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セルドアイベント?14
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私の言葉に、セルドアは少し苦々しい表情で目を伏せた。
「……貴女に、前世の家族と会わせてあげられるとは、断言できません。貴女に、向こうの家族の今の姿を見せることはできるのは間違いありませんが、向こうの家族が貴女を見られるかは試してみないとわからない。言葉が、交わせるかも。この世界が魂を引き寄せる力がどれ程のものかも分からないので、滞在期間もどれくらいになるかは推測も難しい。もしかしたら、貴女の魂と縁が深い家族の一人をほんのわずかに垣間見ただけで終わってしまうかもしれない」
それでも。もう一度。
もう一度だけ、一瞬だけでも、会うことができるなら。
「……会い、たい」
ぶわりと目から涙があふれた。
「元の家族に会わせて……セルドア!」
気がつけば泣きながら、セルドアの胸にすがっていた。
「もちろんです。リッカ」
セルドアは優しく微笑みながら、私の頭を撫でてくれた。
「貴女が、望むのなら」
「……あのー……勢いで本能のままにお願いしちゃったんだけど、これってもしかしてすごーく危険な魔術だったりする?」
見たこともないほど複雑怪奇な魔方陣を、牧場の地面に黙々と掘り綴っているセルドアを前に、口もとが引きつる。
……セルドア、いつもはもっとひょいっと魔術展開しててよね。そのセルドアが、ここまで下準備が必要なのって、実はかなりやばい禁忌レベルの魔法なんじゃ……。
「貴女の身に危険が振り返るような魔術は、たとえ貴女が望んでも行使したりしませんよ」
一段落したのか、大きくため息を吐いて立ち上がったセルドアの言葉に、ホッと安堵の息を吐く。
……よ、よかったー。さすがに私のワガママで、セルドアに危険な魔術を行使させるわけには……。
「安心してください。リッカ。世界や肉体が魂を引き寄せる力は強いので、万が一途中で術者である私が倒れたとしても、貴女は無事に戻ってこれます。ただ失敗したら、魔術の行使者である私が死ぬか廃人になるだけです」
………………。
「い、いや、それって全然安心できないじゃん! 私のせいでセルドアが危険な目に遭うくらいなら、」
「はい。魔術展開の準備はできましたよ。リッカ。私の手を取って」
「セルドア!」
セルドアが危険な目に遭うくらいなら、こんなことしなくていい!
そう言いきるより早く、私の手はセルドアに掴まれた。
次の瞬間、周囲の魔方陣が光り、下から勢いよく風が吹き上がってきた。
「や、やめよう! セルドア! まだ、間に合うんでしょう!? いやだよ、私。セルドアが私のせいで傷ついたりしたら!!」
「リッカはお馬鹿さんですね。……万が一と言ったでしょう? 失敗なんてあり得ませんよ。私を信じてください」
魔方陣から飛び出そうともがく私の両手を握りしめて、セルドアは不敵に微笑んだ。
吹き上がる風で、セルドアの片眼鏡が吹き飛び、隠された金の瞳が露わになる。
「私は、この国一の天才魔術師なんですから」
ふわりと体が浮き上がった感覚とともに、そのまま意識が遠くなった。
「……貴女に、前世の家族と会わせてあげられるとは、断言できません。貴女に、向こうの家族の今の姿を見せることはできるのは間違いありませんが、向こうの家族が貴女を見られるかは試してみないとわからない。言葉が、交わせるかも。この世界が魂を引き寄せる力がどれ程のものかも分からないので、滞在期間もどれくらいになるかは推測も難しい。もしかしたら、貴女の魂と縁が深い家族の一人をほんのわずかに垣間見ただけで終わってしまうかもしれない」
それでも。もう一度。
もう一度だけ、一瞬だけでも、会うことができるなら。
「……会い、たい」
ぶわりと目から涙があふれた。
「元の家族に会わせて……セルドア!」
気がつけば泣きながら、セルドアの胸にすがっていた。
「もちろんです。リッカ」
セルドアは優しく微笑みながら、私の頭を撫でてくれた。
「貴女が、望むのなら」
「……あのー……勢いで本能のままにお願いしちゃったんだけど、これってもしかしてすごーく危険な魔術だったりする?」
見たこともないほど複雑怪奇な魔方陣を、牧場の地面に黙々と掘り綴っているセルドアを前に、口もとが引きつる。
……セルドア、いつもはもっとひょいっと魔術展開しててよね。そのセルドアが、ここまで下準備が必要なのって、実はかなりやばい禁忌レベルの魔法なんじゃ……。
「貴女の身に危険が振り返るような魔術は、たとえ貴女が望んでも行使したりしませんよ」
一段落したのか、大きくため息を吐いて立ち上がったセルドアの言葉に、ホッと安堵の息を吐く。
……よ、よかったー。さすがに私のワガママで、セルドアに危険な魔術を行使させるわけには……。
「安心してください。リッカ。世界や肉体が魂を引き寄せる力は強いので、万が一途中で術者である私が倒れたとしても、貴女は無事に戻ってこれます。ただ失敗したら、魔術の行使者である私が死ぬか廃人になるだけです」
………………。
「い、いや、それって全然安心できないじゃん! 私のせいでセルドアが危険な目に遭うくらいなら、」
「はい。魔術展開の準備はできましたよ。リッカ。私の手を取って」
「セルドア!」
セルドアが危険な目に遭うくらいなら、こんなことしなくていい!
そう言いきるより早く、私の手はセルドアに掴まれた。
次の瞬間、周囲の魔方陣が光り、下から勢いよく風が吹き上がってきた。
「や、やめよう! セルドア! まだ、間に合うんでしょう!? いやだよ、私。セルドアが私のせいで傷ついたりしたら!!」
「リッカはお馬鹿さんですね。……万が一と言ったでしょう? 失敗なんてあり得ませんよ。私を信じてください」
魔方陣から飛び出そうともがく私の両手を握りしめて、セルドアは不敵に微笑んだ。
吹き上がる風で、セルドアの片眼鏡が吹き飛び、隠された金の瞳が露わになる。
「私は、この国一の天才魔術師なんですから」
ふわりと体が浮き上がった感覚とともに、そのまま意識が遠くなった。
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