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37:『大人』であるということ
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目が覚めると、璃亜夢は酷い頭痛と倦怠感に襲われた。
それもそうだ。璃亜夢は昨晩、ホテルの浴室で永延に事に及ばれてから身体を濡らした水気を拭かれないまま放置されたのだから。
夏とはいえ、水を被ったまま裸の状態で、浴室のタイルの上に放置されれば熱も出る。璃亜夢はゆっくりと身体を起こすとタオルを探して身体を拭いて、自分と同じく水浸しで放置されていた服を絞った。
室内には既に永延の姿はなかった。
時間を知りたくて室内に掛かっている時計を見ると、七時前だった。当然外はもうすっかり明るい。
テーブルには一万円札が五枚残されていた。
まだ金を置いていくのか。
あの男が何を考えているのか全くわからない。
『大黒くんって『大人』なんだよ、『真人間』って言い換えても良い』
永延が昨晩璃亜夢に言い放った言葉の意味も結局わからないままだ。
大黒はきっと助けてくれる。
今だってきっと心配してくれている。
そう考えたとき、ぼんやりする頭で早く帰らないとと璃亜夢は思い至った。
濡れていた服も着て帰ってくる途中で、徐々に熱された夏の気温で徐々に乾いてきた。だけど完全に乾くにはまだ時間が要りそうだ。
でも頭がぼんやりとしている璃亜夢には服が湿っているかどうかなんてどうでも良かった。
覚束無い足取りでアパートに辿り着くとゆっくりと外階段を上る。
一段ずつゆっくりと上がりながら璃亜夢は大黒のことを考える。
帰ってきた自分を見て、彼はどんな顔をするだろうか。
心配してくれていただろうか。それとも急にいなくなったことを怒っているだろうか。泣いてくれていても良い。彼の関心を得られるならもう何でも。
打算的だ。
わかっている、だけどそう言う風にしか所詮自分はできていないのだ。
彼がもしこんなボロボロになった璃亜夢を見て心の底から同情してくれれば、『自分がそばにいてあげなくては』と思ってくれれば満足だ。
璃亜夢はそんなことを考えながら階段を上りきると、永延の部屋ではなく大黒の部屋のインターホンを鳴らす。
彼はどんな顔をしてくれるか。それだけを期待して扉が開くのを待つ。
扉はすぐ開けられる。
大黒は困惑した表情だったが、璃亜夢を見て安心したように肩を下ろして「良かった……」と呟く。その表情には確かに璃亜夢への『情』があった。
服装が昨日のような私服ではなく、ワイシャツとネクタイであるのが気になったが、彼は確かに璃亜夢を心配してくれていた。
それがわかって璃亜夢は永延の言葉は間違いだったじゃないかと内心嘲る。
大黒は自分を見放したりしない。ずっと一緒にいてくれる。
それが嬉しくて璃亜夢は涙を浮かべる。
だけど大黒にはそれが悲しみや苦しみから来る涙だと察して慌てて璃亜夢の顔を覗き込むが、彼女の顔がどうにも赤いことに気がつき「ちょっとごめんね」と断りを入れてから彼女の額に触れる。
「熱がある。何があったの?」
そう優しく問う大黒。彼の態度が嬉しくて涙を浮かべながら、璃亜夢は昨日の出来事を、永延にホテルに連れて行かれて浴室で水に顔を何度も沈められたこと、そのまま行為に及ばれた上朝まで放置されたことを話した。
大黒は璃亜夢の身に降りかかった『不幸』に表情を曇らせる。
そして「警察に通報しよう。それは暴力だし、許されることじゃあない」と真剣な顔で呟く。
大黒の言葉は正しい。本来はそうすべきなのだ。
だけど結局置かれていた一万円札を持ち帰ってきた璃亜夢としてはその後ろめたさが勝つし、何より家出娘である自分の立場として通報されるのは困るので慌てて首を横に振った。
「け、警察は駄目!」
思わず叫ぶ璃亜夢。その悲痛な叫びに、大黒は此処が玄関先であることから、璃亜夢を部屋の中へ促す。
璃亜夢が中に入ると、ローテーブルに何かの資料のようなものが置かれているのに気が付く。それは大黒がネクタイ姿であることに関係しているのだろう。
「……何処か出かけるの?」
