黒き死神が笑う日

神通百力

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半分

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 私ね、結城ゆうきのことが好き! そして嫌いなの!

 ……どっちだよって? 意味が分からないって?
 結城ったら、意味くらい分かるでしょ? 本当に分からないの? 仕方ないな、面倒だけど説明してあげるね。

 結城の優しいところは好きだけど、ケンカの最中に前回のケンカの話まで持ち出して、ネチネチ言ってくるところは嫌いなんだよね。もう終わったことを持ち出されてもね。

 あと笑っている表情は好きだけど、ボーッとしている表情は嫌い。目つきが悪いから、睨みつけられているみたいで嫌なんだよね。

 これで意味は分かったでしょ? 私は結城のことが半分好きで、半分嫌いなんだよ。でもそれって普通のことだと思うんだよね。

 反感を買われるかもしれないけどさ。私の中学時代の友達が彼氏のこと全部好きって言ってたけど、あれ嘘だと思うんだ。どうしたって嫌なところは出てくる。何年も一緒にいたら尚更ね。全部好きって嘘だよ。自分自身にそう言い聞かせてる。あくまでこれは私の持論であり、全員がそうとは限らないけど。

 ……保険・・をかけるなって? あはっ、バレたか。
 結城は私の持論、どう思う?

 ……保留させてもらうって? 保留してどうすんの、今言わないと言う機会ないよ?

 ……じゃあ、その持論に賛成だって? じゃあって何? その場しのぎで言ったでしょ。まあ、いいけど。

 結城は私のこと、どう思ってる?

 ――意味は分かったし、俺もかえでのことが半分好きで、半分嫌いだな。

 結城は私のどこが好きでどこが嫌いなの?

 ――明るいところは好きだけど、ケンカ中は食事を用意してくれないところは嫌いだし、笑っている表情は好きだけど、ボーッとしている表情は嫌いだな。目つき悪いから、睨みつけられている感じがするし。

 理由が半分私と被ってるよ。

 私と結城って結局半分似たものカップルだったのかな?

 ――半分か……そうだな。

 

 

 結城はそう言って、息を引き取った。


 そうして私は心に半分ぽっかり穴が空いた。
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