黒き死神が笑う日

神通百力

文字の大きさ
66 / 211

凍てつく

しおりを挟む
 これは地球からの警告なのだろうか。それとも政府の陰謀か。
 いったい誰が何のために――

 ☆☆

 コンビニで昼ごはんを買った帰りのこと、前を歩いていた若い男性が突然、上から降ってきた氷に押し潰されたのだ。
 歩道と氷の隙間から血が溢れてくる。氷の高さは二メートル以上で、横幅は五十センチ以上はあると思われた。
 俺は恐る恐る空を見上げた。背筋が震え上がった。数え切れないほどの氷が降ってくる。
 辺り一帯から悲鳴が飛び交い、俺は必死に氷から逃げ続けた。
 その間にも老若男女が次々に押し潰されていく。溢れ出た血に足を取られ、押し潰されている者もいた。
 近くにあったビルに避難する。すでに何十人かはビルに避難していた。
 出入り口のガラス越しに氷が降り続いているのが窺える。
 何が起きているのかはさっぱり分からないが、今は生き延びることだけを考える。
 身体が恐怖で小刻みに震え出す。これほどまでの恐怖は今まで味わったことがない。
 血の匂いがビルの中にまで漂ってくる。その強烈な臭いに思わず鼻をつまんだ。
 ギシと何かが軋む音がした。反射的に辺りを見回す。
 音が大きくなっていく。
 このままビルにいては危険だと判断し、俺は意を決してビルの外へ出た。
 わずか数秒後、ビルは盛大な音を立てて、崩壊した。
 外も建物の中も危険なら、一体どこへ逃げればいいのだろうか。

 ☆☆

 それから約二ヶ月間、氷は降り続いた。
 そして――
 地球温暖化と過剰な人口増加は、ひとまず食い止められたのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...