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第三章
エルシャナはセルシスを叱りたい
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「あの木、燃やしちゃおっか?」
おーおー珍しく本気で怒ってるなぁ?
自分が操られたの、そんなに気に入らなかったのか?
でも、自業自得だぞ?あの木の事はデズロ様に任せて手を出すなって、父様がちゃーんと釘さしてたよな?
皆さま御機嫌よう。私はセルシスの兄のエルシャナだ。隣が三男のケルベナ。私達は只今セルシスを説教中なんだが・・・・。
「陛下。話によればアレは精霊の類です。ただの人間が精霊に手を出す事など出来ませんよ?基本彼等と我々は必要以上の接触を禁じられています。彼等の能力が只人に力を与える事を防ぐ為です。ゼクトリアムがあの木から切り離されたのも、それを防ぐ為でしょう?」
お?ケルベナ今日はよく喋るね?
もしかしてお前もちょっと怒なのか?セルシスに怒なのか?
「えー?でも、危害を加えて来たのはあちらだよ?俺が知らない間に戦争になりそうだしさぁ?どうすんのコレ」
「元々オスカールは調子に乗りすぎていたのでコレを機会に少し自重してもらえばいいさ。サクッと片付けよう」
そんな事よりも私はお前の勝手な単独行動に怒っているんだが?セルシス陛下?
「陛下・・・・何故勝手に大樹に近づいたりしたんです?子供の頃から危険だとあれほど言われていましたよね?」
「・・・・俺、あの木嫌いなんだよね」
「いや、まぁ。好きな奴はあまりいないな?」
「あの木は俺達の爺さんも操って、一度この国を壊そうとしている。それなのに、父様が全てを背負って、デズロ様をこの国に連れて来てまで守る価値があるのかな?俺はずっと疑問だったんだ。この国にあの木は必要なのかって」
セルシスって意外と真面目というか、一番父様とデズロ様に懐いていたな。私も疑問に思った事はあるが、正直だからといってあの木を、どうにかしたいとまで思った事はない。
「だから、燃やそうと?」
「いや、調べている過程で弱点部位がないか確認する為にギリギリまで近づいた時、近くに立っていた者に大樹の枝を渡された」
「大樹の近くに人が?それは、一体何者です?」
「それが、ローブを羽織っていて、多分女だと思う。俺もその後すぐ意識がなくなったからなぁ」
平民?デズロ様がいないとはいえ、あんな場所にどうやって入り込んだんだ?あそこに行くには宮廷内を一度通るか、もしくは下から上まで飛んで来る方法しかない。
デズロ様の結界もあるのに、どうやって?
「・・・・何処かの国の刺客か?目的は一体?」
「・・・・ハイトが、大樹に捕らえられたのと関係しているのかも知れない」
そうか。私達もハイトの事を知ったばかりだからな。
大樹を元に戻して得をする人物ってことか?
いや、そんな者は居ないはずだ。
そもそも、私達でさえ知り得なかったものを誰が知る事が出来た?ん?そういえば・・・。
「・・・最近ずっとハイトにまとわりついていたご令嬢がいたな?あれは、どこの家の子供だ?」
「え?ああ。リューゲン家じゃなかった?あそこ三人姉妹
だったよね?」
確かにそうだが、あの家にハイトと同じぐらいの歳の娘は、確かいなかったのでは?
「・・・・あの家は皆すでに嫁いでいましたね?末端貴族なので特に気にかけていませんでしたが」
「じゃあ、あの女は誰なんだ?」
「まさか、その女があの木の結界を解いて大樹をハイトの下へ導いたと?」
「確か彼女も魔力保持者持ちの勘違い令嬢の一人としてまぎれてたね?でも、確かに魔力は結構強かった。でも、デズロ様には敵わないよ?」
「ウィース。陛下久しぶりだな?」
ギャド。
君傷だらけだけど、どうした?
大樹はハイト以外、傷をつけなかったと聞いているけど?
