22 / 23
おまけ①『当日は伝わらず』
しおりを挟む「お姉チャン、今日、すごいことがあったよ!」
「おう、おかえりマミ、アイスあるよ」
「あ、食べる食べる、やったぁ」
「で、なによ?」
「なにが?」
「いや、なにかあったんでしょ? 大したことないなら、別にいいんだけど」
「ん? ああ、ああ、大したことある! ある!」
「うるさいな、もう」
「今日マミね、警察にホゴされた」
「はぁ? なにしたの、あんた」
「なにもしてないよ、チカンにあっただけ」
「チカ、ええ! ちょっと! どこで?」
「T駅で」
「駅? 電車のなかじゃなくて?」
「そうそう、階段のとこで!」
「なにそいつすごいムカつく。捕まえたの? 犯人」
「犯人? 犯人はぁー……ああ、逃げられた」
「はぁ? で? 警察に犯人の特徴とかは、ちゃんと伝えたの?」
「ああ、ああー、あれ? 伝えたっけな」
「ちょっと、なにやってんのよあんた、バカじゃないの?」
「違うの! チカンだと思った男の人が駅の事務室にいてね?」
「え、捕まえてんじゃん! で? 逮捕してもらった?」
「それが、告白してきたの、その男の人!」
「キモッ!」
「でしょ? ん? いや、違うな」
「違わないでしょ。なにその男、盗っ人バケバケしい」
「なにそれ?」
「なにが」
「バケバケしいって、なに?」
「言うじゃん、バケバケしいって」
「それ、バカバカしいじゃないの?」
「バカバカしい? あれ? 盗っ人……ん? あ、アイスとけちゃう」
「あ、ずるい、マミもアイス!」
「冷凍庫にあるよ」
「わーい、いただきまーす!」
「チョコは、これで最後だけどね」
「なに? お姉チャン、今なにか言った?」
「いや、別に」
「いただきまーす!」
「さて、ドラマの続きでも観るかね……え、告白? って、なんだったんだろか。まあ、いいか」
──おまけ①・完
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる