黒き死神が笑う日

神通百力

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ヒトノテイル

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 檻の前に大勢の人が集まっていた。傍から見ても興奮しているのが分かる。それも当然だろう。最近発見されたばかりの新種で、この動物園にしかいないのだ。
 新種の名前は『ヒトノテイル』。尻尾が人の手のような形をしていることから、この名が付いた。全長は二メートルほどで、体は硬い毛で覆われている。毛の下には鱗がある。
 私は時計を見た。そろそろ餌の時間だ。私は服を脱いで全裸になり、腕時計も外し、檻の中に入った。この動物園には『食用人間』と呼ばれる係があり、『ヒトノテイル』のお腹を満たすための餌だ。つまり人間を餌とする動物であり、私は餌なのだ。服を脱いだのは喉に詰まらないようにするためだ。
 客の視線を感じながら、私は『ヒトノテイル』に近づく。『ヒトノテイル』は尻尾を動かし、パーのような形に広げると、私の体を掴んできた。徐々に締め付けられていくのを感じる。バキボキと骨の折れる音が聞こえた。
 意識が朦朧とし始めた時、『ヒトノテイル』は大きく口を開き、私を食べた。
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