璃亜夢がそう言うと、ベッドに寝かされている茉莉花に気が付く。昨日のようなタオル姿ではなく、寛和から借りてきたベビー服を着ている。
「取引先の担当者さんと話を詰めないといけなくなって」
「仕事……」
「僕が出るまでに璃亜夢さんが帰ってこなかったら警察に連絡はするつもりだった。茉莉花さんも友達に面倒見てて貰おうことになってた」
大黒はそう言いながら、クローゼットの中にある引き出しからスウェットを引っ張り出して璃亜夢に差し出す。
「お風呂入ってから俺のベッドでゆっくり休んで。あとで僕の友達が来て茉莉花さんを見ててくれるから安心して」
大黒はそう言う。
だけど璃亜夢は差し出されたスウェットを受け取らない。
そんな彼女に大黒は怪訝そうに彼女を見る。
「璃亜夢さん?」
「また警察って言った。警察は絶対に駄目」
そう呟く璃亜夢の表情は険しい。
だけど大黒はそんな彼女を諭す。
「璃亜夢さん、君は未成年だ。茉莉花さんがいるいないに関わらず、あらゆる責任を負える立場じゃない。君は家に帰るべきなんだ、一人では生きていけない」
「じゃあ一緒にいて! アンタが私と一緒にいて! 一緒に生きて!」
璃亜夢は大黒に近づくと、彼が差し出すスウェットを振り払い彼の胸に頭を寄せてワイシャツを握り締める。お願い。璃亜夢は大黒に懇願する。
大黒はきっと応えてくれる。
こんなにも優しくしてくれている人だもの。
絶対、大丈夫。
そんな安心感に、璃亜夢は大黒の胸に身を預ける。
だけど、それはすぐに潰える。
大黒は璃亜夢の両肩を掴むとゆっくりと押し返す。
「それはできない」
大黒のはっきりとした拒否が璃亜夢の鼓膜を揺らす。
その瞬間、璃亜夢の中で何かが切れる。
璃亜夢は自分の肩を掴む大黒の手を振り払うと、彼をその場に押し倒す。大黒が床に仰向けになると、璃亜夢は彼の腰に跨り大黒を見下ろす。
大黒は唖然とした表情で、自分に跨る璃亜夢を見上げる。
「どうして?」
璃亜夢は自分の目から涙が溢れていることに気が付く。
それと同時に永延の『璃亜夢ちゃんが泣いて懇願しても裸で誘惑しても絶対落ちないと思うね』という声が再生される。
あの時はそんなことは有り得ないと鼻で笑っていた。
だけど、たった今の大黒の言葉を聞いたときに、永延の言葉が正しいのではと予感してしまった。
そんなことはない、そんなことは許さない。
璃亜夢は永延の言葉を否定したくて、徐に服を脱ぎ出す。上半身裸になって、璃亜夢は大黒の顔の横に両手を付く。
これまで何人の名前も知らない男たちと行為に及んできた。
寝る場所やお金が欲しくて、自分から迫ったこともあった。大抵、今のような状況になれば彼らは喜んで璃亜夢に手を伸ばした。
大黒もそうなるだろうと確信があった。
だけど。
大黒は悲痛そうな面持ちで璃亜夢を見上げていた。
その顔を見て璃亜夢は戸惑う。こんな若い娘に迫られたら、男は喜ぶものじゃないのか。
璃亜夢に触れようとしない大黒に璃亜夢は戸惑う。そんな彼女に追い打ちをかけるように大黒が口を開く。
「璃亜夢さん、熱が出てるんだ。服を着て」
そう言って璃亜夢を自分の上から降ろそうとする。
どうして、触ってくれないの。どうして、誘いに応じてくれないの。どうして。
そう悩む璃亜夢。
気が付けばその疑問を口にしていた。
「どうして? 男の人はこういう風にされたら喜ぶんじゃないの?」
その問いかける璃亜夢に、大黒は不快そうに眉間に皺を寄せた。
「君が未成年の少女じゃなければ、そうだね、もしかしたら嬉しいと思うこともあるんだと思う」
「……未成年の方が良いんじゃないの?」
璃亜夢は嘲る。だけど大黒は淡々と言い放つ。
「僕は大人だ。大人でいるつもりだ。未成年を食い物にするような行為は大人のすることじゃない」
「!」
大黒は璃亜夢の行動を否定する。
その言葉に、璃亜夢はまた永延の言葉を思い出した。
『大黒くんって『大人』なんだよ、『真人間』って言い換えても良い』
あれはこういうことだったのだ。
この人は、私を求めてはくれないのだ。
璃亜夢はその事実を理解して絶望する。
大黒は何とか身体を起こして璃亜夢を自分から降ろすと、洗面所からタオルを持ってきて璃亜夢の肩にかけた。
