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3人目の子どもを
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それから3年のあいだに、私はひとりの男の子をもうけた。
念願の跡取り息子、稔はとても喜んでくれた。
稔はこの可愛らしい男の子に、“宗一郎”と名付けてくれた。
このとき私は28歳になっていた。
息子を生んだことで私は前妻に勝ったと思った。
これでもう稔の記憶から前妻がいなくなってくれると信じて疑わなかった。
そしてまた、たったひとりの息子、百合と良美以上に可愛がってくれるものだと思っていた。
しかし稔の子どもたちへの愛情は常に平等だった。
ある日、百合を見ながら稔が呟いた。「お母さんに似てきたな」私は耳を疑った。
稔は、穏やかで感情の起伏がなく、あまり自己主張をしない人であった。
しかし同時に、平然と人を地獄に突き落とすようなことを言う人でもあった。
あまりにも悪意なくさらりとそれを言うので、意見することもなく、平常心を保つことがやっとであった。
私はこの日から百合の顔を見ることが苦痛になった。
それでも献身的に、私は姉妹に尽くしてきた。絶対に宗一郎と姉妹のあいだに差をつけてはいけないーー。
平等に愛情を注ぐことで、稔にとって一番の良き妻であり良き母、良妻賢母を目指したかった。
全ては既にこの世には存在しない前妻との戦いであった。
念願の跡取り息子、稔はとても喜んでくれた。
稔はこの可愛らしい男の子に、“宗一郎”と名付けてくれた。
このとき私は28歳になっていた。
息子を生んだことで私は前妻に勝ったと思った。
これでもう稔の記憶から前妻がいなくなってくれると信じて疑わなかった。
そしてまた、たったひとりの息子、百合と良美以上に可愛がってくれるものだと思っていた。
しかし稔の子どもたちへの愛情は常に平等だった。
ある日、百合を見ながら稔が呟いた。「お母さんに似てきたな」私は耳を疑った。
稔は、穏やかで感情の起伏がなく、あまり自己主張をしない人であった。
しかし同時に、平然と人を地獄に突き落とすようなことを言う人でもあった。
あまりにも悪意なくさらりとそれを言うので、意見することもなく、平常心を保つことがやっとであった。
私はこの日から百合の顔を見ることが苦痛になった。
それでも献身的に、私は姉妹に尽くしてきた。絶対に宗一郎と姉妹のあいだに差をつけてはいけないーー。
平等に愛情を注ぐことで、稔にとって一番の良き妻であり良き母、良妻賢母を目指したかった。
全ては既にこの世には存在しない前妻との戦いであった。
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