死んでから異世界転生したと思ったけど世の中そんなに甘くないよね

サルベージ

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「はじめての転移!」「はじめてのお○かい気分で転移すんな」

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「いやーある程度スッキリしたわ」

「ぜー、はー……し、死ぬかと思った……」

「大げさな。アホ毛を着脱可能一歩手前まで追い込んだだけだぞ」

「もうほとんど取れかかってますよね、それ……うぅ、これからの旅が気が重い」

「元はと言えばお前のせいだろ、頑張れや。そんでここはどこ?」

「わたしは誰?」

「おうつまらんジョークかませるくらい余裕あるならそのピョンピョン跳ねたアホ毛を始末してやる」

「すみませんやめてください手を伸ばさないでー!」

「で、ここ本当に異世界なの?見渡す限り草原だけど」

「は、はい!ここはですねー、異世界ミルミル・ミルクレープです!」

「何だそのアホっぽい名前」

「いやー創造神の方が今ミルクレープにハマってまして……」

「命名理由もアホだった」

「ともかく!冒険していきましょー!ほら、夢にまで見た異世界を冒険できるんですよ!」

「俺が地縛霊な時点で台無しだけどな。それで旅って具体的に何するんだよ」

「それはそのー、こう、心が躍る冒険を……」

「ノープランなのは伝わった。まあ折角の異世界転移だ、楽しまなきゃな」

「そう!そうですね!楽しみましょー!」

「お前そのテンション貫くなら後でシメるからな」

「ひっ」

「にしても草原か。よくある異世界転移物だと女の子がモンスターやら盗賊やらに襲われててそれを助ける展開なんだが」

「テンプレですねー。転移者、転生者のためにそういうテンプレ詰め込んだ世界を作る神様もいるらしいですけどね」

「ここはどうなんだ?」

「さあ……なにぶん最近できた世界であまり情報がないので」

「使えねぇなぁ」

「うぅ、あんまりな言い方です……あ!あそこに!」

「お、どうした。まさか襲われてる女の子が!?」

「草むらに打ち上げられたシャチが!」

「なんで?」

「苦しそうにもがいてます……!助けなきゃ!」

「なんで?」

「あっ空飛ぶタコに捕食された」

「なんで?」

「可哀想なシャチさん……」

「色々突っ込みたいけどどういう世界観なんだよ」

「多分設計ミスですね」

「設計ミス」

「創造神初心者の方にありがちなんですよ。マップ生成ミスですね。おそらく草原マップに水中モンスター配置しちゃったんです」

「RPGツ○ールかよ」

「そうですね、規模の大きいツクールだと思ってもらえれば」

「この世界放棄して一から作り直すことはできねぇの?」

「流石にツクールとは違ってそう簡単に消したり作ったりできないんですよ」

「まあ世界単位だからそりゃそうか」

「コストもバカにならないですからね!神様世界もコストカットが流行りですから」

「世知辛いなぁ」

「そのおかげでミス隠蔽も多くなったり」

「おい」

「てへ」

「えい」

「ぐっ……ナチュラルにみぞおちを膝でグリグリと……!?」

「まあいいわ。シャチが死にかけてたのはわかるんだけどなんでタコは空飛んでたんだ?」

「ぐぇぇ……割と生物の進化って神様のミスが関わってたり関わってなかったりー……」

「いきなり地上に放り出されたタコがその環境に適応したってか」

「そういうことですね」

「まさか地球の進化のあれやこれやって」

「温度設定ミスった神様とか隕石イベント間違えて発生させた神様もまさかこうなるとは思わなかったでしょうね」

「ミスが文字通り生命が死に絶えるほど大きすぎる」

「あれだけみんながミスしたのに生きてる生命って尊いですよね」

「神様ってもしかしてポンコツ多いの?」

「いやーなにぶん皆さん明るい気質の方が多く失敗が割と許される風潮が」

「弄ばれる生命の気持ちも考えろ」

「いやほんとすみません……」

「まあいいや。それでこの草原(?)で何をしたら良いんだ」

「適当に過ごしていただければ」

「適当とな」

「そもそも地球への自縛の影響を弱くするのが目的なので本当はどこの世界で何しても良いんですよ」

「ほう。ちなみにこの世界に来た理由は?」

「…………」

「おい」

「……テストプレイ的な……?」

「おい」

「今世界のデバッガーが足りてなくてですねー」

「世界のデバッガー」

「丁度世界を放浪しなきゃいけない人が出てきたのでついでにやってもらおうかなーという話になってまして」

「ほう」

「というわけでいろんな世界のテストプレイをお願いします!」

「えい」

「目がッ!目がーッ!」
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