「お風呂に入っておいで。熱もそうだけど、疲れもあるんだ。ゆっくり休んだ方が良い」
そう言って大黒は璃亜夢に優しく声をかけて洗面所へと導いた。
璃亜夢はもう大黒に縋ることができなかった。
それもそうだ。璃亜夢は昨晩、ホテルの浴室で永延に事に及ばれてから身体を濡らした水気を拭かれないまま放置されたのだから。
夏とはいえ、水を被ったまま裸の状態で、浴室のタイルの上に放置されれば熱も出る。璃亜夢はゆっくりと身体を起こすとタオルを探して身体を拭いて、自分と同じく水浸しで放置されていた服を絞った。
室内には既に永延の姿はなかった。
時間を知りたくて室内に掛かっている時計を見ると、七時前だった。当然外はもうすっかり明るい。
テーブルには一万円札が五枚残されていた。
まだ金を置いていくのか。
あの男が何を考えているのか全くわからない。
『大黒くんって『大人』なんだよ、『真人間』って言い換えても良い』
永延が昨晩璃亜夢に言い放った言葉の意味も結局わからないままだ。
大黒はきっと助けてくれる。
今だってきっと心配してくれている。
そう考えたとき、ぼんやりする頭で早く帰らないとと璃亜夢は思い至った。
濡れていた服も着て帰ってくる途中で、徐々に熱された夏の気温で徐々に乾いてきた。だけど完全に乾くにはまだ時間が要りそうだ。
でも頭がぼんやりとしている璃亜夢には服が湿っているかどうかなんてどうでも良かった。
覚束無い足取りでアパートに辿り着くとゆっくりと外階段を上る。
一段ずつゆっくりと上がりながら璃亜夢は大黒のことを考える。
帰ってきた自分を見て、彼はどんな顔をするだろうか。
心配してくれていただろうか。それとも急にいなくなったことを怒っているだろうか。泣いてくれていても良い。彼の関心を得られるならもう何でも。
打算的だ。
わかっている、だけどそう言う風にしか所詮自分はできていないのだ。
彼がもしこんなボロボロになった璃亜夢を見て心の底から同情してくれれば、『自分がそばにいてあげなくては』と思ってくれれば満足だ。
璃亜夢はそんなことを考えながら階段を上りきると、永延の部屋ではなく大黒の部屋のインターホンを鳴らす。
彼はどんな顔をしてくれるか。それだけを期待して扉が開くのを待つ。
扉はすぐ開けられる。
大黒は困惑した表情だったが、璃亜夢を見て安心したように肩を下ろして「良かった……」と呟く。その表情には確かに璃亜夢への『情』があった。
服装が昨日のような私服ではなく、ワイシャツとネクタイであるのが気になったが、彼は確かに璃亜夢を心配してくれていた。
それがわかって璃亜夢は永延の言葉は間違いだったじゃないかと内心嘲る。
大黒は自分を見放したりしない。ずっと一緒にいてくれる。
それが嬉しくて璃亜夢は涙を浮かべる。
だけど大黒にはそれが悲しみや苦しみから来る涙だと察して慌てて璃亜夢の顔を覗き込むが、彼女の顔がどうにも赤いことに気がつき「ちょっとごめんね」と断りを入れてから彼女の額に触れる。
「熱がある。何があったの?」
そう優しく問う大黒。彼の態度が嬉しくて涙を浮かべながら、璃亜夢は昨日の出来事を、永延にホテルに連れて行かれて浴室で水に顔を何度も沈められたこと、そのまま行為に及ばれた上朝まで放置されたことを話した。
大黒は璃亜夢の身に降りかかった『不幸』に表情を曇らせる。
そして「警察に通報しよう。それは暴力だし、許されることじゃあない」と真剣な顔で呟く。
大黒の言葉は正しい。本来はそうすべきなのだ。
だけど結局置かれていた一万円札を持ち帰ってきた璃亜夢としてはその後ろめたさが勝つし、何より家出娘である自分の立場として通報されるのは困るので慌てて首を横に振った。
「け、警察は駄目!」
思わず叫ぶ璃亜夢。その悲痛な叫びに、大黒は此処が玄関先であることから、璃亜夢を部屋の中へ促す。
璃亜夢が中に入ると、ローテーブルに何かの資料のようなものが置かれているのに気が付く。それは大黒がネクタイ姿であることに関係しているのだろう。
「……何処か出かけるの?」
璃亜夢がそう言うと、ベッドに寝かされている茉莉花に気が付く。昨日のようなタオル姿ではなく、寛和から借りてきたベビー服を着ている。
「取引先の担当者さんと話を詰めないといけなくなって」
