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数年後

49話 数年後

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あれから数年が経ちシュオナとリュイはすくすくと成長した。
シュオナは誰もが認め、国思いで慕われる兵士へと成長し、陰ながら絶世の美女と言われるほど美しくなったが、見た目に似合わない相変わらずの男口調。
リュイはSSSランクへと上がり、獣人の平均男性よりも背丈が高くなり好青年の面影があるが少し目付きが鋭くなり男前な感じがではじめた。通常の獣人よりも身体能力が高めで、目の能力で自由自在に姿を消し自身の能力を大剣へと付与をして軽々と振り回すことの出来るほど成長した。
2人はコルグとサーナと互角に戦えると言われるほどの実力者となり、戦争があると真っ先に最前線に2人だけで送られて大怪我を負う前に勝利への突破口を作る英雄とまで言われるようになったが、各隊長にはまだなる気は無いらしく普通のSSSランク止まりをしていた。
シュオナは各国の王子達の婚約者ということもあり貴族の誰もちょっかいを出さなかった。王子達も成長しあまり我儘を言わなくなった。最後の大きな我儘はシュオナとの婚約だったそうだ。それ以降は王子達は各国で真面目に責務を果たすようになり立派な王子と各国の国民達から更に期待を込めて言われるようになった。シュオナとの関係も続いており数ヶ月に1度ペスタルティナへ着てはシュオナにべったりとして離そうとしない事がある為、その時は大人しくして溜め込んだ鬱憤を聞いている。
勿論、まだ手を出していませんよ?王子達はシュオナに合わせると決めているみたいです。




そんなある日


「シュオナ、ちょっと付いてきてくれ」
「リュイ?どうしたんだ?」
シュオナはリュイの真剣な顔をして視線を向ける。
「先程連絡が入って、コルグ隊長とサーナ隊長が街中で何者かに襲われ、意識不明の重症をした」
シュオナはそれを聞き呆然としたが瞬時に覚醒して訓練場から飛び出そうとするとリュイに首の根っこを掴まれた。
「リュイ、離せ!コルグ総隊長とサーナねぇの所に行くんだ!!」
「落ち着け、俺達が行ったところで入れない。切り傷から猛毒が出てきたそうだ。病院へ行っても部屋に入らせてはくれやしない」
「ちっ…」
何も出来ない自分に腹を立てながら行くのをやめて大人しくする。
「だが、なんでコルグ総隊長とサーナねぇが狙われなきゃならねぇーんだ!しかも猛毒だと?完全に殺す気満々じゃないか!絶対許さん。僕にとってコルグ総隊長とサーナねぇは大切なことを教えて貰った恩人でもあるんだ!見つけ出して吊るしあげてやる!!」
シュオナは興奮気味に喋る。
「シュオナが言うと本当にやりそうで反応に困るよ。数年前の王子達を殺そうとしたあの首謀者にやったことを思い出す」
苦笑いをしてシュオナを見る。
「なんだ?やっちゃいけなかったか?あれでも優しい方だと思うんだが?」
「あれで優しかったんだな。同じ男として自分にアレをやられると流石に俺でも精神的折れるよ」
「そうならないように気をつければいい話だ。
そんなことよりも現場に行って情報収集だ!潔く自首するなら服を取り上げて吊るしあげるだけにしてやる。抵抗しコルグ総隊長とサーナねぇを侮辱したら確実に息の根を止めてやる!!リュイ行くぞ!」
「仕方ないな、俺も2人にはここに入ってから世話になりっぱなしだったから今回はシュオナに賛成しようかな。
俺も少し腹が立ってるから多少殴るかもしれんがな」
「リュイはやっぱり話がわかる奴だ!」
嬉々とした表情でリュイの手を引くシュオナ。
そんな顔を見たリュイは苦笑しながらシュオナの腰を近づけて横に並ぶ。
「それだと歩きにくいんだが?」
「今はこういう事がしたいんだ。ラキル王子とライル王子がいないんだから今はいいだろ?」
「別に居ても僕は気にしないけど?」
「俺を見る時の視線が痛いんだよ」
「王子……、やはりまだ子供だな」
「今のタイミングでそれを言うのか。普通は『全く、嫉妬深いんだから(照れ)』だろ。本当に見た目だけが女らしくなったな」
「悪かったな、別に僕だって好きで女に生まれたわけじゃないよ」
そんな話を笑いながら愛用武器を取り小走りをして現場に仲良く向かうのであった。
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