「珍しくボロボロだね?どうしたの?」
「ちょっと暴れるティファを止めたので。アレは俺じゃないと死んでたな?アハハ」
そこで笑えるお前を心底尊敬する。私なら、泣くな。
「で?オスカールとの開戦も近い。街は破壊されて復旧に時間がかかる。大樹を手引きした奴の目的も分からない。さて?何処から手をつける?」
「オスカールかな。街の復旧作業は新しい魔術部隊、ササラに一任する。大樹の事は、ハイトがなんとかするんでしょ?」
お?やっと冷静になってきたな?じゃあ私達もそのご令嬢とやらを探してみるか。きっと姿をくらませたはずだからな。
「一つお願いがあるんだが?」
「なにかな?迷惑かけたし、少しだけなら聞いてあげるかもよ?」
「ティファに大樹に近づく許可を。ハイトが帰って来るまでずっと」
それは難しいな。
デズロ様がいれば話が別だが、ティファ一人で近づくのは危険すぎる。
「ハイトは任せろと言ったが、セラが今のハイトにはティファが必要だと言ってたんだ」
「セラが?」
「あの木には恐らく、始まりの記憶が残されている可能性があるらしい。今のハイトがその記憶に飲み込まれないように、ティファの手助けが必要なんだと。そもそも、オレ達は大樹が何故この地に降り立ったのかを知らない」
そうだな。
確かに、それが分かれば打開策も出るかもな?
今まであの木には謎が多過ぎた。大樹と核の分離。ゼクトリアム家があの木に近づけないようにしたオレ達皇族のレインハート家。そして、数年前起きた核の暴走。
「大樹は、一体何がしたいんだろう?」
「大樹がずっと求めていたのは彼を真実愛し、彼と共に生きてくれる人なんじゃないの?」
「え!?デズロ様?あ、お父様!久しぶりー!」
「久しぶりー!じゃないぞ?セルシス・・・」
真実愛すとは、また重いな?人間と精霊がずっと一緒に居られるわけがない。
「多分さぁ?大樹は人を人でない者にしようとしたんだと思うよ?つまり、不老不死にさ?それをレインハートの先祖が止めたんじゃないの?だってさ?そんな人間誕生させたら絶対的な力でもって世界を支配されちゃうかもしれないもんねぇ?」
成る程・・・。
しかしゼクトリアムと大樹は特別な盟約で繋がっている為完全に引き離す事はむずかしかったんだな?
だから、力を削ぐために、わざわざ核を取り出してゼクトリアムが守っていたんだな。
「その、長年の大樹の願いを、まさかティファが叶えるかも知れないなんて・・・・・僕、本当に初耳ナンダケド?」
いや、私は知りませんよ?
詳しい話はそこにいる傷だらけの人にでも聞いて下さい。
巻き込まれるのはまっぴら御免です。アハハ!
おーおー珍しく本気で怒ってるなぁ?
自分が操られたの、そんなに気に入らなかったのか?
でも、自業自得だぞ?あの木の事はデズロ様に任せて手を出すなって、父様がちゃーんと釘さしてたよな?
皆さま御機嫌よう。私はセルシスの兄のエルシャナだ。隣が三男のケルベナ。私達は只今セルシスを説教中なんだが・・・・。
「陛下。話によればアレは精霊の類です。ただの人間が精霊に手を出す事など出来ませんよ?基本彼等と我々は必要以上の接触を禁じられています。彼等の能力が只人に力を与える事を防ぐ為です。ゼクトリアムがあの木から切り離されたのも、それを防ぐ為でしょう?」
お?ケルベナ今日はよく喋るね?
もしかしてお前もちょっと怒なのか?セルシスに怒なのか?
「えー?でも、危害を加えて来たのはあちらだよ?俺が知らない間に戦争になりそうだしさぁ?どうすんのコレ」
「元々オスカールは調子に乗りすぎていたのでコレを機会に少し自重してもらえばいいさ。サクッと片付けよう」
そんな事よりも私はお前の勝手な単独行動に怒っているんだが?セルシス陛下?
「陛下・・・・何故勝手に大樹に近づいたりしたんです?子供の頃から危険だとあれほど言われていましたよね?」
「・・・・俺、あの木嫌いなんだよね」
「いや、まぁ。好きな奴はあまりいないな?」
「あの木は俺達の爺さんも操って、一度この国を壊そうとしている。それなのに、父様が全てを背負って、デズロ様をこの国に連れて来てまで守る価値があるのかな?俺はずっと疑問だったんだ。この国にあの木は必要なのかって」
セルシスって意外と真面目というか、一番父様とデズロ様に懐いていたな。私も疑問に思った事はあるが、正直だからといってあの木を、どうにかしたいとまで思った事はない。
「だから、燃やそうと?」
「いや、調べている過程で弱点部位がないか確認する為にギリギリまで近づいた時、近くに立っていた者に大樹の枝を渡された」
「大樹の近くに人が?それは、一体何者です?」
「それが、ローブを羽織っていて、多分女だと思う。俺もその後すぐ意識がなくなったからなぁ」
平民?デズロ様がいないとはいえ、あんな場所にどうやって入り込んだんだ?あそこに行くには宮廷内を一度通るか、もしくは下から上まで飛んで来る方法しかない。
デズロ様の結界もあるのに、どうやって?