「仕事……」
「僕が出るまでに璃亜夢さんが帰ってこなかったら警察に連絡はするつもりだった。茉莉花さんも友達に面倒見てて貰おうことになってた」
大黒はそう言いながら、クローゼットの中にある引き出しからスウェットを引っ張り出して璃亜夢に差し出す。
「お風呂入ってから俺のベッドでゆっくり休んで。あとで僕の友達が来て茉莉花さんを見ててくれるから安心して」
大黒はそう言う。
だけど璃亜夢は差し出されたスウェットを受け取らない。
そんな彼女に大黒は怪訝そうに彼女を見る。
「璃亜夢さん?」
「また警察って言った。警察は絶対に駄目」
そう呟く璃亜夢の表情は険しい。
だけど大黒はそんな彼女を諭す。
「璃亜夢さん、君は未成年だ。茉莉花さんがいるいないに関わらず、あらゆる責任を負える立場じゃない。君は家に帰るべきなんだ、一人では生きていけない」
「じゃあ一緒にいて! アンタが私と一緒にいて! 一緒に生きて!」
璃亜夢は大黒に近づくと、彼が差し出すスウェットを振り払い彼の胸に頭を寄せてワイシャツを握り締める。お願い。璃亜夢は大黒に懇願する。
大黒はきっと応えてくれる。
こんなにも優しくしてくれている人だもの。
絶対、大丈夫。
そんな安心感に、璃亜夢は大黒の胸に身を預ける。
だけど、それはすぐに潰える。
大黒は璃亜夢の両肩を掴むとゆっくりと押し返す。
「それはできない」
大黒のはっきりとした拒否が璃亜夢の鼓膜を揺らす。
その瞬間、璃亜夢の中で何かが切れる。
璃亜夢は自分の肩を掴む大黒の手を振り払うと、彼をその場に押し倒す。大黒が床に仰向けになると、璃亜夢は彼の腰に跨り大黒を見下ろす。
大黒は唖然とした表情で、自分に跨る璃亜夢を見上げる。
「どうして?」
璃亜夢は自分の目から涙が溢れていることに気が付く。
それと同時に永延の『璃亜夢ちゃんが泣いて懇願しても裸で誘惑しても絶対落ちないと思うね』という声が再生される。
あの時はそんなことは有り得ないと鼻で笑っていた。
だけど、たった今の大黒の言葉を聞いたときに、永延の言葉が正しいのではと予感してしまった。
そんなことはない、そんなことは許さない。
璃亜夢は永延の言葉を否定したくて、徐に服を脱ぎ出す。上半身裸になって、璃亜夢は大黒の顔の横に両手を付く。
これまで何人の名前も知らない男たちと行為に及んできた。
寝る場所やお金が欲しくて、自分から迫ったこともあった。大抵、今のような状況になれば彼らは喜んで璃亜夢に手を伸ばした。
大黒もそうなるだろうと確信があった。
だけど。
大黒は悲痛そうな面持ちで璃亜夢を見上げていた。
その顔を見て璃亜夢は戸惑う。こんな若い娘に迫られたら、男は喜ぶものじゃないのか。
璃亜夢に触れようとしない大黒に璃亜夢は戸惑う。そんな彼女に追い打ちをかけるように大黒が口を開く。
「璃亜夢さん、熱が出てるんだ。服を着て」
そう言って璃亜夢を自分の上から降ろそうとする。
どうして、触ってくれないの。どうして、誘いに応じてくれないの。どうして。
そう悩む璃亜夢。
気が付けばその疑問を口にしていた。
「どうして? 男の人はこういう風にされたら喜ぶんじゃないの?」
その問いかける璃亜夢に、大黒は不快そうに眉間に皺を寄せた。
「君が未成年の少女じゃなければ、そうだね、もしかしたら嬉しいと思うこともあるんだと思う」
「……未成年の方が良いんじゃないの?」
璃亜夢は嘲る。だけど大黒は淡々と言い放つ。
「僕は大人だ。大人でいるつもりだ。未成年を食い物にするような行為は大人のすることじゃない」
「!」
大黒は璃亜夢の行動を否定する。
その言葉に、璃亜夢はまた永延の言葉を思い出した。
『大黒くんって『大人』なんだよ、『真人間』って言い換えても良い』
あれはこういうことだったのだ。
この人は、私を求めてはくれないのだ。
璃亜夢はその事実を理解して絶望する。
大黒は何とか身体を起こして璃亜夢を自分から降ろすと、洗面所からタオルを持ってきて璃亜夢の肩にかけた。
「お風呂に入っておいで。熱もそうだけど、疲れもあるんだ。ゆっくり休んだ方が良い」
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