黒き死神が笑う日

神通百力

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魔女の恋愛事情

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 魔女は蔓で出来たカゴを携え、森を歩いていた。
 長く美しい黒髪で華奢な少女に見えるが、百年以上も森で過ごしている。
 魔女は果物が密集した場所にたどり着くと、一つずつ丁寧に採取し、カゴに入れていく。カゴが満杯になり、魔女は洞窟に帰ろうとしたが、木の近くで倒れている青年を発見した。
 魔女は青年に近づき、おでこに手を当てると、熱があった。すぐに青年を抱え、魔女は急いで洞窟に帰った。
 青年を笹の葉に寝かせ、上から茶色の布をかけた。布を水で濡らし、おでこに置く。
 魔女が果物を小さく切っていると、青年は目が覚めた。魔女はニコリと笑うと、果物を差し出した。青年はお礼を述べてから、果物を食べる。果物を食べ終わると、青年は眠りについた。
 魔女はずっと青年を看病し続けた。その甲斐もあって青年は元気になった。
 青年は看病されている内に魔女に惚れ、元気になってからも一緒に過ごした。魔女も看病している内に青年のことを好きになっていた。元気になってもなお、一緒にいてくれることが嬉しかった。今まで一人だったから、余計に嬉しかった。
 それから何十年も魔女と青年は一緒に過ごした。青年は年月を追うごとに老けていくのに対し、魔女はまったく変わらなかった。
 やがて青年だった男は寿命が尽きて息を引き取った。
 
 魔女は再び、一人ぼっちになった。
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