は自分の服より私の匂いがする服を好むのだ)、ベッドの上で小さく丸まっていた。
「……ヒナぁ……」
「はいはい、カオルさん。よしよし……」
私はベッドに入り、彼女を後ろから抱きしめる。
すると、カオルさんは子猫のように私の腕に頬を擦り付けてきた。
パーティーでの凛々しさはどこへやら。上目遣いで私を見つめる瞳は、とろんと潤んで、完全に「受け」の顔になっている。
「今日、頑張ったよ私……。あのオヤジ、本当にムカついた……」
「うんうん、凄くかっこよかったですよ。みんな、カオルさんのこと褒めてました」
「みんなはどうでもいいの……。ヒナは? ヒナは、私のこと、好き?」
不安そうに聞いてくるカオルさん。
外ではあんなに自信満々なのに、ベッドの上では私が主導権を握らないとダメなのだ。
私は悪戯心を起こして、彼女の耳元に唇を寄せた。
「大好きですよ。……でも、私の身体を触ろうとしたあの専務より、今のカオルさんの方が、もっとスケベな顔してますね?」
「っ……! い、意地悪言わないで……っ」
カオルさんの顔が一瞬で真っ赤になる。
このギャップ。この反応。
私だけが知っている、彼女の弱点。
「罰として、今日はカオルさんがいじめられる番です。……いいですよね?」
「……うん。ヒナに、いじめられたい……♥」
私はカオルさんを仰向けに寝かせ、その上に跨った。
ショートヘアから覗くうなじや、鎖骨のラインは洗練されているけれど、私の手にかかれば、すぐに甘い声を上げる楽器に変わる。
「あっ、そこ……っ! ヒナ、指、つめたいっ……♥」
「カオルさんが熱すぎるんですよ。……ここ、もうこんなになってます」
私がパジャマの上から胸の突起をツンと突くと、カオルさんはビクッと身体を震わせて、私の手首を掴んだ。
でも、その力は弱々しくて、拒絶ではなく懇願の色を帯びている。
「もっと……触って……。パーティーの間、ずっと我慢してたの……っ」
「我慢してたのはどっちですか。……ほら、バンザイしてください」
私が命令すると、カオルさんは素直に従い、無防備な姿を晒け出した。
私は彼女のTシャツをめくり上げ、形の良い乳房に顔を埋めた。
ちゅぅっ、ジュルッ……♥
「んあぁっ!♥ ヒナの舌、ざらざらして……気持ちいいっ……♥」
「カオルさんのここ、甘い匂いがします……。会社のみんなに見せてあげたいくらい」
「だ、だめぇっ! こんな顔、ヒナ以外に見せられないっ……! ヒナだけのものなのぉっ!♥」
必死に独占欲を露わにするカオルさんが可愛くて、私はさらに攻め手を強める。
指先を滑らせ、秘部へ。
そこは既に、溢れ出る愛液でシーツを汚していた。
「王子様なのに、下着の中はこんなにビショビショなんですね。……私に助けられたいんですか?」
「たすけてぇ……っ、ヒナぁ、中、いじってぇ……っ♥」
涙目で懇願するカオルさん。
私は彼女の願いを叶えるべく、指を深々と突き入れた。
ズチュッ……♥
「ひぎぃっ!♥ ふかいっ、そこ、深いぃっ……!」
「カオルさんの中、吸い付いてきます。……あんなにかっこよく専務の手首を捻ってた手が、今はシーツを握りしめて震えてますよ?」
私は彼女の耳元で、状況を実況するように囁く。
責められるのが大好きなカオルさんは、羞恥と快感で顔をぐしゃぐしゃにして喘いだ。
「ああっ、ああっ! ヒナっ、好きっ! かっこいいのいらないっ、ヒナのオモチャでいいからぁっ!♥」
「ふふ、いい子ですね。……じゃあ、イかせてあげます」
私が指の動きを速め、同時にクリトリスを舌で弾くと、カオルさんは弓なりに反り返った。
「いくっ、イッちゃうっ! ヒナぁぁぁッ!! あぁぁぁッ!!♥♥」
ビクンッ、ビクビクビクッ!!♥
カオルさんは私の名前を叫びながら、だらしなく舌を出して絶頂した。
痙攣する彼女を抱きしめながら、私は心の中で優越感に浸る。
――ごめんなさい、会社のみんな。
貴方たちの憧れの王子様は、夜は私だけの可愛いお姫様(ペット)になっちゃうんです。
この可愛くて、エッチな姿は、一生私だけの秘密。
「……はぁ、はぁ……。ヒナ……もう一回……♥」
「もう、カオルさんったら欲張りなんだから」
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