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拉致監禁

35話 帰還

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王子達を連れてペスタルティナ王国へ向かい4日。
「王子方、もうすぐペスタルティナ王国に着きます。
昨夜ペスタルティナ王国から連絡が入り、各国々の国王もペスタルティナに王子達の無事を直接会いに来たそうです。良かったですね」
コルグ総隊長からの伝言を大きな王族専用の馬車にいる王子達に小窓越しに馬を走らせながら報告するシュオナ。
何故コルグ総隊長が言いに来ないのかって??王子達が嫌がったんだよ!
まだリュイと僕以外信用していないし、食事は僕が作ったものしか口にしたくないという始末…。
僕が作った食事を美味しいと言ってくれるのは嬉しいが、スキンシップが各王子達グレードアップしたよ!!料理中であろうと隙あらば誰が抱きつくのだ。
自己訓練している時に会いに来て、また鍛えて欲しいと言いに来て鍛えてあげたり、寝る時も王子達の警護はリュイと僕以外は許さないとまでいう。やりたい放題である。コルグ総隊長もそれには頭を悩ませる。だが、王子達の願いを叶えなければ護衛無しになってしまうし、食事も一切手をつけなくなる。
王子…このままでは国に帰れないのでは??それだけはやめてくださいよ?
それでは僕が訓練出来ません。王子達のお世話係に職変更しなければなりませんから。
「分かった。父上の他にも各国王も来てくれたのか」
ラキル王子が興味深そうに呟く。
「父上、来て、くれた?」
ヴェリスト王子は父親でる国王が来てくれたことが嬉しかったようだ。尻尾が動くほどに。
「親父がな~。…親父がいなくて国、大丈夫か?」
デール王子、そこは今は気にしてはいけません。王子方を心配で来てくれたのですから。
王子達はそれぞれ反応をしてはいたが何処と無く嬉しそうに見える。
「ラキル王子とライル王子以外は国に着けば僕とはお別れです。各国に帰り立派な国王になる為に頑張ってください。全員を応援しています」
そう言い終わり馬車から馬を離す。
王子達は馬車から離れる寸前に何か言おうとして小窓へと近づくが離れたらそのまま戻って行く。
何か言いたいことでもあったのだろうか??
ペスタルティナ王国が肉眼で見えてきた。国に入るための門を潜ると国民たちは盛大に迎えてくれた。
『王子方、助かってよかったです!』『よくご無事で!!』など、いろいろ言ってくれた。馬車にいる王子達もこの光景を見ているだろう。
これを見て自分達がどれ程、民達から信頼され愛されているかを知ることだろう。
そのまま歓声の中を通り城に着く。
シュオナは一足先に馬から降りて馬車まで行き扉を開ける。王子達は王宮へと足を運ぶ。シュオナは馬車の所で別れて馬たちをリュイと一緒に片ずける。
「シュオナさん、少しいいですか?」
馬小屋で馬たちの毛ずくろいをしてあげていると、紫がかった青い髪をした好青年がシュオナに話しかけてきた。
「ビューテさん…とテオさん。テオさん、一体何をやっているんですか?」
ビューテの後ろでソワソワしている人影を見る。ビューテさんのパートナーで、少し暗めの赤い髪をした獣人のテオがいた。
ビューテとテオは十一番隊の隊長と副隊長だ。
「何ってそりゃあー、シュオナのパートナーになるっていうオレと同じ獣人を見に来たに決まってるだろ?」
リュイはテオを睨みつける。そんなテオはニコニコと面白そうに見ていた。
「テオさん暇なんですか?」
「そんな訳ないでしょう。呼びに来たんですよ」
「呼びに??」
誰かに呼ばれる覚えのないは首を傾げるシュオナ。
「各7カ国の国王達が貴女に会いたいそうです」
「へっ?!なんで!?!」
「お礼を言いたいとかで…」
「いやいや!!兵士が王子を助けに行くのは当然だろ??」
「断れんぞ~、もう各7カ国とこの国の国王はお前が来るのを待ちわびているぞ~」
「そ、そんな……」
絶望しかないし、逃げ道は既になかった…。シュオナはリュイに馬の世話を任せて終わった後シュオナの部屋に言って休むように言い、部屋の場所を教えてビューテとテオと共に胃をキリキリと痛ませながら王座の間まで行くこととなった。
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