「・・・・何処かの国の刺客か?目的は一体?」
「・・・・ハイトが、大樹に捕らえられたのと関係しているのかも知れない」
そうか。私達もハイトの事を知ったばかりだからな。
大樹を元に戻して得をする人物ってことか?
いや、そんな者は居ないはずだ。
そもそも、私達でさえ知り得なかったものを誰が知る事が出来た?ん?そういえば・・・。
「・・・最近ずっとハイトにまとわりついていたご令嬢がいたな?あれは、どこの家の子供だ?」
「え?ああ。リューゲン家じゃなかった?あそこ三人姉妹
だったよね?」
確かにそうだが、あの家にハイトと同じぐらいの歳の娘は、確かいなかったのでは?
「・・・・あの家は皆すでに嫁いでいましたね?末端貴族なので特に気にかけていませんでしたが」
「じゃあ、あの女は誰なんだ?」
「まさか、その女があの木の結界を解いて大樹をハイトの下へ導いたと?」
「確か彼女も魔力保持者持ちの勘違い令嬢の一人としてまぎれてたね?でも、確かに魔力は結構強かった。でも、デズロ様には敵わないよ?」
「ウィース。陛下久しぶりだな?」
ギャド。
君傷だらけだけど、どうした?
大樹はハイト以外、傷をつけなかったと聞いているけど?
「珍しくボロボロだね?どうしたの?」
「ちょっと暴れるティファを止めたので。アレは俺じゃないと死んでたな?アハハ」
そこで笑えるお前を心底尊敬する。私なら、泣くな。
「で?オスカールとの開戦も近い。街は破壊されて復旧に時間がかかる。大樹を手引きした奴の目的も分からない。さて?何処から手をつける?」
「オスカールかな。街の復旧作業は新しい魔術部隊、ササラに一任する。大樹の事は、ハイトがなんとかするんでしょ?」
お?やっと冷静になってきたな?じゃあ私達もそのご令嬢とやらを探してみるか。きっと姿をくらませたはずだからな。
「一つお願いがあるんだが?」
「なにかな?迷惑かけたし、少しだけなら聞いてあげるかもよ?」
「ティファに大樹に近づく許可を。ハイトが帰って来るまでずっと」
それは難しいな。
デズロ様がいれば話が別だが、ティファ一人で近づくのは危険すぎる。
「ハイトは任せろと言ったが、セラが今のハイトにはティファが必要だと言ってたんだ」
「セラが?」
「あの木には恐らく、始まりの記憶が残されている可能性があるらしい。今のハイトがその記憶に飲み込まれないように、ティファの手助けが必要なんだと。そもそも、オレ達は大樹が何故この地に降り立ったのかを知らない」
そうだな。
確かに、それが分かれば打開策も出るかもな?
今まであの木には謎が多過ぎた。大樹と核の分離。ゼクトリアム家があの木に近づけないようにしたオレ達皇族のレインハート家。そして、数年前起きた核の暴走。
「大樹は、一体何がしたいんだろう?」
「大樹がずっと求めていたのは彼を真実愛し、彼と共に生きてくれる人なんじゃないの?」
「え!?デズロ様?あ、お父様!久しぶりー!」
「久しぶりー!じゃないぞ?セルシス・・・」
真実愛すとは、また重いな?人間と精霊がずっと一緒に居られるわけがない。
「多分さぁ?大樹は人を人でない者にしようとしたんだと思うよ?つまり、不老不死にさ?それをレインハートの先祖が止めたんじゃないの?だってさ?そんな人間誕生させたら絶対的な力でもって世界を支配されちゃうかもしれないもんねぇ?」
成る程・・・。
しかしゼクトリアムと大樹は特別な盟約で繋がっている為完全に引き離す事はむずかしかったんだな?
だから、力を削ぐために、わざわざ核を取り出してゼクトリアムが守っていたんだな。
「その、長年の大樹の願いを、まさかティファが叶えるかも知れないなんて・・・・・僕、本当に初耳ナンダケド?」
いや、私は知りませんよ?
詳しい話はそこにいる傷だらけの人にでも聞いて下さい。
巻き込まれるのはまっぴら御免です。アハハ!
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※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
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