最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第一章

ティファはギャドにご飯を振る舞う

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「おーう!上手くやってるみたいだなぁ?」

ここに来てから数日経ちました。
最近ではここでの生活にもすっかり慣れましたよ?

し・か・も!ここは厨房使い放題なので私からしたら、まさにパラダイス!!唯一のお客様ハイトさんはいつも美味しそうにご飯を食べてくれますしね!
概ね順調です!

「ギャドさん久しぶりですね?どうしたんですか?」

気になってても相変わらずムキムキですね?とは言いませんよ?大人ですから!!

「どうしたって・・様子を見に来たんだよ。男ばかりの宿舎でお前一人だしな?」

「え?それなら遅くありません?普通の女性なら、とっくに襲われてると思いますよ?」

薄々気づいてたんですが、この国の男の人達。ちょっと呑気過ぎますよね?その考えに到達するまで、どれだけ時間かかってるんですかね?

「・・・・平気そうで何よりだ」

「まぁハイトさんもついてくれてますし。私もこう見えて強いですから。簡単にはやられませんよ?」

あれれ?顔引きつらせてどうしました?
あ、この握り拳が余分でしたか?それは失礼!

「ヨシュアから気になる報告が上がって来てな?お前、ハイトとできてるのか?」

「え?できてる?何がですか?」

別にハイトさんとは何も作ってないですよ?作っているのは私ですから!!

「いや、だから・・・うん。違うなこれは」

あの。勝手に解決しないでくれますかね?気になるじゃないですか?ジーと見てたらまた顔を逸らされました。

いい加減言ってもいいですかね?私顔を逸らされる程臭わないと思います。今は!!

私達二人が並んで歩いて行くとお昼に出て行く騎士さん達がぞろぞろと出て来ました。
毎日外食なんて、皆んなお金持ちなんですね?
羨ましい!!

「ティファ昼飯はどうする?」

「私は厨房に用意してあるので、気にせず食べて来て下さい」

「そういや最初そんな事言ってたな?余分にないのか?」

ん?余分に?まぁ三人分ぐらいならありますけど。
いいのでしょうか?部下達と秘密の打ち合わせとかないんでしょうか?

「え?まさか、食べていくつもりなんですか?」

「え?駄目なのか?」

何でしょうね。何でそこでシュンとするんでしょうか?
まるで私が虐めてるみたいじゃないですか?

「別に、いいですけど。美味しくなくても知りませんよ?」

いや、そんな事はないと思います。
ちゃんと味見しましたから。
でも、ハイトさんになんて説明しようかな?
あ、でも上司だからいいか?オッケーオッケー!

「あ。ティファ・・・・」

「よーう!ご苦労さん!」

ビキリ。
アラ?何でしょう。
今、とても穏やかではない音が聞こえて来た気がしますね?ハイトさん?顔色悪いですよ?どうしました?

「・・・・何?今更何しに来たの?僕に丸投げして放置してた癖に」

あーーーーー。そうですよね?
そうでしたそうでした!
ハイトさんこのムキ男に私を押し付けられてたんでした!!最近お互い和み過ぎてて忘れてましたー!
私敵国の騎士でしたー!アハ!

「悪かったって!俺もあの後忙しくてよ?だから一番信用できるハイトに任せたんだろ?」

うーーん?それは嘘ですねぇ?
私、人の嘘って結構見抜けるんです!この人絶対そんな事思ってないですよ?あ~ハイトさん微妙に嬉しそうにしてます。単純なんですね?可哀想。

「で。俺もティファの飯に呼ばれようと思ってよ?」

「お前今すぐ帰れ。そして二度と来るな」

あれ?騙されてなかった?ハイトさん目が、目が怖いですよ?今にも人殺しそうな目つきになってますよ?

「ハーーン?その様子だと、旨いんだな?」

え?そりゃもう!毎回手間暇かけて作ってますから!!
美味しいって言わせる自信、あります!!

「あの~とりあえず。中に入りませんか?」

食堂の入り口で仁王立ちされてると、中に入れないんですけどー?そろそろご飯作らせて下さい。

「おお!悪りぃ」

「ごめんティファ」

うむ!苦しゅうない!二人が避けて空いた空間から中に入って厨房に向かいます。意味はないけど、なんか偉くなった気分!えっへん!さぁ!作りますよ!

あ、そこギスギスした空気出さないで下さいね?
暴れたら監視者でも関係なく追い出しますよ?

「今日は何を作るの?」

「実は卵が大量に余っていたらしいので卵料理にしようかと」

それと朝使ったベーコンとお野菜でトマトパスタを作りましょう。実はこの前、傷んだトマトを調理してソースを作っておいたのです!野菜たっぷり健康にもいいですよ!

「・・・本当に、料理するんだな・・・」

ここの国の住人は、人が言った事を覚えられない症候群なんですかね?何度も言ってますよね?一度で覚えてくれませんかね?

「え?卵の中に肉や野菜を入れるのか?」

「はい!チーズも入れます。オーブンが使えれば本格的な料理も出来ますが、ずっと使われてなかったみたいで、直さないと使えないみたいです」

だから、なんちゃってキッシュです!!
上手くいくといいんですが。

「・・・・お前。独り占めする為に黙ってたな?」

「違いますよ。でも、これぐらいのご褒美が無ければ不公平でしょ?」

ん?独り占め?ご褒美?何の話ですか?気になります。
あ。パスタが茹で上がりました!絡めまーす!

「「おおーーーーー」」

いい香りですよねー!わかります。
しかしこの国はいいですよ。
なんて言ったって食材が豊富なんです!
私の国ではこんな立派な食材達は中々お目にかかれませんよぉ?作りたいもの作り放題!最高です!

「出来ました!スープはキノコのあっさりスープです!では頂きましょう!」

一人増えただけなのに何だか一気に食卓が賑やかになりました!たまにはこういうのもいいですね?

「うまそうだなぁ!頂きます」

「はい!ハイトさんもどうぞ」

「うん。ありがと」

思えばハイトさん以外に私の料理食べてもらった事ないですね。当たり前なんですけど。どうでしょうか?

「・・・・・・・え?」

ん?何故そこでフリーズするのですか?
ハッ!もしや、卵の殻でも入ってました?そんな馬鹿な!一生の不覚!!

「ナンダ、コレ。旨すぎる」

それ程でも?っていうかここの国の人って皆んなオーバーリアクションですよね?ハイトさんの時も思ったのですが一々演技しなくてOKですから。

「そうなんだ。旨すぎるんだよ。もう僕、ティファのご飯以外食べられない」

アハハハハ!こらこら?
そういう事言ってると、またどこぞのヒステリックボーイが乱入して来ちゃいますよ?うん?大袈裟。

「あーーーーー食べなきゃ良かった!!帰りたくねぇ」

「いや。帰れよ。そして二度と来るな」

「あの~二人共そこまで私に気を使わなくていいですけど?」

ん?何ですか?その可哀想な子を見るような目は?
私のヤル気ゲージを満タンにしたいのであれば、オーバーリアクションではなく食材かお金を捧げるがよい!

「ティファ。今度、外に飯連れてってやる」

「は!?ギャド?」

何でしょう?よくわかりませんが、ここは大事なので確認しておきましょう!!

「勿論。奢りですよね?」

あ。二人共倒れないで下さ~い!!私の貯蓄はすっからかんなんですからね!!外食に出せるお金は一銭たりともございませんよ!!

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