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連載2

再会16

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 王城に到着するなり、休憩する暇さえ与えられずに案内された玉座の間には、ルイス王とユーリアを除けば数人の兵士が控えているだけだった。
 このように他国の賓客を出迎える状況なら、本当は宰相をはじめとした多くの高官も出そろってしかるべきなのに、これはいったいどういうことなのだろうか。
 それだけ私達のことを、下に見ているということか。
 はたまた今のセーヌヴェットにはもはや高官なんていない、もしくはルイス王の意のままに操られている木偶人形と化しているのか……。

「……ずいぶんと似つかわしくない礼をされるのね。あなた、平民の出でしょう」

 ユーリアが引きつった笑みを浮かべながら、私に憎悪の視線を送る。

「たとえ親が元貴族であろうと、無責任にもセーヌヴェットを出奔してルシトリアの平民に成り下がったのだから、相応の振る舞いをなさったら? 貴族の真似事なぞしないで。高貴な国王陛下の前で、そのように振る舞っても、分不相応でみっともないだけよ」

 やっぱりユーリアは、父様達のことを把握していた。
 ならば、恐らくは私が母様譲りの護符の作成能力があることも気づいているはずだ。
 自衛の為に、兄様とシャルル王子にも渡した護符を密かに握りしめる。
 この敵地で、一体この護符はどれだけ効力を発揮してくれるだろうか。今ここにいる兵士に一斉に襲われたとしても、ちゃんと護符が本来の力を発揮して兄様達を守ってくれるかどうか、正直自信がない。私は母様ほど、たくさんの護符を作成してきてないから。

「……おや、おかしいですねー」

 張り詰める空気を壊すように、茶化すような口調でシャルル王子が私とユーリアな間に割り込んできた。

「それならばユーリア様も同じように、平民らしく振る舞われるべきではありませんか? 元とはいえセーヌヴェットの貴族の血を引くディアナ様と違って、ユーリア様は確か貧しい農民の出と聞いておりますが」

 カッとユーリアの顔が怒りと屈辱で赤く染まる。

「無礼なっ!」

「無礼はどちらですか。ルシトリアの国王である父上が正式に認めた聖女を愚弄するということは、ルシトリアを愚弄することと同じですよ。貧農の出の貴女がセーヌヴェットで聖女として重用されていることと同様、元の出自なぞ関係ありません。……ですが、それでもどうしても貴女が元の身分に拘るというのなら」

 嘲るように、シャルル王子は口端をあげる。
 普段のシャルル王子からは想像もつかないほどの酷薄さに隣に控える兄様が小さく息を飲んだ。

「貧民らしく、床に這いつくばって頭を下げてください。ーールシトリアの王子の御前ですよ?」



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